50代の後発品MRにとって転職は絶望的?興味深い『生の話』を聞いてきました!

MRの転職

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

つい先日、ある病院にてMS時代にお世話になった後発品MR(50代男性)と偶然会う機会がありました。

 

再会の挨拶をしてから自分の近況を話すと、なぜかMRの将来性についての話になりました。

その話の延長で、後発品MRの転職事情についても教えてもらいました。

 

そのMRさん曰くですが、50代の後発品MRの転職先なんてどこにも無いとのこと。

話を聞く限り、転職市場的には相当厳しい状態らしいです。

 

私自身も転職を意識しているだけに、正直言って笑えない話でした。

そこで、本日はその50代の後発品MRから聞いた話について記事にしてみました。

なお、これ以降はそのMRをNさんと書かせていただきます。

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Nさんとヒサシの関係


記事の冒頭で書いた通り、Nさんは私がMSだった頃にお世話になったMRです。

そこで簡単にですが、Nさんの現状についてまとめてみました。

 


・年齢:55歳

・職業:大手後発品メーカーのMR(勤続10年超)

・経歴:以前は中堅内資系メーカーのMRだったらしい

・性格:優しい・温厚

・年収:具体的には不明だけど600万円台らしい


 

新人のMSとして右も左も分からなかった頃、Nさんは私に対して親身に接してくれました。

業界の構造や後発医薬品のことなど、Nさんから教わったことはたくさんあります。

 

さて、Nさんは私がMSを辞めたのと同時期くらいに転勤していたそうです。

その後さらに転勤したことで、互いに知らない間に私と同じエリアの担当になっていたみたいです。

そんなNさんですが、久々に会ったにも関わらずやっぱり良い人でした。

 

何と言うか、温厚な親戚のオジサンみたいな安心感を漂わせている人です。

 

後発品を扱っているせいなのかは不明ですが、MR(営業)特有のガツガツしている雰囲気を感じさせないタイプなんですよね。

そんなNさんですが、後発品MRの将来には不安を感じているそうです。

 

下の記事で書いた通り、私自身は後発品MRの将来について暗くないと考えていました。

後発品メーカーの2019年度 新卒採用人数が興味深い!

 

でも、Nさんはそうは思っていないようでした。

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低分子医薬品の時代が終わろうとしている


ここ数年でARBと呼ばれる血圧を下げる薬が次々と特許切れを迎えました。

Nさん曰くですが、オルメテックやミカルディスなどの売れ筋ARBは、それはもう凄い勢いで後発品に切り替わったそうです。

 

しかし、そういった後発品ブームも下火になりつつあるとのこと。

 

先述したオルメテックやミカルディスは、いわゆる低分子医薬品です。

 

今後、低分子医薬品で後発品収益の旨味がありそうな薬剤は限られているみたいですね。

Nさん曰く、直近だとゼチーア・セレコックス・リリカといった先発品が主なターゲットらしいです。

 

それ以外だと、後発品の主なターゲットとして控えているのは、DPP-4阻害薬・SGLT2阻害薬といった糖尿病の治療薬くらいだそうです。

それらの薬剤が特許切れを迎え、後発品へと切り替わった後は、これといって目ぼしい低分子医薬品はないそうです。

 

その結果、

売るものが無い!!

…という状況に陥るとのこと。

 

こうなることをNさんは危惧しています。

売るものがないなら、事業縮小に向かうのは当然。

 

そうなれば、余剰人員(特にMR)の削減が始まる。

50代という年齢を考えれば、まず間違いなく自分がリストラ候補になる。

 

もしリストラされたら、自分のような50代後発品メーカーMRを雇ってくれる会社なんてないに決まっている。

つまり、MRとして袋小路に追い詰められているとNさん考えているようです。

 

昨今は低分子医薬品に見切りを付けて、バイオシミラーで攻める方針のメーカーもあります。

しかし、Nさんが働いている会社はバイオシミラーを扱っていません。

 

そのせいか、Nさんは低分子医薬品に頼っている自社のビジネスモデル自体にも疑問を持っているようでした。

Nさんを悩ませるAGの存在


皆さんはオーソライズド・ジェネリック(通称AG)をご存知でしょうか?

 

AGとは、先発品と全く同じ原薬・添加物・製造工程で造られた後発品のことです。

そのため、AGは先発品と同じ品質が保証されています。

 

患者や医療従事者にとってはありがたい存在なのでしょうが、AGを扱っていない後発品メーカーからすると厄介極まりない存在です。

単純な品質で比べたら、先発品と全く同じAGが評価されるのは当たり前です。

 

どうせ後発品を使うのなら、先発品と同じAGだったら安心だよね

…という理屈ですね。

 

こんな背景があることから、現在の医薬品業界ではAGが流行っています。

Nさん自身も言っていましたが、最近の後発品市場はAGの1人勝ちだそうです。

 

ついでに言うと、Nさんが働いている後発品メーカーはAGを扱っていないそうです。

よって、今後もAGが台頭する流れが続けば、Nさんがいる会社は間違いなく苦戦を強いられることになります。

 

Nさん目線で考えると、悲観的な気持ちになるのも理解できます…。

まとめ:50代の後発品MRは厳しい状況にある


もし自分がNさんの立場だったら、やっぱりNさんと同じように不安になると思います。

MR(営業)として売るものが無いという状態ほど恐ろしいものはないです。

 

会社として売るものがないのなら、MR(営業)なんて必要ないのです。

そうなれば当然、リストラが始まります。

 

残酷ですが、これが製薬会社の現実です。

 

加えて、Nさんにとって最大の懸念点は50代という年齢です。

 

転職もままならず、自社に残ろうにも後発品市場は前途多難である。

しかも、AGの台頭によって、AGを扱っていないメーカーは苦戦を強いられている。

 

こんな状況では、自分が60歳まで働き続けられるかどうかも怪しい。

仮に60歳まで食い繋ぐことができたとしても、その後はどうか?

 

Nさんが60歳になる頃には、おそらくDPP-4阻害薬などの糖尿病治療薬の後発品市場もある程度落ち着いているでしょう。

では、その後の後発品市場について考えると、低分子医薬品の後発品候補について、やっぱり目ぼしいものが思い浮かばないようです。

 

今回の記事はNさんの言葉を借りるような形で書いています。

その過程で、Nさんが厳しい状況に陥っていることを改めて感じました。

 

NさんはMRという職業自体に辟易しているようにも見えたので、今後もMRを続けていくのかどうかは不明です。

しかし、形はどうあれ、Nさんには今後も健やかに生きてほしいと思うばかりです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


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