こんにちは、元MSのヒサシです。
皆さんは“退職者ヒアリング”についてご存知ですか?
読んで字の如くですが、退職予定の社員に対して行われるヒアリングです。
参考:社員の本音を聞く「退職者ヒアリング」をきっかけに キャリアアップへの意欲をかき立てる制度改革を実践
私は医薬品卸を辞める3週間ほど前のタイミングで、人事部から電話での退職者ヒアリングを受けた経験があります。
ちなみに、私が人事部から訊かれた内容としては転職先や退職理由などがメインです。
次に働く業界・業種は?
退職に踏み切った理由は?
上司や先輩から苛められたりしたのか?
待遇(給料・休暇など)に不満があったのか?
こういったことを漏れなく聞き出そうとしてくる人事部。
その一方で、転職先や退職理由などについて正直に話すべきか戸惑うヒサシ。
そんなこんなで、互いにかみ合わない雰囲気の会話だったことをよく憶えています。
今振り返ってみても、奇妙な攻防だったように思います(汗)
最終的に、私は転職先・退職理由などについて、明確なことは人事部に伝えることなくヒアリングを終えています。
なぜかと言うと、退職者ヒアリングで全てを正直に話すことは、自分にとってのデメリットが大きいと考えたからです。
その具体的な理由について、今からお伝えしていこうと思います。
もし医薬品卸での退職者ヒアリングに興味があれば、是非ご一読ください!
突如として始まった電話での“退職者ヒアリング”
退職予定日まで残り3週間くらいとなり、後任への引継ぎに励んでいた日の夕方。
仕事用の携帯電話に知らない番号からの着信がありました。
一体誰だろう?
…と思いながら電話に出たところ、相手は人事部の人でした。
しかも、私が新入社員だった頃の研修でお世話になった人だったのです。
(※取りあえず、この場では“Jさん”と書かせていただきます。)
そして、Jさんからは開口一番、こんなことを言われました。
ヒサシ君、会社を辞めるんだってな?退職届が出されていて驚いたよ!
Jさんは人事部の人ですから、退職届の処理状況について詳しく知っていたのでしょう。
そんな軽い感じで会話が始まり、新入社員時代の思い出話をしたり、私からも『今までお世話になりました』と挨拶したり。
大体5分くらい会話したところで、Jさんから『退職する理由』についての質問が始まりました。
そう、俗に言うところの“退職者ヒアリング”というやつです。
ヒアリングの趣旨としては、下記の2点について教えてほしいとのことでした。
1.転職先の業種・職種
2.退職する理由
言葉にするとシンプルですが、これら2点について深堀するような質問ラッシュが凄まじかったんですよね。
とにかく手を変え品を変え、Jさんは私(退職者)の本音を聞き出そうとしてくるではないか。
そして、矢継ぎ早に質問を繰り出してくるJさんの勢いに気圧されるヒサシ。
気が付いてみれば、Jさんとのヒアリングが始まってから結構な時間が経過していました。
多分、トータルで30分くらいは会話していたと思います…
詳しくは後述しますが、私は退職前に転職先の会社について情報を漏らしてもメリットはないと考え、ヒアリングの最中は当たり障りのない回答を心掛けました。
しかし!
Jさん(人事部)にも引き下がれない理由でもあるのか、あの手この手で様々な角度から質問を投げ掛けてくるときた。
それはもう、いくら私が回答をはぐらかしても、Jさんから次々と質問をされるといった感じで辟易しました。(汗)
ちなみに、Jさんから訊かれた内容は大体こんな感じです。
かなり端折っていますが、こんな感じの質問ラッシュをJさんから延々と浴びせられました。(汗)
ちなみに、私としてはヒアリング中に『一身上の都合で辞めます』『転職先について具体的なことは言えません』といった回答を幾度となく繰り返しました。
ですが、逆にそのことが質問ラッシュの呼び水となってしまったようです。
Jさんとしては、悪意があってこういったヒアリングを行ったわけではないのでしょうけど…
とにかく“何としても退職者の本音を聞き出したい”というJさんの執念みたいなものが垣間見えました。
ヒアリングというか尋問に近かった気がします…
何の前触れもなく始まった退職者ヒアリングでしたが、私はJさんとの電話(ヒアリング)が終わる頃にはかなり疲弊していました。(汗)
余談ですけど、この退職者ヒアリングでは会社そのものへの要望についても質問を受けました。
このとき私はダメで元々と思い、Jさん(人事部)への要望として、残っている有給休暇を会社側に買い取ってもらえないかとお願いしてみました。
(※引継ぎスケジュールの都合により、有休を消化することが困難だったため。)
…が、その願いは見事に却下されました。(汗)
Jさん曰く『ウチの会社は退職者の有休について買取りはしていない』とのことでした…。
医薬品卸を辞めるときに人事部に“有給休暇の買い取り”を頼んだら却下された体験談
ヒアリング中は“会社の悪口”を言わないように意識した
Jさんからの質問ラッシュに応答する一方で、私は頭をフル回転させて『言うべきではないこと』を考えるのに必死でした。
MSとして働き続けたことで身に付いた習性なのか、不用意な発言は自分の首を絞めるだけということを知っていたからです。
“口は災いの元”と言いますからね…
当時は“退職者ヒアリング”という言葉すら知らなかった私ですが、Jさんとの会話の中で下手なことを口走るべきではないと直感したのです。
そして、その判断は間違っていなかったと今でも思っています。
ちなみに、Jさんとの会話中に私はこんな感じのことを考えながら受け答えしていました。
念のため補足しますが、私はJさんのことが嫌いだとか、憎いだとか、そういったマイナスの感情は全く持ち合わせていませんでした。
むしろJさんのことは好きですし、新入社員時代にお世話になった手前、感謝もしている相手です。
ですが、今回の退職者ヒアリングに関しては話が別です。
少なくとも、Jさんに対する個人的な感情とは切り離して考える必要がある。
転職先や退職理由を正直に話すことに関して、自分にとってマイナスに働くことはあってもプラスに働くことはない。
人の口に戸は立てられない以上、自分が不利益を被る可能性は否めない。
Jさんと会話しながら、私はそのように思ったのです。
実際のところ、退職者ヒアリングの場で全てを正直に話す義務はありませんからね。
そして最終的には、私の転職先や退職理由について具体的なことは伏せたままJさんとの会話を終えています。
Jさんとしては不満そうでしたけどね…
正直に言うと、MSとしての仕事内容・待遇・人間関係などについて不満はありました。
付け加えると、目下の不満は有休消化に入れない前提で組まれた引継ぎスケジュールでした。
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これまでに上司や先輩から受けた仕打ちについて、人事部に全部ブチ撒けてやろうか。
自分が退職した後、奴らが不利になるように悪口を捲し立ててやろうか。
Jさんと会話しながら、そのような底意地の悪いことを考えたのも事実です。
ですが結局のところ、そういった本音の部分(=会社に対する不満)は胸の内に秘めたままにしておくことにしました。
こんな記事を書いておいて、こう表現するのも妙ですが…
何だかんだ言って、私は新卒で入社した医薬品卸には感謝していました。
リーマンショック後の就職氷河期というタイミングにも関わらず内定をもらえた。
右も左も分からなかった自分のことを、社会人として育ててもらった。
曲がりなりにも給料がもらえて、営業としての経験を積むことも出来た。
それだけで御の字だという気もしたのです。
よって、会社を去るときくらいは気持ちよく幕を引きたい。
そのように考えた私は、最終出社日を迎えるまで波風が立たないようにするやり方を選択したのです。
医薬品卸での最終出社日に行ったこと4選!最後だからこそ礼儀正しく筋を通すべし!
ハッキリ言って、これは自己満足の域ですし、友人知人に話すと笑われることもあります。
見る人によっては滑稽だと感じるでしょう。
ですが、先述した選択をしたことについて後悔はしていません。
考察:人事部の本当の狙いとは?
そもそもな話ですが、Jさんが私(退職者)に電話してまでヒアリングを行ったのはなぜでしょうか?
それは言うまでもなく、退職者の“本音”について知りたいからでしょう。
多分ですけど、人事部内には退職者ヒアリングに関するマニュアルなどがあるのでしょう。
…で、Jさんを含む人事部の人たちはマニュアルに沿って、退職者から警戒されないようにヒアリングを行っていると。
そのようにして数多くの退職者から聞き取りした情報を精査し、より良い労働環境を作るための材料とする。
各社員にとって100%希望通りとまではいかなくても、それなりに満足してもらえるような働き方を実現するための礎とする。
人事部の人たち全員が同じ意見かどうかは分かりませんが、少なくともJさんは上記のような考えのもとで退職者ヒアリングを行っていると感じました。
実際、ヒアリングの後半にJさんがこんなことを言っていましたからね。
質問ラッシュそのものはキツかったですけど、Jさん(人事部)の側にもそれ相応の事情があったことが窺えます。
だからこそ、私(退職者)にから少しでも“本音の情報”を引き出そうと躍起になっていたのでしょう。
人事部としては、若手社員の退職について重く受け止めているみたいでした!
実際のところ、医薬品卸では20代のうちから辞めていく人も多いです。
Jさんが言う通り、入社してから1年も経たないうちに辞めていく人も少なくありません。
医薬品卸に新卒で入社したMSが辞めていく『4大タイミング』について勤続年数別に語る!
その結果として、社内では中年以上の世代が相対的に多くなってしまい、社員全体の年齢構成が歪なものになってしまう。
こういった現象を含めて、人事部は若手社員の離職について危機感を募らせているのでしょう。
それならば、人事部として同じような離職者を出さないように手を打つ必要がある。
ある営業所には部下に辛く当たる管理職がいるのではないか?
理不尽な転勤のせいで腹に据えかねたのではないか?
賃金や評価の制度に問題があるのではないか?
こういった可能性について目を光らせ、社内での問題点を炙り出す。
その問題点を解決することで、同じような理由で辞めていく若手社員を1人でも減らす。
Jさんを含む人事部の思惑としては、大体こんな感じだったのかなぁと今では思います。
最後に:“退職者ヒアリング”で全てを正直に話す必要はない!
ここまでお伝えしてきた通り、私に関しては退職者ヒアリングが突如として始まりました。
当然、事前準備なんてしていません。
ある意味では“不意打ち”でしたからね…
だからこそ、ヒアリング中は物事を深く考える時間的余裕もなかったです。
実際のところ、急に人事部から退職理由などについて訊かれたら、ついつい本当のことを話してしまう人も少なくないのではないでしょうか?
ただ、自分自身の退職者ヒアリングを振り返ってみると、転職先や退職理由の核心部分については話さなくて良かったと今でも思っています。
人事部に悪意はなくても、社内には退職者の情報を悪用しようとする輩がいる可能性もゼロではないからです。
退職者を“裏切り者”として扱うような風潮のある会社であれば尚更です。
辞めていく人間のことを妬み、嫉み、足を引っ張ろうとする。
職場の人間関係にもよりますが、そのような卑劣な人種はどこにでも1人や2人くらいはいるものです。
医薬品卸を辞めると表明したときの上司・先輩・後輩の反応について実体験を語る!
つい軽い気持ちで人事部に伝えたことについて、何かの拍子に近しい人間(上司・先輩など)の耳に入ってしまい、しかも伝言ゲームのような形で曲解される。
それが仇となり、退職していくことを快く思わない人間たちに“嫌がらせの材料”として利用されてしまう。
最悪の場合、誰かが何らかの手段で退職後の生活を妨害してくる可能性だって出てきます。
例えば、リファレンスチェックの際に退職者が不利になるようなことを吹き込むとか。
転職するならリファレンスチェックに要注意!内定取り消しもあり得る!?
あるいは転職する予定の会社に対して、退職者が困るようなことを告げ口するとか。
こういったリスクを回避するためにも、転職先や退職理由ついての情報を社内で安易に話すべきではありません。
退職する側の視点で考えると、どう考えても得策ではない!
結論、退職者ヒアリングでは何でもかんでも正直に話す必要はないのです。
ただ、これはあくまで私の意見ですし、ハッキリ言って正解はないと思います。
ですが、私は退職者ヒアリングを受けた人間として、自分の選択に後悔はしていません。
以上、退職者ヒアリングを受けた1人の人間の意見として参考にしてもらえたら嬉しいです!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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