こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
2020年10月に【メディセオグループのリストラに関する記事】を書きましたが、この年末のタイミングで新しい情報が浮上してきました。
2020年12月28日、ミクスオンラインにメディセオグループ3社(メディセオ・エバルス・アトル)について希望退職者の人数が掲載されたのです。
何と、560人です!!
メディパルHD メディセオ、アトル、エバルスの希望退職者募集に560人が応募
これは地方の集落と同じか、あるいはそれ以上の人数です。
私が子供の頃に通っていた小学校・中学校の全生徒数よりも多いです。(汗)
この560人という人数だけを見れば、2017年のスズケングループによるリストラ人数を上回っています。
スズケン 希望退職者は423人に 当初募集人員上回る 約半数は営業
つまり、ここ10年ほどの医薬品卸においては最大規模のリストラと言っていいでしょう。
さて、このメディセオグループのリストラは希望退職と銘打ってはいますが、実際には肩叩き⇒半強制退職という噂もチラホラ聞いています。
ある筋からの情報によると、45歳未満の社員にも退職勧奨が行われていたとか…
私も仕事柄メディセオグループのMSさんと話す機会があるのですが、社内では大混乱だったようです。
これじゃ製薬会社が行うリストラと何も変わりません。
人情など欠片もない、残酷な措置です。
つまり、こんな残酷な選択を迫られるほどメディセオグループ3社は追い詰められているということを意味しています。
そして、今回のメディセオグループによるリストラは他の医薬品卸にとっても他人事ではありません。
そこで、本日はメディセオグループ3社によるリストラについて感じたことを記事にしてみました。
リストラされるMS・残されるMSについて思うこと
繰り返しになりますが、メディセオグループ3社(メディセオ・エバルス・アトル)におけるリストラ人数は560人です。
ちなみにですが、今回のリストラ対象年齢は45歳以上の社員です。
そして、2020年10月の段階でメディセオグループ3社によるリストラが発表された際、3社における45歳の社員数は約3,500人と報じられてました。
【速報】メディセオ、エバルス、アトルの3社で希望退職者募集 45歳以上・勤続10年以上
つまり、45歳以上の社員のうち、単純計算で7分の1くらいが辞めるということです。
マジで恐ろしい話です…
このうち、メディセオ・エバルス・アトルで何人ずつリストラするのかは不明です。
ついでに、560人の中でMS(営業)・事務・配送・倉庫・薬剤師職・管理職など、退職する人たちの職種の内訳についても、今のところ報道されていません。
この先も報道されない可能性大ではありますが、元MSとしては大変気になるところです。
流石に560人のうち、MSが500人以上を占めている…ということはないと思います。
ですが、もしリストラされた人たちのうち、大部分をMSだとしたらメディセオグループはどうなるのでしょうか?
ここ数年、ただでさえMSは減少傾向です。
MSの人数が過去最少を更新!医薬品卸がなくなる時代に突入か?
その影響によって、残されたMSの業務量は増大しています。
このブログでも紹介してきた急配・返品・詰め・自主回収といった業務について、当たり前ですがMSが減れば減った分だけ、残されたMSに仕事が集中してしまいます。
特に、出荷停止・出荷調整に関する業務の負担たるや、半端なものではありません。
医薬品の出荷調整・出荷停止の度にMSは苦しんでいる!自主回収後の地獄を語る!
出荷調整に嫌気が差した若手MSが急増中!彼らは医薬品卸を辞めたがっている!?
例えばですが、今まで病院・開業医・調剤薬局などを合計50軒を担当していたMSがいたとします。
そのMSの隣のエリアにて別の施設を合計50軒担当しているMSがリストラされたとしたらどうなるでしょうか?
当然、会社としてリストラを行っているくらいですから人員補充などはあり得ません。
では、リストラされたMSの担当先はどうなるか?
当然、残されたMSが引き継ぐしかありません。
つまり、場合によっては先月まで担当していた50軒に加えて、リストラされたMSが担当していた50軒分も引き継ぎ、合計100軒もの施設を担当するMSが出てくる可能性もあるのです。
元MSとして言わせていただきたいのですが、MSとして100軒も担当することになったらマジでヤバいです。
もし私が今もMSだったとして、100軒もの軒数を担当したら1年耐えられるかどうかも怪しいです。
こうなるとMSの本来業務どころじゃありません。
下手したら、急配や返品だけで1日の業務時間が終わりかねません。
ましてや、2020年の12月に端を発した小林化工の自主回収問題は全く決着していません。
健康被害が続出!小林化工によるイトラコナゾール錠の自主回収について思うこと
もしこんな状態でリストラされるMSの担当先を大量に引き継ぐとしたら、後任のMSが気の毒すぎます。
2017年のスズケングループによるリストラの際、残されたスズケン社のMSは阿鼻叫喚の状態だったそうです。
あのときの大混乱がメディセオグループで再現されてしまうのだろうか…
リストラされるMSも大変でしょうけど、残される側のMSも違った意味で大変です。
残されたMSさんには、とにかく心身を病むことなく健やかに過ごしてほしいものです。
リストラされた事務・配送・倉庫の人たちは何処へ行くのか?
希望退職する560人のうち、その中には多かれ少なかれ、事務・配送・倉庫の人たちも含まれていることでしょう。
下の記事でも書きましたが、再就職について薬剤師職や管理職は多少なりともアドバンテージがあると思います。
メディセオが希望退職者を募集!製薬メーカー数社との取引中止が関係しているのか?
ですが、それ以外の職種の人たちにとってはどうでしょうか?
希望退職の対象年齢が45歳以上とのことですが、どう考えても厳しいのではないでしょうか。
ミクスオンラインの記事を読む限りでは、再就職支援も実施すると報じられています。
ですが、リストラする会社が行う再就職の支援など、ハッキリ言ってたかが知れています。
ぶっちゃけ、手厚い支援には期待しない方がいいかと…
このような場合、会社が契約している転職斡旋会社が再就職先のお世話をしてくれると相場が決まっています。
ですが、その再就職に関するサポートの“質”は大したことがありません。
下手したら、自分自身で転職エージェントに相談して行う転職活動の方が、よほど効率よく再就職できそうです。
MS時代に活用していた転職サービス5選!各々のメリット・デメリットも一緒に解説します!
今回のリストラの一件について、もし製薬会社と同じような再就職支援がされるのだとしたら、あまりアテには出来なそうです。
そんな支援であっても、無いよりはマシなのかもしれません。
しかしながら、自分の思った通りの再就職先を見付けられる人は少数派ではないでしょうか?
これこそ、まさにリストラの残酷さが際立つ部分です。
それと同時に、会社ってヤツは非情であることが否が応でも実感させられます。
談合問題でお咎めナシなのにリストラするのか?
2020年の12月上旬、医薬品卸4社の談合問題について大きな進展がありました。
詳しくは下の記事を見てほしいのですが、不謹慎を承知で言うならメディセオグループは談合した4社の中では間違いなく『勝ち組』です。
医薬品卸4社のJCHO談合問題はいつ決着するのか?今後の展開について考えてみる!
JCHOの指名停止措置で大手&地場の医薬品卸に激震!談合問題でまさかの展開か!?
自社から起訴された人数はゼロ。
談合に伴う課徴金(罰金)もゼロ。
JCHOや国立病院機構など、市場の大きな施設との取引についても今のところ影響なし。
それどころか、ライバルであるアルフレッサ・スズケン・東邦の3社は各病院からの指名停止が相次いでいる。
その影響により、メディセオグループは2021年に売上&利益のアップを狙える土台が出来上がりつつあります。
確かに、今後の公正取引委員会の出方次第では、メディセオグループが窮地に陥る可能性もゼロではありません。
ですが、今のところ報道されている限りの情報を精査してみると、4大卸の中では間違いなくメディセオグループが有利と言える状況ではないでしょうか。
…にも関わらず、それでもリストラを敢行する意味って何なんですかね?
2021年は良くても、2022年以降に会社としてジリ貧になるであろう。
…という予想のもとでの決断なのでしょうか。
あるいは、2021年春におけるGSKとの取引停止の影響を重く受け止めているのでしょうか。
GSKがメディセオ&地方卸との取引を打ち切る理由について考えてみる
個人的には、リストラせざるを得ないくらいの悪条件が揃っているとは思えません。
2021年以降もコロナ禍の影響が続くでしょうけど、JCHOや国立病院機構での取引継続という好材料もある。
むしろ、同格の医薬品卸であるアルフレッサ・スズケン・東邦よりも有利であるとの印象すらあります。
…とはいえ、上記3社を相手にアドバンテージを発揮できるのも、せいぜい1年程度です。
2022年以降はJCHOにせよ国立病院機構にせよ、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社と取引を再開する可能性大です。
正味のところ、その後の未来なんて誰にも分かりません。
メーカー仕切価の上昇、毎年の薬価改定、そして先の見えないコロナ禍。
医薬品卸にとっての不安要素を数えたらキリがありません。
今回のリストラは直近の数年間ではなく、5年後や10年後を見越した上での決断なのかも知れませんね。
最後に:医薬品卸のリストラ劇は今後も続くだろう
個人的にですが、メディセオグループ3社が560人もリストラするのは意外でした。
せいぜい200人~300人くらいかと思っていたのですが、予想以上の人数だったので正直驚いています。
一連の談合問題にて最も上手く立ち回り、そして少なくとも2021年は勝ち組となるであろうメディセオグループ。
それなのに、まさかここまでの大人数をリストラするとは…。
この流れだと、他の大手医薬品卸であるアルフレッサ・スズケン・東邦、そして地場の医薬品卸がリストラに踏み切っても全く不思議じゃないです。
これまた個人的な見解ですが、今回のメディセオグループによる大量リストラは、各医薬品卸におけるリストラの前兆だと思っています。
少なくとも、2021年においては『勝ち組』になるであろうメディセオグループが560人もリストラしているのです。
ある意味ですが、メディセオグループ以上の窮地に立たされているアルフレッサ・スズケン・東邦の3社がリストラを考えないわけがありません。
そもそも、談合問題での起訴・課徴金・指名停止のことが報じられる以前の段階で、各医薬品卸の決算状況はボロボロです。
詳しくは下の記事を見て頂きたいのですが、メディセオを含む4大卸の経営状態は好調とは言い難いですからね。
大手医薬品卸4社の営業利益率がヤバい!コロナ禍・仕切価上昇・価格競争の影響が深刻すぎる!
つまり、談合問題の影響を抜きにしても、各社ともに経営状態を好転させるための材料が乏しいのです。
このままでは2021年以降、製薬会社だけでなく医薬品卸でもリストラの風が吹き荒れそうですね。
業界全体が暗い方向へと進んでいる気がしてならない…
今のご時世、リストラありきでの人生設計をしないとダメなのでしょうね。
何とも世知辛いですが、このブログでリストラに関する記事を書く度に、これが現実なのだと実感させられます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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