こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
2022年の11月、ヤンセンファーマが『ポジションクローズ』という措置を行うと報じられました。
ポジションクローズとは何ぞや?
…ということで、ミクス・日刊薬業・RISFAXといった業界誌で、ヤンセンのポジションクローズについての特集記事が組まれています。
これらの記事を読む限りだと、当のヤンセンとしては経営戦略の見直しが目的であると主張しています。
要するに、少なくとも建前上は“人員削減やリストラではない”と言っているワケですね。
ヤンセン労組 初回メンバーは15人前後 団体交渉申入れ、「ポジションクローズ」の必要性等の説明要求
ヤンセン一部社員、「退職勧奨」受け労組結成 会社に団体交渉申し入れ、21日までの回答要求
しかし、このポジションクローズとかいう方策、実質的にはリストラと同じなんですよね。(汗)
当事者であるヤンセン社員たちも、突然の展開でかなり困惑しているようです。
そこで、ヤンセンのポジションクローズについて、現在判明している情報をまとめてみました。
どこからどう見ても、製薬会社でよくあるリストラそのものです。(汗)
ただし、ヤンセンのポジションクローズに関しては“割増の退職金は支払われない”という点で、他社のリストラとは一線を画しています。
この理不尽さを見かねて、一部のヤンセン社員が立ち上がり、新たに労働組合を結成するという事態にまで発展しました。
ヤンセン労働組合としては、關口社長に対して雇用継続(=ポジションクローズの撤回)を求めていくつもりなのだとか。
それを受けて、会社側も關口社長の名前で受諾したのだから驚きです。
早い話、労使による交渉テーブルが整ったというワケです。
そんな超展開を外から見ていて、私個人としてはヤンセン労働組合を応援したいという気持ちで一杯です!!
とにかく、頑張ってほしい。
そして、報われてほしい。
ポジションクローズという逆境に抗おうとする姿勢には、一介のMRとして感銘を受けております。
…ということで、この機会にヤンセンのポジションクローズについて記事を書いてみました。
『ポジションクローズ』とは何か?
あまりにも理不尽な内容&語感から、業界内でも話題になっている『ポジションクローズ』という言葉。
中々のパワーワードですが、これは一体何なのでしょうか?
まさに読んで字の如くですが、ポジションクローズとは社内における部署・役職・仕事が無くなることを意味する用語です。
主に外資系企業を中心として、組織の最適化のために行われることが多いとされています。
ヤンセンの一件で、私も初めて『ポジションクローズ』という言葉を知りました!
例えばですが、製薬会社にて『MRの人数が過剰だから一部の支店を閉鎖するぞ!』という措置も、ある意味ではポジションクローズの一種だと言えるでしょう。
ただし、会社側はポジションクローズの対象社員を一方的に退職させることは出来ないとされています。
もし会社都合により退職してもらうとしても、ポジションクローズの当該社員からの退職についての合意取得が必要なのです。
…などという小難しいことは抜きにして、もっと端的に言います。
ヤンセン社内で問題視されているポジションクローズとは、一言でまとめると『割増の退職金が出ないリストラ』です。
ここが超重要なポイントなのですが、厳密に言うとポジションクローズと早期退職募集は異なります。
どちらも実質的にはリストラであることに変わりは無いのですが、早期退職であれば希望者を募り、なおかつ退職金が上乗せされるのが通例です。
しかし、ポジションクローズにおいては、その退職金の上乗せがありません。
そりゃそうです。
だって、社内のポジション(=部署や役職など)が、丸ごとクローズ(=消滅する)のですから。
ポジションが消えるということは、そのポジションに割り当てられていた仕事も消えることを意味しています。
言うなれば、“人”を切り捨てるのでなく、“仕事”を切り捨てるということです。
つまり、建前上は人員削減ですらないのです。
よって、早期退職の希望者を募ることはしない。
会社側が割増の退職金を用意することもない。
詰まるところ、そういった理屈です。
おいおい、あまりにも理不尽過ぎてドン引きだぜ…
では、消えゆくポジションで働いている社員たちはどうなのか?
それはずばり、他の部署に異動するか、それとも自ら辞めるか。
ポジションクローズの対象者は、この2択を突き付けられるワケですね。
これに関して、前者を選択できる社員は特に問題ないでしょう。
しかし、後者を選ばざるを得ない社員はどうでしょうか?
ハッキリ言って、大問題ですよね。
ある日突然、会社を辞めろと迫られて困らない社員などいませんからね。
しかも、割増の退職金という温情措置も無いときた。
即ち、ポジションクローズと早期退職募集は“似て非なるもの”なんですよね。
現役MRであれば知っての通り、製薬会社がリストラを行う場合は割増退職金が支払われるのが通例です。
“割増の退職金”というニンジンが目の前にぶら下がっているからこそ、社員によっては自発的に辞めるという道を選択できるのですから。
しかし、繰り返しになりますけどヤンセンのポジションクローズでは割増退職金が支給されません。
そのくせ、会社側からはエグい退職勧奨が行われるときた。
ミクス・日刊薬業・RISFAXといった業界誌で報じられている内容から察するに、ポジションクローズの対象者は、かなりキツいプレッシャーに晒されてるようです。
理不尽、ここに極まれり。
ヤンセンの社内では、このような退職勧奨が実際に行われているのだから驚きです。
ポジションが確保されていれば、会社側としては“辞めてくれ”とは言えません。
少なくとも、言いにくいのは間違いないでしょう。
ですが、そのポジション自体が消滅すれば、業務が無いことを理由として、会社側は“辞めてくれ”と堂々と言える。
まさにこれは、労使の力関係に基づいたパワープレイだと言えるでしょう。
それと同時に、労働者側の立場がいかに弱いのか浮き彫りになりました。
あまりにも会社側に都合が良すぎる展開であり、今この記事を書いている私自身も、ヤンセン社員ではないにも関わらず釈然としない気持ちでいっぱいです。
その一方で、ポジションクローズの当事者であるヤンセン社員としては、会社側の退職勧奨に反論しにくいのも事実。
だからこそ、理不尽なポジションクローズに対抗するべく、ヤンセン社内で『労働組合』が結成されたのでしょう。
ヤンセンの有志社員が労働組合を結成!!
2022年の12月7日、ポジションクローズに対抗するべく、ヤンセンファーマ内で労働組合が結成されました。
業界誌等によると、正式な名前は『東京管理職ユニオン・ヤンセンファーマ』だそうです。
ポジションクローズとかいう、労働者にとっては理不尽極まりない方策。
これに対して、“個”の力で抗うには限界がある。
しかし、“集”の力なら会社側も無視できないはず。
この労働組合が結成された背景には、そのような目論見があるのでしょう。
もちろん、ヤンセン社員たちによる不満や怒りが色濃く反映していることも窺えます!
そんなヤンセン労働組合ですが、会社側に対して団体交渉の申し入れを行いました。(※2022年12月14日)
早い話、ポジションクローズに伴う退職勧奨を中止し、雇用を継続ように呼び掛けるというワケですね。
この一件について、私の周囲にいる同僚MRたちの反応を見る限り、賛否両論といった感じです。
私も同僚MRも所詮外野なので、意見が割れるのは当然なんですが…
とりわけ、否定派のMR(先輩)なんかは冷めた口調でこう言い切りました。
こういった意見について、確かに一理あるとは思います。
おそらく、ヤンセン社員たちの間でも、労働組合への考え方は割れているのではないでしょうか?
この状況で労働組合に加入する社員がいるとしたら、その人は相当な気骨があるタイプだと思いますし。
私の先輩MRが言うように、生半可な抵抗などしないで転職活動するのが、サラリーマンとしては賢い身の振り方なのかもしれません。
会社から言われた通りに、潔く退職することを即決するタイプの人の方が、長い目で見れば人生上手くいくのかもしれません。
ですが、私個人としてはヤンセン労働組合の人たち応援したいです!!
それはもう、メチャクチャ応援したいです。
会社側の良いようにされて、文句の1つも言えないまま退職へと追い込まれる。
そんなの、どう考えたって悔しいじゃないですか。
もし仮に会社側との交渉が上手くいかない展開になったとしても、せめて一矢報いたいと思うじゃないですか。
団体交渉だろうが何だろうが、やらないで後悔するより、やって後悔する方がマシじゃないですか。
だからこそ、各業界誌にて『ヤンセン社内でポジションクローズに対抗するべく労働組合が結成された』という記事を見た時は、私は外野という立場でありながら心が躍ったものです。
自分自身がMRとして働いているせいか、MRを含む労働者の意地を見せてやりたいというヤンセン労働組合の気概は、マジで胸に響きました。
ドラゴンボールで例えるなら…
フリーザ(=強大な敵)に挑むバーダックを想起させられました!
(例えが下手ですいません…)
労働組合を結成し、そして会社側に労働者としての意見を伝える。
自分たちが言いたいこと、そして言うべきことを伝える。
その上で、労働者にとって少しでも有利となるような状況を生み出すべく尽力する。
ヤンセン本社に雇用継続の要求が受け入れられるのかどうか、その成否はさて置き…
ポジションクローズという名の理不尽に抗う姿勢には、心底シビれました!!
これは世間的に見れば、もしかしたら“賢い行動”ではないのかもしれません。
最終的な結末次第では、労働組合を結成しても意味はなかった…などと言われてしまう日が来るのかもしれません。
ですが、人生では何事においても自ら行動を起すことが大切です。
私は一介のMRとして、私はヤンセン労働組合の皆さんには頑張って頂きたいと思っています。
このブログには毎日それなりのアクセス数があるので、この記事(=ヤンセン労働組合の勇姿)も一定数のMR・MSたちの目に触れる…はずです!!
アストラゼネカの労働組合による援護射撃
ヤンセンファーマ内で労働組合が結成された裏で、実はアストラゼネカの労働組合が一枚噛んでいます。
…と言うのも、アストラゼネカ労働組合による助言を受けて、一部のヤンセン社員たちが労働組合を立ち上げるに至ったようです。
私も今回初めて知ったのですが、アストラゼネカ労働組合は過去にポジションクローズを巡って、何と会社相手に訴訟を起こしています。
しかも、裁判の末に和解を勝ち取ったという実績まであります。
(※当時の詳しい経緯については、ミクスや東京管理職ユニオンのホームページにて閲覧できます。)
AZ 労使紛争で和解成立「社員関与する全ての訴訟が解決」組合と労働協約を締結
“先駆者から学ぶ”とでも言いますか、ヤンセン労働組合からすれば頼もしい援軍ですよね。
既に訴訟&和解の経験がある労働組合であれば、再現性の高いノウハウも沢山持っていることでしょう。
これはもう、援護射撃としては申し分ないですよね!!
ヤンセン労働組合が会社相手に交渉を進めていく際、アストラゼネカ労働組合からの助言が役立つことは間違いなさそうです。
それにアストラゼネカ労働組合からしても、ヤンセンのポジションクローズ問題は看過できないと思ったようですし。
かつて自分たちがポジションクローズの辛苦を味わったからこそ、同業者であるヤンセン社員たちに助け舟を出そうと思ったのでしょうか?
それとも、ポジションクローズというやり方そのものを、心の底から憎んでいるからこその行為でしょうか?
何はともあれ、こうして“会社”という枠を超えて労働者同士が協力し合う様は、私もいち労働者として胸が熱くなる思いがします。
これって、多分だけど業界初の事例では!?
ところで、アストラゼネカ労働組合は独自にブログもやっています。
実はですね、ヤンセンの一件で色々と調べてみたところ、アストラゼネカさんの労働組合ブログに辿り着きました。
(※興味がある人は以下のリンク先を覗いてみて下さい!)
せっかくの機会だと思い、ブログの記事を一通り拝見しましたが…
とにかく、リアリティが半端じゃない内容ばかりです。
退職勧奨の強烈さとか、会社相手に交渉することの大変さとか、その他諸々。
純粋に、ただ読んでいるだけで勉強になるようなブログです。
同時に、私自身の労働法に関する知識不足も痛感しました(汗)
労働組合として蓄えてきた経験値も凄まじそうなので、やはりヤンセン労働組合にとっては心強い味方となり得るでしょう。
アストラゼネカ労働組合という前例を踏まえて、ヤンセン労働組合の皆さんには、今回のポジションクローズという難局を打破して頂きたいですね。
労働組合vs会社…団体交渉の行方は?
ヤンセンファーマの社員側が労働組合を結成したことを受けて、会社側もまた労働組合との交渉に応じる姿勢を示しました。
いや、この場合は“応じざるを得なくなった”と表現する方が適切ですかね。
そもそも、ヤンセンの経営陣にとって、労働組合の結成は想定外だったのではないでしょうか?
ポジションクローズに伴う退職勧奨を行うという時点で、社員からの反発はある程度予想していたことでしょう。
ですが、まさか社員たちが労働組合なんてモノを作ってまで、ポジションクローズに対抗してくるという展開までは想像していなかったと思います。
ある意味、本件におけるヤンセン経営陣の仕事とは『ポジションクローズによって社員を辞めさせること』なんですよね。
よって、労働組合からの雇用継続要求によって、今度は経営陣サイドが職務を全うできなくなる可能性が出てきたワケです。
経営陣の目線で考えてみると、今の状況は“窮鼠 猫を嚙む”といったところでしょうか…
労働組合の結成について、実際のところヤンセン経営陣がどのように感じているかはさて置き…
早ければ2023年1月に、会社&労働組合による第1回目の交渉が実現する予定です。
ヤンセン労組、来月11日にも初の団体交渉 会社側は關口社長名で受諾回答、「誠実に対応していく」
ヤンセン労働組合としては、この交渉テーブルにて退職勧奨の中止を要求するみたいですね。
他には、退職勧奨の対象者について、どのようにして人選したのか説明を求めることも行うのだとか。
もちろん、ヤンセン労働組合側は交渉材料としては色々なカードを用意していることでしょう。
(※業界誌によると、今までの経営努力などを訴えていくつもりらしいです。)
さすがに交渉が1回だけで終わることはないと思いますが…
この第1回目の交渉によって、労使間である程度の着地点が見えて来るのではないかと思います。
その一方で、この交渉の裏では弁護士も関わっているんですよね。
このことからも、ヤンセン労働組合の本気度は高いことが窺えます。
組合員ではないヤンセン社員たちに対して、労働組合への加入を促すような活動もやっているみたいですし、とにかく精力的に活動している印象を受けています。
ヤンセン労働組合の中心にMRがいるとしたら、その人はMRとしても絶対に優秀なタイプだと思います!!
会社側が退職勧奨を撤回!!
2022年の年末間近、ついにヤンセンの労使間で団体交渉が行われることに決まりました。
そのXデーとも呼ぶべき開催日は、2023年の1月11日。
当日は『労働組合』vs『ヤンセンの代理人(弁護士)』という構図みたいですね。
つまり、ヤンセンの会社側は経営陣が自ら団体交渉に臨むのではなく、弁護士を代理人として交渉する…というワケですね。
ヤンセン労組、11日に初の団体交渉 退職勧奨の人選方法など追及へ
そして、日刊薬業で報じられた内容によると、団体交渉に先立って状況が変化したそうで。
具体的には、何と会社側が退職勧奨を撤回したとのこと!
これは十中八九、組合側から追及を受けそうな不安材料について、団体交渉の前に減らしておこうという会社側の目論見でしょうね。
何れにせよ、ポジションクローズによって窮地に追いやられていたヤンセン社員にとっては、これは朗報だと言えるでしょう。
ポジションクローズの対象者にとっては、多少なりとも精神的に救われたはずですし。
それにしても、ヤンセン社内で労働組合が結成され、そして団体交渉の日時がセッティングされただけで、会社側が退職勧奨をストップするとは驚きです。
(※もちろん、その舞台裏では労働組合による尽力があったと思いますが。)
労働組合が結成されてから、退職勧奨の撤回まで、僅か1ヶ月程度。
これ程までの短期間で、ここまでの急展開が起こるとは。
何れにせよ、ヤンセン労働組合にとっては、まずは第一関門突破と言ったところでしょうか。
この一連の流れを外から見ていて、やっぱり自ら行動を起すことは大切なんだなぁと改めて思いました!
…とはいえ、現時点ではポジションクローズ対象者への退職勧奨が撤回されただけです。
実際のところ、退職とまでは言わないまでも、不当な異動を命じられる可能性は十分に残っています。
今後、会社側にポジションクローズそのものを撤回させられるかどうかは、労働組合の手腕に左右されそうですね。
第1回目の団体交渉が実現するも、決着は付かず
いよいよ迎えた、2023年の1月11日。
東京都内でヤンセン労使の団体交渉が行われました。
業界内でもメチャクチャ注目されているのか、業界誌も特集記事を組みまくっております。
ヤンセン ポジションクローズで初の団体交渉 退職に合意しなかった社員に「適切なポジション」通知へ
…で、結果はどうだったと言うと、決着は付かず仕舞いだったとのこと。
まあ、たった1回の団体交渉でポジションクローズの一件が決着するとは、私も思っておりませんでしたが…
業界誌で報じられている内容を読む限り、労働組合・会社ともに一歩も引かないバトルだったみたいですね。
ちなみにですが、私個人としては会社側の対応が印象的でした。
労働組合からの要求に対して、会社側は応じない。
何らかの理由を付けて、明言は避ける。
自らの非は認めず、はぐらかす。
老獪と言うか、駆け引き上手と言うか、何と言うか。
ヤンセン労働組合からすれば、さぞかしやりにくい交渉だったことでしょう。
…と言うのも、会社側のメンバーには弁護士も含まれていますからね。
法律的に不利になるような事柄は事前にチェックし、それ相応の対策を練って団体交渉に臨んでいたはずです。
それは会社側としては当然の戦略ではありますけど、私自身はヤンセン労働組合を応援したい派なので、業界誌で報じられた内容を読んでモヤモヤしてしまいました。
MS時代に経験した、病院でのタフな価格交渉を思い出しましたよ…(汗)
そして、今回の団体交渉において、個人的に特筆すべき部分がもう一つあります。
それは、会社側が行っていたという退職勧奨のやり方です。
今回の団体交渉を通じて、ポジションクローズ対象者への冷遇について、その実態が明るみ出たワケですが…
どれもこれも、エグ過ぎる。
それはもう、マジでエグ過ぎる。
特に、ポジションクローズ対象となっているMRに対する仕打ち。
MR本人は雇用継続の意志を示しているにも関わらず、会社からPCや社用車の返却を求められている事例もあるらしく、同業者としては気の毒で仕方ありません。
私自身がMRとして働いているから余計にそう思うのかもしれませんが、社内で冷や飯を食わされるとは、まさにこの事なのかと。
だって、MRなんてPCや車が無かったら何も出来ないじゃないですか。
PCを取り上げられたら、オンライン面談も出来ないし、PowerPointを用いた説明会も出来ない。
車を取り上げられたら、外勤もクソもあったもんじゃない。
今回のポジションクローズで対象者とされたMRからすれば、本当に辛い状況だったことでしょう。
これらの処遇について、自分自身に置き換えて考えてみると心底ゾッとします…
この度、会社側は退職勧奨を撤回したのは事実のようですが、上記のようなPCや社用車の返却問題について解決したのかどうかは、今のところ定かではありません。
もし今もPCや社用車の返却を求められ、なおかつ理不尽な異動を命じられているMRがいるとしたら、同業者としては見るに堪えません。
こういった窮地の中で藻掻いているMRを救うという意味でも、ヤンセン労働組合の皆さんには、どうか頑張って頂きたいと思っています。
現役MRにとって『ポジションクローズ』は他人事ではない
ポジションクローズとは、外資系企業が好んで使う手段だと言われています。
それは即ち、外資系製薬メーカーに勤めるMRにとっては、決して他人事ではないことを意味しています。
先ほどお伝えした通り、過去のアストラゼネカで同様の事例があったワケですし。
…と言うか、内資系の製薬メーカーでも表沙汰になっていないだけで、実際にはポジションクローズが横行している気がします。
それこそ、MRが退職勧奨を受ける時なんて『このまま会社に残っても、あなた出来る仕事はない』が決まり文句みたいなものですし。
MRとしての売上低調だとか。
コンプライアンスの違反だとか。
会社としての業績不振だとか。
会社側がその気になれば、いくらでも理由を付けてMRを対象としたポジションクローズを発動できます。
“ポジションクローズ”と銘打たなくとも、ポジションクローズに限りなく近い措置により、この業界を去っていったMRもいることでしょう。
今回はヤンセンの一件がきっかけで『ポジションクローズ』という言葉を知った私ですが、現役MRとしては戦々恐々といったところです。
こんなもん、個人の力で抗うには限界があるからなぁ…(汗)
今のご時世、どこの製薬会社もリストラをやっています。
もはやリストラとは、MRが背負った宿命みたいなもんです。
だからこそ、MRとしては『リストラされるなら退職金をガッポリ貰って辞めてやる!』という戦略で頑張っている人もいるワケですが…
その“割増の退職金”も、ポジションクローズの場合は水泡に帰すのだから恐ろしい。
ちょっと話が変わりますけど、ヤンセンがポジションクローズを発表する数ヵ月前、ファイザーが大規模な早期退職募集(=リストラ)を行うと報じられました。
これがまたエグいリストラとのことで、業界内では騒然としたものです。
詳しくは下の記事で書いていますが、1,200人いる営業関連のファイザー社員(MRを含む)のうち、半数の600人が2022年12月に辞めるときた。
あまりにも残酷なリストラであり、その人数も相まって2022年においては業界内で最大規模のリストラ劇となってしまいました。
ファイザーの大規模リストラを見ていると“時代の残酷さ”が身に染みる
しかし、今こうしてヤンセンのポジションクローズ云々を目の当たりしていると、ファイザーのやり方は、まだ良心的な方だったと思えてなりません。
ファイザーの場合は、曲がりなりにも割増の退職金をガッツリと支給していますからね。
ですが、繰り返しになりますけどヤンセンのポジションクローズでは、退職金の割増なんて一切ありません。
あるのは“あなたの仕事はない”“だから会社を辞めてくれ”という退職勧奨だけ。
同じ外資系の製薬メーカーだと言うのに、この違いは一体何なのでしょうか。
ファイザーも、ヤンセンも、やっていることは同じリストラです。
しかし、そのリストラの“質”が違い過ぎる。
リストラの理不尽さを比較した場合、どう考えてもヤンセンの方が一枚上手です。
リストラという言葉で括れば同じでも、その実態を見ると“上には上がいる”ことを痛感させられます。
ヤンセン・アストラゼネカといった前例がある以上、いつ他の会社がポジションクローズを実行しても不思議ではありません。
割増の退職金を支払いたくない会社であれば尚更、ポジションクローズという手段を使い、MRを追い込んでくる可能性は十分にあります。
外資だろうが、内資だろうが、やはりポジションクローズはMRにとって他人事ではない時代になっていきそうです。
“二度あることは三度ある”と言いますからね…
最後に:理不尽なポジションクローズを許してはならない!!
MRとして、いや、労働者として、ポジションクローズなんてものは到底受け入れられませんよね。
ある日突然、会社を辞めるように迫られる。
それも、選択の余地もなく…です。
退職勧奨がきっかけで転職活動を行ったとしても、それが上手くいく保証はありません。
そもそも、普段から転職への備えをしていたとしても、ポジションクローズのタイミングで自分が希望する求人が都合よく出ているとは限りません。
もし仮に求人があったとしても、無事に内定まで辿り着けるという保証もありません。
昨今の転職市場にはMRが溢れており、すぐに同業他社へと移るのは至難の業。
異業種への転職であれば、尚更ハードルは高いです。
現役MRとしてお世話になっている転職エージェント4選!転職への備えは万全に!
生き残りを賭けた椅子取りゲーム?転職市場に優秀なMRが溢れている現状について思うこと
会社が定めた退職日より前に転職先が決まらなければ、その先に待っているのは無職という状態です。
この“無職の状態”は思いのほか厄介で、履歴書や職務経歴書に記載すると、もうそれだけで採用担当者からの印象が悪くなります。
(※例えば、うつ病などを患っていると疑われたりとか。)
だったら、せめてもの温情として、多少なりとも割増しで退職金を支払ってほしいところです。
しかし、ポジションクローズの場合だと、そんなものは一切ナシ。
これって、労働者からしたら憤慨もいいところですよね。
だからこそ、私はヤンセン労働組合の皆さんを心から応援したいです!!
このポジションクローズとかいう悪例をブッ倒して、MRはそんなものに屈しないということを業界内に知らしめて頂きたいです!!
こんな理不尽なこと、外野である私から見ても胸クソ案件なんですよ、本当に。
もしこのままヤンセン本社の意向が変わらずにポジションクローズとなってしまったら、それに追随する製薬会社が絶対に出てきます。
従いまして、これはもうヤンセンファーマだけではなく、業界全体の今後をも占う事態だと思っています。
もうマジで、ヤンセン労働組合の皆さんには、和解なり好条件なりを勝ち取ってほしい。
これが私の偽らざる本音です!!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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ヒサシさん新年明けましておめでとう御座います。ポジションクローズ、初めて知りました。小池都知事よろしく何でも横文字にすれば良いってもんじゃないコレって要するに指名解雇でしょ!しかも退職金も無しとは酷いものですね。労組を立ち上げて団結して会社と闘う姿勢を見せ、そして弁護士やアストラ労組の協力を得てガチンコで交渉する!ヒサシさんと同様、若しくはそれ以上に似たような仕打ちを受けた私にとっては本気で応援しています!黙って従い去っていくのは負けを文句を言わずに受け入れるということです。そんな選択は悲しくて切ないじゃないですか…。労組にカンパする機会があればしたいぐらいです!そして一定以上の成果を勝ち取って他の企業の経営陣に見せつけてやらなければどんどん同じ事をする企業が出てきますよ。年明けからすぐに団体交渉が始まり組合員の方々は大変だと思いますが頑張ってほしいです!関連ニュースを注視していきます。何か進展あれば是非記事で教えてください。今年も宜しくお願いします^_^
ホルモンさん
コメントありがとうございます!
今年も沢山のコメントをお待ちしています!
さて、ヤンセンのポジションクローズですが、ホルモンさんが仰る通り、実態は指名解雇と同じようなものです。
表面上は業績好調なヤンセンがここまで無慈悲な仕打ちをするとは、本当に夢にも思いませんでした。
個人的には、割増の退職金が出ないという点が特に理不尽だと思っています。
メディセオやスズケンといった医薬品卸(=利益が乏しい企業)ですら、リストラの際には割増の退職金を支払ったというのに…。
ヤンセンのポジションクローズに関して、今後も新情報が出る度に追記を行っていくつもりです。
是非また当記事を読みに来てください!
一矢報いてる暇があったら今後の身の振り方を考えた方がマジで良いですよ。
– なぜJ&Jはヤンセン(日本支社)に人員削減を命じているのか
– なぜヤンセンはポジションクローズを選択したのか
– なぜ他社日本法人は人員削減を継続するのか
この点を深掘りしたら、答えは見えてくると思います。
IT業界でもリストラの嵐ですが、どのような業界でもビジネスの成長、停滞、衰退は必ず起こりますし、今後そのサイクルはさらに短くなります。
MR辞めた人さん
コメントありがとうございます!
頂戴したコメント内容から察するに、現在はIT業界にお勤めの方でしょうか?
今後、リストラ対策のために賢く生きべきという意見には賛成です。
その一方で、ヤンセンのポジションクローズに関しては、同業者であるMRとして釈然としない思いがあるのも事実です。
業界を問わず、リストラやポジションクローズに対して正面から抗おうとする人たちの気概には敬服しております。
ヒサシさん、こちらも大変興味深く読みました。思うのは、①なぜもっと早く労働組合を結成していなかったのか。②組合のない会社(ましてや外資系)に、なぜ入ったのか。③ヤンセンの後にも、同様の手口を使う会社が出てきかねないので、組合には徹底的に闘って欲しいと思う一方、もし友人がヤンセンに居たら、未来を見据えて「出来る事」「可能な事」に集中した方がいい、と助言するだろう。自分自身の経験として、後ろ向きな活動に精神と活力を奪われるくらいなら、未来への活動に前向きに取り組んだ方が、たぶん満足感が得られるだろうと思う。
いずれにせよ、世の中はどんどん変わる。会社も変わる。人も変わる。自分自身も変えて進化していかなければ、いずれ淘汰される。 私の祖父が口グセのように言っていたのが、人生死ぬまで勉強。新しい事にチャレンジし続ける事しか生き残る術はないと思う。 アステラスの同期の大半は、50代半ばで早期退職してしまったが、それまで高かった年収に合わせた生活水準が変えられず、苦労していて、今はほとんど連絡がつかなくなってしまった。まぁそれでも割増退職金が多少なりとも出たので、まだマシか。しかし、割増退職金の制度を知っていますか? 割増退職金の平均というのは、みんな平均額を貰えるのではなく、人によって大きく差があります。年収からボーナスを引き、各種手当を引いた、本給の月額×月数であり、そこから年齢によって月数が変わりますので、50歳付近が最も高いですが、60歳にはゼロになりますから、57歳とかではピークの3割しかありません。
前にも書いたとおり、アステラスは事実上、50歳までに部長になっていなければ、閑職にまわされる社内定年があります。私はそれを知っていたので、転職サイトは複数登録し、情報は集めていたし、ヘッドハンティングの電話でも、面談して情報は集めており、人脈も作って、着々と転職に備えていました。すると、50歳の時に早期退職募集があり、60ヶ月!も割増だけでありました(といっても、ボーナスや手当がないので、実質3年分)ので、ラッキー!とばかりに転職したのでした。結婚出産も早かったので、50歳で下の子が大学3年でしたから、必要なお金も読めます。
ヤンセンやアステラスに限らず、今後3年以内に総ての製薬会社がMR削減に動くのは確実です。MRがゼロにはならないと思いますが、10年、20年後はわかりません。 よい時のうちに悪い時の準備はしておく。備えあれば憂いがあっても、少なくてすみます。
Hirappaさん
コメントありがとうございます!
「出来る事」や「可能な事」に限度があるのは事実であり、そのために時間と労力を費やすのは大変なことです。
ご指摘の通り、後ろ向きな活動であれば尚更です。
良い時勢のタイミングで凶事に備えておかないと、上手くいくものも上手くいかなくなりますよね。
この業界に限らず、人生全般に通じる真理だと思います。
私自身もリストラには今後も警戒しながら生きていく所存です!
法的な理論武装は必要です。以下は厚労省がパワハラとして挙げている者の抜粋です。
1)身体的な攻撃
2)社員としての地位を脅かす言葉や名誉棄損に当たる言葉、人格否定など。違法行為の強要など、精神的な攻撃
3)無視や仲間外し、情報を与えない、別室に隔離するなど、人間関係からの切り離し
4)業務上明らかに不要な事や遂行不可能な指示をする。懲罰的見せしめ的に始末書を求める。過大な要求もパワハラ。
5)逆に過小な要求もパワハラ。まったく仕事を与えない、懲罰的な単純作業。
6)私的な事に過度に立ち入る。私的な事に対し、不適切な発言、立ち入った管理。私物ののぞき込みなども。個の侵害となります。
●ポジションクローズだけでは、これらに該当するとは言えないかもしれませんが、それに伴って、上司が変な言動をする場合が多々あります。録音をしておくことは自己防衛として必須です。たとえ、上司が録音を許可しなくても(許可を求める必要もありません)。 会社も面談する上司に対し、レクチャーをした上で、ポジションクローズの話などをさせますので、馬脚を現わす事は少ないですが、ただハイハイと聞くだけではなく、「それは、どういう意味ですか?」「それは、こういう理解をしましたが、それで大丈夫ですか?」などと問い詰めていくと、馬脚を現わす事があります。
●私は、幸いにも、人事面で理不尽な場面に遭遇した事はありませんでしたが、常に録音はしていました。不定期な面接でも人事評価面接でも。 今ならスマホで簡単に長時間録音できます。
Hirappaさん
コメントありがとうございます!
自衛のための手段として、録音は非常に有効ですよね。
私も時々ですが行うようにしています。
無断での録音であっても法律上は罪に問われませんし、言った・言わないの水掛け論を避けるという意味でも大切ですね。
ヤンセンのポジションクローズに限った話ではありませんが、昨今はどの製薬会社でも理不尽な退職勧奨が当たり前の世の中ですので、自衛意識を忘れないようにしたいものです。
MRのみなさんに、ちょっとだけ明るいニュースが今日の日刊薬業で、ありました。
ギリアドが、MRの自社販売体制を構築するため、自社MRを募集している旨、社長が会見で明らかにしたそうです。トロデルヴィという乳がん治療薬がその戦略品だとか。
ADC 「トロデルヴィ」、国内承認見越しMR増員
ギリアド、乳がんで申請中
ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング社長は19日、 東京都内の本社で報道陣を集めたオンコロジー メディアラウンドテーブルを開き、サシツズマブ ゴビテカン (海外製品名=「トロデルヴィ」)について 「自社単独販売を進めるためMRの増員を行っている」と述べた。
同剤は、現在唯一無二の作用機序の薬剤。
ブライスティング社長は、 国内承認取得後の営業活動に向け「今ちょうどMRを採用しており、ある程度のMRの部隊になる」と述べた。 ただ、 人数は明らかにしなかった。
HR+/HER2-の乳がんについて2026年中の承認取得を目指し、その後、膀胱がん、肺がんの順で適応拡大を進めていく考えを示した。「適応拡大の予定を見ながらさらにMRを増員していく」と述べた。
Hiさん
コメントありがとうございます!
ギリアドのMR募集は私も見ていました。
MRが余っている今のご時世だと、こういった募集案件に飛びつくMRは山ほどいそうですね。
私もエージェント経由で色々な話を聞きますが、競争率が高過ぎて倍率が100倍とかザラにあるとか。
需要と供給の差が激しくて、結局のところMR同士で熾烈な競争が繰り広げるワケですね。
それでも募集案件が無いよりはマシですので、今後もギリアドのように新製品を出す会社には頑張ってほしいものです。