こんにちは、元MSのヒサシです。
この記事では私がMSとして2年目(当時24歳)だった頃、某外資系メーカーの同期MRから、転職の勧誘を受けたときのエピソードを綴ってみました。
面識がある人間からの転職勧誘。
今この記事を読んでいる読者の皆さんは、これまでの人生で経験があるでしょうか?
転職自体は何も悪いことではありません。
そして、転職の方法として人脈を頼って行うやり方もアリです。
しかし、その転職を手引きする人間には本当に色々なタイプの人間がいます。
善い人もいれば、怪しい人もいる。
誠実な人もいれば、胡散臭い人もいる。
そういった意味では、今回紹介する同期MR(男性)は後者に分類されるタイプの人間でした。
…と言うのも、その同期MRは『紹介料』を目的として自社への転職勧誘をしている人だったんですよね。
彼が勤めていた某外資系メーカーでは、社員の口利きで転職してきた人間が現れた場合、会社から『紹介料』という名の報酬をもらえる仕組みがあったそうで。
どうやら、そのことが同期MRを転職勧誘の行為に走らせる呼び水となったようです。
(※詳しくは後述しますが、今回の同期MRによる転職勧誘については少しばかり闇が深いエピソードなので、具体的な社名は伏せさせてください。)
この一連の出来事の内容と、そこから得た教訓などについて記事を書いてみました。
先ほどお伝えした通り具体的な社名こそ伏せておりますが、それ以外の部分は全て実話です。
もし興味があれば、是非ともご一読ください!
発端は“同期MR”からの一声
私が当時働いていた地域(県)では、同期のMR・MSたちが集まって交流するという文化がありました。
いわゆる『同期会』というヤツです。
(※ここでの同期とは、お互いに同じ年に新卒で製薬会社・医薬品卸に入社した間柄ということです。)
例えばですが、飲み会であったり、BBQであったり、ボーリング大会であったり。
そのようなイベントが定期的に開催され、同期のメンバー同士で楽しむといった感じですね。
私自身も当時は新人MSという立場であり、同年代MRに混じって色々なイベントに参加していました。
…で、MSとして2年目だった頃に、今回の記事で取り上げた転職云々の話が勃発しました。
これは、とある河川敷で同期メンバーが集まってBBQをしていた時のことです。
私が肉や野菜を焼いていたら、ある外資系メーカーの同期MRが近付いてきて、こんな風に声をかけられました。
(※これ以降、その同期MRのことは『K君』と表記します。)
ヒサシ君!MRとして働くことに興味ない?
あまりにも突拍子のない質問だったので、どう回答したものかと戸惑ったことをよく憶えています。
…と言うか、K君が投げ掛けてきた質問の意図がまるで分からない。
ともすれば、若干の怪しさみたいなものも感じました。
第一、K君とは同期会で顔を合わせることはあるものの、県内での担当エリアは互いに離れていましたし、それほど親しい仲ではありませんでした。
言うなれば『知り合い以上、友達未満』みたいな関係だったんですよね。
少なくとも、私はK君に対してそのように思っていました。
そんなK君ですが、なぜ私(現役MS)にMRとして働くこと云々を尋ねてきたのか?
『MRの仕事に興味ない?』という言い方であれば、それほど違和感はなかったかもしれません。
しかし、『MRとして働くことに興味ない?』という言い方では、まるで転職の勧誘みたいじゃないか。
もし仮に、MRとして働くことに興味があったら何だというのか?
もしかしたら、K君は転職先の紹介でもしたいのだろうか?
でも、本当にそれだけだろうか?
正直に言うと、私はMSとして2年目の時点で、既にMRの仕事に興味がありました。
給料や休みやすさだけを見れば、MRはMSよりも優遇されている職業であることを知っていたからです。
元MSの本音!医薬品卸のMSを辞めたいと思った理由について語る!
実際、このK君に関する一件から3年ほど経った頃、私はMSからMRへの転職を決意しています。
しかし、私はK君からMRとして働くこと云々について声をかけられた際、なぜか漠然とした不安を感じたのです。
何となく嫌な予感がするというか。
胸騒ぎがするというか。
悪寒が走ったというか。
結局のところ、K君の言葉の裏には“得体の知れない何か”が潜んでいるような気がして、私は当たり障りのない回答をしました。
MRの仕事には興味あるけど、まだまだ俺はMSとして頑張るつもりだよ
ふーん、そっかー…
私からの返事を聞いたK君、すごく残念そうだったんですよね。
今にして思えば、K君にとっては望ましくない回答だったかからでしょう。
そして、このときのK君との会話はこれで終了しました。
しかし、ここからK君による常識はずれな行動が始まるのでした。
仕事用のメールアドレスに“転職勧誘メール”が届く
先述したK君とのやり取りから数ヶ月後。
私の仕事用のメールアドレスに、突然K君からのメールが届きました。
差出人はK君の仕事用メールアドレスになっていたので、それ自体は変なことではありません。
ですが、驚くべきはそのメール内容です。
そのメールの本文中には、何と『K君が働いている会社への転職を誘うような文章』が記載されていました!
要するに『ウチ(K君の会社)でMRとして働かないか?』という勧誘メールだったということです。
しかもK君から届いたメールの宛先は私だけではなく、他の同期メンバーも大量に含まれているときた。
メールの宛先欄を見たところ、20人以上に一斉送信しているのは明白だった!
具体的には、内資系・外資系で働いている同期MRたち、各医薬品卸で働いている同期MSたちですね。
しかもメールの宛先欄を見る限りでは、他の同期MR・MSに対しても仕事用のアドレス宛にメール送信しているようでした。
こういった面子に対して、わざわざ仕事用のメールアドレスを使って一斉送信してきたのです。
(※初めての同期会の際、みんなで名刺交換していたのでK君が同期メンバーの仕事用メールアドレスを知っていたこと自体は不思議ではない。)
そんなK君が送ってきた“転職勧誘メール”の内容ですが、大体こんな感じでした。
同期の皆さま
こんにちは。
○○○(K君が働いている外資系メーカー)のKです。
(中略)
今、ウチの会社ではMRとして働きたい人を募集しています。
もしウチへの転職に興味がある人は、私(K君)までご連絡ください!
よろしくお願いします。
一字一句その通りではありませんが、K君から届いたメールはこのような内容でした。
これを読んで、読者の皆さんはどう感じたでしょうか?
ぶっちゃけた話、私はドン引きしました。
転職というデリケートな話題について、なぜK君は各同期たちの仕事用アドレス宛にメールを送ってきたのか?
しかも一斉送信という形で。
これではメールを受信した側から見ても、K君が誰宛にこのメールを送信したのかが一目瞭然です。
ましてや、メールの宛先には私のように『K君とは知り合い以上、友達未満な人間』までもが含まれている。
詰まるところ、K君から届いたメールそのものが意味不明だったんですよね。
私はこのとき、怒りや呆れの感情を通り越して、K君の行為に対して恐怖を感じました。
もっと端的に言うなら、K君という人間そのものが気持ち悪いとさえ思いました。
K君によるメールの送信方法には、社会人らしからぬ無神経さが滲み出ている。
宛先を見る限りでは、どうやら同期であれば誰彼構わずにメールを送ってきた節もある。
しかも、肝心要のメール本文は自社への転職勧誘ときた。
これらの事実について、とにかく違和感を禁じ得ない。
言葉は悪いけど、悍ましくて仕方がない。
K君のメールを見たときは頭の中がフリーズしたからなぁ…
これがプライベートでのメール・LINEなどのやり取りであれば、まだ何とか理解できます。
しかし繰り返しになりますが、K君は仕事用のメールアドレスを使い、多人数を相手に転職勧誘をしています。
こういったやり取りは、せめてK君にとって仲が良い同期メンバー少数だけの間に留めておくべきではないのか。
百歩譲ったとしても、一斉送信ではなく、個別にメールを送るような配慮をするべきではないのか。
K君がこのようなメールを送ってきた意図について、私は何から何までサッパリ理解できませんでした。
そしてこのとき以降、私はK君という人間に対して嫌悪感を抱くようになってしまいました。
真相:K君は“紹介料”を稼ぐのが目的だった
先ほどお伝えしたK君による“転職勧誘メール”ですが、実は同期メンバーの間でもちょっとした話題になりました。
…と言うか、私と同じようにドン引きしたMR・MSも多かったようです。
K君の会社は途轍もなくMRが不足しているのか?
何らかの事情でMRが一斉退職でもして、人手不足に陥っているのか?
大体にして、これは本当にK君本人の意思で送ってきたメールなのか?
もしかしたらMR不足を危惧したK君の上司が、K君に指示してやらせたことなのでは?
憶測が憶測を呼び、なおかつ同期内でK君への不信感は高まる一方でした。
まあ、当然の結果だわな…
さて、K君が送ってきたメールの一件から数週間後。
自分の担当エリアにてK君とは別の同期MRと同行したとき、K君が送ってきたメールに関する裏事情を聞く機会がありました。
(※余談ですが、上記の同期MRと私は仲が良く、同行・説明会などを毎回一緒に行うような間柄でした。)
つまり、K君の手引きによってK君の会社にMRとして入社(転職)した人間が現れると、K君が儲かるという仕組みが存在していたのです。
あくまでこれは又聞きした話なので、上記の紹介料云々について、実際にはもっと複雑な仕組みなのかもしれませんが…
一言でまとめると、K君は社内での『紹介料』とやらを稼ぐことが目的だったのです。
多分ですけど、K君の目線ではMRまたはMSであれば、自社(外資系の製薬メーカー)に転職させるハードルが低くて済むと思ったのでしょう。
そのために、自社への転職を誘うようなメールを同期一同に送りつけてきたと。
これが今回の一件における真相でした。
私はこのとき、外資系メーカーにはそういった紹介料云々の制度があることを初めて知りました!
ちなみにですが、もし仮にK君の会社に転職する人間が現れたとして、具体的にどのくらいの『紹介料』がK君のもとに発生するのかは不明です。
しかし、K君は転職勧誘メールを無差別的に送ってきたことから、形振り構わず紹介料をゲットしたいという欲求が透けて見えます。
以上のことから、K君にとって先述した『紹介料』は、かなり旨味のある金額だった可能性が高いです。
まあ、今にして思えばお金を得たいという欲求自体は分からなくもないです。
高い給料を求めて転職することは『悪』なのか?いやいや、決してそんなことはないぞ!
しかしK君の場合、そのための手段に問題がありました。
わざわざ仕事用のメールアドレスを使い、私のように“特に親しくもない相手”にまで転職勧誘メールを送り付けてきたのですから。
その結果として、K君は多数の同期たちから不興を買ったワケですし。
こうなる展開について、K君は予想できなかったのでしょうか?
もし予想できなかったのだとしたら、それはなぜなのか?
金に目が眩んだ状態だったため、正常な判断が出来なくなっていたのでしょうか?
そもそも同期の気分を害する以前の問題として、仕事用のメールアドレスを用いて転職勧誘メールを送信すること自体、コンプライアンス的にもちょっと怪しそうな気がします。
そこまでしてK君を駆り立てた『紹介料』とは、そんなにも魅力的なものだったのか?
その真実はK君本人にしか分かりません。
ですが少なくとも、K君は自分の中にある金銭欲に負け、分別を欠いていたことは間違いなさそうです。
そう考えると“欲”とは恐ろしいものだな…
ちなみにですが、K君はこの一件以降、数ヶ月ほどで別の地域(県外)に転勤していきました。
繰り返しになりますが、K君は私と同じ年に大学を卒業した同期であり、この時点でのK君は入社2年目の新人MRです。
つまり、担当を持ってから間もないMRということですね。
…にも関わらず、これほどの短期間で転勤を命じられるということは、多分ですけどK君の身に何かあったのでしょう。
もしかしたら、先ほどの“転職勧誘メール”について社内で咎められ、そのペナルティみたいな形で転勤させられたのでしょうか?
同期メンバーの中でも、K君が転勤していった本当の理由について知っている人は誰もいませんでした。
まさに、真相は闇の中。
そんな言葉が相応しい顛末です。
教訓:転職時に『信用するべきではない人間』とは?
K君の一件とは直接の関係はありませんが、K君の一件から得た『転職に関する教訓』についても少しばかりお伝えさせてもらいます。
実はK君のことがきっかけで、私は転職を勧める人間について警戒するようになりました。
何の理由もなく転職を勧める人間は怪しい。
美味そうな話には必ず裏がある。
これは本当に善意による助言や勧誘なのか?
それとも私腹を肥やしたいが故の行動なのか?
こういったことについて、まずは相手の言動などを慎重に吟味しないといけない。
転職勧誘をしてきた人間の性格や思惑について、自分時自身の目でしっかり見極めないといけない。
K君による一件以降、私はこのような考え方を持つようになったのです。
ある意味、転職に関してこのような“教訓”を与えてくれたK君の存在は大きい…
これは私見ですけど、転職エージェントの中にもK君に通じる要素を持っているタイプって意外と多いです。
K君に通じる要素。
それは自分の利益を追及するあまり、配慮・分別・良心などに欠けるという点です。
私も転職経験があるからこそ分かるのですが、こういった転職エージェントは往々にして胡散臭さが滲み出ています。
具体的には、クライアント企業からの紹介料(=報酬)を目的として、転職希望者を強引に転職させようとするようなエージェントですね。
このタイプのエージェントは、目先の成果(=利益)のために強烈な転職勧奨を行ってきます。
もし転職希望者が面接を受けた企業から内定でも出ようものなら、頑なに内定受諾を迫ってきたりもします。
内定が出たのだから、この会社に入社するに決まっているよね?内定辞退なんてあり得ないよね?
…とでも言わんばかりの勢いでね。
転職希望者を煽り、焚き付け、何としてでも『自分の手で転職させた』という実績を作ろうとする。
これの何が問題かと言うと、転職を希望している本人の意向などを軽視しているところです。
要するに、彼らにとっては転職者の人生なんて二の次なんですよね。
とにかく自分(転職エージェント)の成績が最優先。
転職希望者が転職後にどうなろうと、自分の知ったことではない。
こういった考え方を表に出すかどうかは別として、上記のようなスタイルで仕事をしているエージェントは一定数います。
複数の転職エージェントと話すと、そのことがよく分かります!
転職エージェントとて会社員です。
MRやMSと同じく組織の一員である以上、エージェントとしての成績を最重視するような人種がいるのは理解できます。
それは転職を斡旋する会社の人間として、組織内での立ち位置を確立するという点においては正しいことかもしれません。
しかし、そんな転職エージェントに転職先を仲介してもらう側の人間(転職希望者)はどうなるでしょうか?
転職先での職業適性。
転職先での待遇。
転職してから待っているであろう新生活。
これらの要素を軽視して、自分の成績(=利益)に執心する転職エージェント。
私だったら、そんな転職エージェントとは関わりたくないです。
相手の人生よりも、自分の成績や評価が大切。
もの凄く悪い言い方をするなら、転職希望者のことを“食い物”と見做している節すらある。
そんなヤツのことを信用できるはずがありません。
自己の利益“だけ”を追求するような人間は、いずれ必ず他人に害を及ぼすときが来ます。
よって、自己利益追求型の転職エージェントを信用するべきではない。
そして可能であれば、そういった転職エージェントとは距離を置くべきである。
それがK君の一件を通じて気付き、学習し、実際に転職を経験した私なりの結論です。
世の中には“善い人”ばかりではないのだ!
真に大切なのは、自分にとって信用するに足る人間です。
転職という“人生の分岐点”が関わっているのならば尚更ですね。
最後に:人脈に頼る場合の転職は慎重に!!
このような記事を書いておいてこう表現するのも妙な話ですが、ある意味、私はK君に対して感謝しています。
結果だけを見れば私自身に実害は出ていませんし、世の中にはK君のような人種が存在することを知る良い機会にもなったからです。
もし人脈を頼って転職する場合、仲介人がK君のような人間である可能性もある。
もし腹の底で良からぬことを考えていそうな相手ならば、注意するに越したことはない。
転職を仲介してくれる人間のことは、自分自身の目でしっかりと見極める必要がある。
それがK君の一件から得た私なりの教訓です。
転職という人生の節目だからこそ、自分自身の感覚を研ぎ澄ますべし!
ところで、もし私がK君の誘いに乗るような形でK君の会社に転職していたら、どのような展開が待っていたでしょうか?
転職後に問われるのは、転職者本人のやる気や能力です。
ぶっちゃけ運の要素も絡んでは来ますけど、それでも転職後の仕事が上手くいくかどうかは、やはり本人次第なところが大きいです。
【実体験】転職に伴う最大のギャンブル要素とは『新しい職場での人間関係』ではないか?
MSからMRに転職したけど職場環境に馴染めなくて辞めていった後輩の話
転職先で上手くやっていけるかどうかは自分次第。
そのこと自体は私も理解していますが、それでも転職を手引きしてくれた人のサポートが望めるのなら、それに越したことはありません。
そういった意味で、K君は私にとって頼りになる存在となり得たでしょうか?
あくまで“仮定”の話ですよ!
多分ですけどK君の人間性を考慮するに、K君は私に対して親身になってはくれなかったであろう可能性が高いと思います。
状況証拠から考えて、K君は金銭欲によって分別を欠いていたのはまず間違いありません。
そのような“欲”に塗れた人間が、自分の口利きとはいえ、新しく入社してきた人間の世話を甲斐甲斐しく焼いてくれるでしょうか?
いやいや、決してそんなことはない。
それどころか、一旦私が入社した後は“我関せず”といった姿勢を貫くのではないか。
なぜなら、K君は自分の利益を追求するタイプの人間なのだから。
よって、K君を頼ってK君の会社に転職したところで、私にとって明るい未来が待っていたとはどうしても思えないのです。
勿論これは仮定の話であり、私の勝手な想像でしかありません。
ですが、たとえ何となくでも相手のことを“胡散臭い”と思った場合、その直感は意外と当たるものです。
まあ、これは転職に限った話ではないけどな!
言い換えるなら、理屈ではなく本能で『コイツは自分にとって危険だ!』と感じた場合ですね。
もしそう感じたのなら、そのときは“自分の勘”を素直に信じましょう。
転職という人生の重大局面においては尚のこと、この“勘”の効果はバカに出来ません。
この記事で取り上げたK君のように、あくまで自分の利益充実を第一目的として転職の話を持ちかけてくるような人間もいるのです。
人脈を頼って転職する場合。
あるいは知古の伝手で転職先を検討する場合。
それらの際には理屈だけではなく、自分の“勘”もフル活用して物事を判断するのが吉でしょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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