医薬品卸が儲かっていない証拠!MS時代に経費削減を強要された体験談

MS時代の体験談

こんにちは、元MSのヒサシです。

私が医薬品卸でMSとして働いていた頃、それはもう経費削減のために色々なことをした記憶があります。

他の業種の人たちからしたら『経費削減のためにそこまでやるか?』…という感じでドン引きされるかもしれません。

(※実際、この記事の内容を家族・友人などに話したら少しばかり引かれました。)

ところで、なぜ医薬品卸は経費削減のために躍起になっているのでしょうか?

その答えは単純明快でして、医薬品卸という業種自体が儲かっていないからです。

このブログ内で何度も述べてきた通り、医薬品卸は薄利多売の商売をしています。

医薬品卸にて1次利益と呼ばれる【売差】を確保できない。

2次利益・3次利益とも呼ばれる【リベート】や【アローアンス】の確保も難しくなってきている。

ヒサシ
ヒサシ

つまり、会社として稼げる利益額が少ない状態に陥っているのです!

一方、経費とはご存知の通り利益額の中から捻出されます。

医薬品卸の中でも、会社ごとに経費の事情は多少異なるかも知れませんが…

一般的に、医薬品卸では常に利益額が少ないことから、経費も乏しいという悪循環が生まれるのです。

では、経費が乏しいことによって現場で働く社員たちに何が起こるのか?

そして、経費削減のために社員たちはどういった努力をしているのか?

そこで、今回は『医薬品卸内での経費削減』というテーマで記事を書いてみました。

この記事では私自身が体験したことだけを書いています。

つまり、全て実話です。

医薬品卸への忖度そんたくは一切ありません。

…というワケで、医薬品卸の内部事情について参考にしてもらえたら幸いです。

スポンサーリンク

特に強烈だった経費削減への取組み10選!

私がMSだった頃、とにかく上司からは『コスト意識を持て!』『無駄な経費は使うな!』などと厳しく指導されたものです。

無駄にしても良い経費なんて1円もない。

それが当時お世話になっていた上司の口癖でした。

そんなこんなで、一言で『経費削減』とは言っても、それはもう本当に色々なことをやらされたんですよね。(汗)

それこそ、いくら時間があっても語り尽くせないくらいです。

そんな数多の取り組みの中から、私自身が特に印象的だったものを10種類まで絞りました。

1.高速道路はなるべく使わない

私はMS時代に営業所から遠いエリアを担当していたのですが…

この高速道路を使わない縛りはマジでキツかったです。

一応、誤解の無いようにお伝えしておきますが、高速道路を使うことが一切ダメだったというワケではありません。

急配】やアポイントなどで先を急ぐ場合には、高速道路を使ってもOKとされていました。

しかし!

常日頃から高速道路を使っていると、当然ながらETCカードの料金がかさみます。

そんなこんなでETC料金をMS間で比較されるのが、私が働いていた営業所の常だったんですよね。(汗)

そして高速道路の使用過多と判断されたMSには、上司からキツい指摘が入ります。


お前は高速道路を使い過ぎだ!
もっと時間に余裕を持って行動しろ!
高速道路を使わないようにスケジュールを組め!

私自身、こんなことを上司から何度か言われた経験があります。(汗)

勿論、私だけでなく私の先輩・後輩も容赦なくなじられるときた。

ヒサシ
ヒサシ

経費削減は結構だけど、いくら何でもそりゃ無茶じゃないか?

…などと、当時は思ったものです。

正味な話、無理ゲーとしか思えませんでした。(汗)

2.高速道路でガソリンを給油してはダメ

ご存知の通り、高速道路のサービスエリアにおけるガソリン代は高いです。

満タンまで給油した場合、それはもう結構な金額になります。

そんな給油のやり方について、経費に乏しい医薬品卸が見逃してくれるワケがありません。

会社貸与の給油カードを使うにせよ、自分で立て替えて精算するにせよ、社内においては必ず履歴が残ります。

そんな高速道路での給油履歴が上司の目に留まった場合、これまたキツい指導が入ります。


高速道路で給油するとは、一体どういうつもりだ!?
給油なら高速道路に乗る前に済ませれば良いだろう!
わざわざ高額な場所で給油するな!

これは、私自身が新人MSだった頃の実体験です。

こういった医薬品卸の経費事情を知らないことから高速道路で頻繁に給油してしまい、そして怒られてしまったワケです。

ぶっちゃけ、メチャクチャ辛かったです…。

3.取引先における行事への参加費が出ない

接待と言えるかどうかは微妙ですが、MSは取引先の行事に参加しなければならない場合があります。

例えば、新年会・忘年会・納涼会などですね。

他には、取引先主催のゴルフコンペやボーリング大会など。

こういった場合、当然ながら参加費用が必要です。

しかし!

残念ながら経費で賄うことが出来ないことが多々あるため、こんなときMSは自腹を切る必要があります。

一応、医薬品卸の社内では交際費という名目の経費自体はあります。

…が、私が所属していた営業所における交際費は微々たるものでした。

少なくとも私個人に関して言えば、会社の交際費などは全くアテにならない。

しかし、取引先の行事には出なければならない。

その結果、MSとして自腹を切る必要があったのです。(汗)

ヒサシ
ヒサシ

MS時代の給料を考えるとバカにならないレベルの出費でした…

ちなみにですが、当時の手取り金額は18万~19万くらいでした。

そのため、参加費だけで5千円や1万円とか取られると、マジでキツかったんですよね。

(※MS時代の年収は【こちらの記事】にまとめてあります!)

本当は自腹なんて切りたくない。

でも、こればかりは仕方がない。

そんな感じで自分自身に言い聞かせ、取引先の忘年会やカラオケ大会などにはフツーに自腹で参加していましたからね。(汗)

カネを稼ぐために働いているはずなのに、働くためにカネを支払う。

自分でも馬鹿馬鹿しいと思う反面、MSは取引先ありきの職業でもありますから、この現実に抗うことは出来なかったのです。

ちなみに余談ですが…

こういった場合は、『経費を使っていない』=『仕事ではなくプライベートの付き合いである』=『接待ではない』と言う人もいます。

(※MS時代の私の上司は、こういったことを頻繁に言っていました。)

しかし、実際には忘年会や新年会などの酒の席で、取引先を持ち上げ、気分を良くしてあげる必要がある。

つまり、行事の主催者が取引先側であるというだけで、その中身は接待と何ら変わらないのです。

4.前泊・後泊は原則NG

MSはそれほど出張が多くない職業です。

しかし、多くないというだけで、決してゼロではない。

すごく遠方の取引先に朝イチで訪問しないといけないとか。

本社での研修に早朝から参加しないとダメだとか。

取引先の行事で夜遅くまで酒を飲む必要があるだとか。

こんな具合に、時々ですけどMSにとって出張する必要に迫られる場面もあります。

そんなとき、前泊や後泊ができると出張者としては楽ですよね。

しかし!!!

私が所属していた営業所(と言うか会社全体?)では、こういった前泊・後泊という行為は原則NGでした。

その理屈としては、大体こんな感じです。


朝早くに目的地に着きたいなら、その時間に間に合うように車を運転していけば良いでしょ?
車で行けないような場所なら、始発の電車や新幹線を使えば良いでしょ?
終電で帰宅できるなら、宿泊なんて必要ないでしょ?

いや、確かにそれは正論なんだけどさ…

始発⇒終電のコンボとか、実際に経験してみると結構キツいですよね。

早朝あるいは深夜の運転についても然りです。

こういった宿泊関係について上司(所長)に相談しても、聞く耳なんて持ってもらえるはずもない。

上司
上司

そんな宿泊のための経費は無い!

…などと一刀両断されるのがオチでした。

5.商品の廃棄処分は絶対にダメ!

これは経費削減とはちょっと意味合いが違うのですが…

MS時代には『会社の資産を無駄にしない』という意味で、商品の廃棄処分は絶対に出さないようにと指導されたものです。

理由を問わず、商品(特に医薬品)を廃棄するようなことになったら最悪です。

まず間違いなく上司から雷を落とされます。

ヒサシ
ヒサシ

余談ですが、MS時代に【『ケナコルトーA筋注用』という薬剤を廃棄処分にしてしまった時】はメチャクチャ怒られました…(汗)

いや、上司から怒られるくらいならまだマシな方かもしれません。

酷い場合だと、MSとしての査定にも関わってきますからね。

そのくらい医薬品卸の社内では廃棄処分について問題視されています。

廃棄処分』=『その商品の購入代金が全て無駄になった』ということですからね。

医薬品の期限切れ、破損、温度管理ミス、その他諸々。

これらの要因で商品の廃棄処分が確定した日には、それはもう凄い勢いで怒られます。

1,000円の薬剤だろうが、100円の医療材料だろうが、金額の大小を問わず怒られます。

(※ただし、これは上司の性格によって異なるかも…)

早い話、単なる返品処理とは訳が違うのです。

ただ、お陰さまで仕事上のコスト意識はメチャクチャ身に付きました。

そして、上司から怒られたくない一心で商品は大切に扱い、そして期限切れを迎える前に何としてでも販売するという意地みたいなものも身に付きました。

ヒサシ
ヒサシ

まあ、期限切迫品を再販するのは超大変なんですけどね…

6.セミナーなどで取引先の人間に交通費を出さない

会社にもよりますが、医薬品卸は取引先向けのセミナー的なイベントを開催することがあります。

セミナーのテーマは、例えば診療報酬の改定だとか、最新の物流システムの紹介だとか、調剤薬局の経営だとか、まあ色々です。

こういったイベント自体は別に良いのですが…

医薬品卸は来場者(取引先の人間)に対して、交通費を出したりはしません。

(※ただし、会社によっては交通費を出す卸もある…らしい。)

つまり、会場まで来てもらうための電車代・バス代・ガソリン代・高速道路代など、全て取引先の自己負担です。

製薬会社が行う講演会のように、取引先ごとにタクシー券を配るなんてことは一切ナシ。

こういったやり方について、私個人としてはイマイチ釈然としません。

ヒサシ
ヒサシ

いくら何でも、ケチ過ぎやしませんかね…

経費削減は結構ですけど、取引先に自腹を切らせるのって果たしてどうなんでしょうか?

製薬会社のMRとして働いている今となっては、交通費支給が無いにも関わらず、取引先に来場依頼していたMS時代の感覚は狂っていたとさえ思えます。

当たり前のことですが、こういった場合は遠方の取引先ほど来場が困難です。

(※そもそも、遠方の取引先はこういったセミナーには殆ど来ない。)

そのくせ、会場からの遠近とは関係なくMSごとの集客数などを横並びにされ、来場者が少なかったMSは吊し上げに遭います。

タクシー券とは言わないまでも、せめて公共交通機関の代金くらい負担してやったらどうなんだ?

…などと、MSだった頃はよく思ったものです。

7.携帯電話の通話料金&通信料金を厳しくチェックされる

これは『経費削減』というより『コスト削減』という言い方が適切かも知れません。

そして、今振り返ってみるとかなり謎の取り組みでしたね。

さて、MSとは営業職であり、社内外の人間と電話にてコミュニケーションする必要がある職業です。

つまり、取引先や協業者(MRなど)に電話する頻度が高いMSほど、電話料金がかさむに決まっています。

さらに、携帯電話で仕事関係の調べ物を頻繁に行うMSほど、通信料金もかさむに決まっています。

しかし!

そんな事情なんかにはお構いなく、携帯電話の料金についてMS同士で横並びにされるのです。

そして、通話料金&通信料金が相対的に高いMSは吊し上げに遭います。


なぜお前はこんなに通話料金が高いんだ?
その電話は本当に必要な電話なのか?
電話ではなくメールは活用しているのか?
一体、どうなっているんだ!?

私自身、こんな風に上司から詰められた経験があります。(汗)

コスト削減は結構です。

そんなもん、誰が見たって正しい。

でも、MS(営業職)なんだから電話するに決まっているし、むしろ働き者のMSほど料金がかさむに決まっているじゃないか。

ヒサシ
ヒサシ

そこまでコストカットする必要ある?

これじゃ本末転倒じゃない?

…と思ったのも事実です。

もはや極端とも呼べるレベルでコストを切り詰めるとなると、MSとしては窮屈であることこの上ない。

電話ひとつするにしても、とにかく息苦しい。

ぶっちゃけた話、MSとしての仕事がやりにくくて仕方なかったです。

8.カラー印刷はダメ!

プリンターで使うカラーインクって、意外と高額なんですよね。

そんな高額な代物について、医薬品卸が下っ端の社員たちに自由に使わせるわけがありません。

これはMSのみならず、事務・倉庫・配送の人たちも原則NGでした。

何らかの資料を印刷するときは、毎回モノクロで印刷。

取引先に持参する資料についても、毎回モノクロで印刷。

まあ、私が所属していた営業所では上司の許可さえあれば、カラー印刷させてもらうこと自体は可能だったのですが…

正直、上司からカラー印刷を許可された記憶って殆どないです。


その資料はカラーで印刷する必要があるモノなのか?
モノクロ印刷ではダメな理由は何なんだ?
カラー印刷の費用対効果について、お前は真剣に考えているのか?

いちいち上司からこんな風に問い詰められるのも嫌だったので、私はモノクロ印刷で頑張っていました。(汗)

それにしても…

ここまで経費削減に努めるとなると、現場の社員としては閉塞感が半端じゃないです。

ヒサシ
ヒサシ

流石にこの会社ってケチすぎやしないか?

…などと、MSだった頃は幾度となく思ったものです。

コストパフォーマンスを追求するのは結構ですが、コストを削り過ぎてパフォーマンスが落ちたら、それはそれで意味が無いですからね。(汗)

9.ボールペンやメモ帳は製薬会社のノベルティを使う

製薬会社が販売している薬のパンフレットには、ビニール袋の中に入っているものがあります。

実はそのビニール袋の中に、ボールペンやメモ帳といったノベルティが入っていることがあるんですよね。

ちなみに、ノベルティとは『企業が自社商品の宣伝のため、商品名を入れて無料配布する記念品』のことです。

例えば、こんなやつですね。


↑MS時代にもらったMSDのメモ帳。MSを辞めた今でも、少しずつ使わせてもらっています。


この記事を書いている2021年の時点では、製薬会社はこういったノベルティ配布を殆ど行っていません。

ですが、私がMSとして医薬品卸に在籍していた2010年代の前半~中盤にかけては、このノベルティを医薬品卸内で使用することを幾度となく経験しました。

正味な話、製薬会社のMRから薬のパンフレットを貰っても、MSとしてはそのパンフレット類を全て取引先に配るなんてことは実質不可能です。

よって、MSのデスクやロッカーには余ったパンフレット&ノベルティが常に溢れていたのです。

そのことに目を付けた他の部署(特に事務グループ)から、ノベルティを譲ってくれという要望が営業側に相次ぎました。

その理由は単純明快でして、ボールペンやメモ帳といった備品代を節約するためです。

ヒサシ
ヒサシ

事務のおばちゃんから頼まれて、ロッカーから大量の3色ボールペン“だけ”を探し出して渡したこともありました!

カネを払って備品を買うよりも、製薬会社が持ってきたノベルティを使う方がコストパフォーマンスが良い。

モラルはともかく、経費削減という観点から考えれば理に適っています。

ただし、悪く言うなら貧乏性との見方もできます。

MS時代は当たり前のように行っていたノベルティの社内流用ですが…

MSを辞めてMRとして働いている今では、少しばかり奇妙な企業文化だったように感じられます。

流石にやり過ぎというか、ちょっと普通ではないというか。

もしかすると、MSとして働いていた頃は備品ついての感覚が麻痺していた…ということなのかもしれません。(汗)

10.便座のふたは必ず閉める!

便座のふたを閉めることで電気代を節約できるのは有名な話ですよね。

便座の蓋を常に閉めることによって、中に熱がこもり、便座を温めるための消費電力を抑えることが出来るのです。

その理屈自体は理解できるのですが…

私が所属していた営業所では、トイレ内に便座の蓋は必ず閉めるように!との貼り紙が掲示されていました。

(※女性用トイレはどうだったのか不明ですが、多分だけど貼り紙自体はあったはず。)

まあ、それだけならまだ何とか理解できます。

ちょっと奇妙なのはここからで、(あくまで男性用のトイレで)便座の蓋を開けっ放しになっていると、上司が営業所ミーティングなどの場面で不機嫌になることがあったんですよね。


昨日、便座の蓋が開けっ放しになっていたぞ!
お前たち、トイレの使用後は便座の蓋を閉めているだろうな?
便座の蓋を閉めることで、電気代の節約に繋がるんだぞ?
トイレであっても、コスト削減の意識を持って行動するように!

いくら上司とはいえ、いつ・誰が、便座の蓋を開けっ放しにしたかなんて特定できるはずがありません。

犯人はMSかもしれないし、倉庫や配送の人かもしれない。

あるいは、営業所に来たMRかもしれない。

だからこそ、上司はこういった物言いをしたのでしょうが…

正直言って『そこまでして電気代を節約したいか?』と思ったのは事実です。

少なくとも、営業所のミーティングで便座の蓋が話題に出てくること自体、私にとっては違和感がありましたからね。

まあ、上司(所長)にとっては自分の営業所=自分の城みたいなものでしょうから、経費削減に躍起になる気持ちも理解できなくはないですが…

ここまでして経費削減に努めるのも、ちょっとどうなのかなと思ったりしました。

スポンサーリンク

経費に余裕がないのは医薬品卸が儲かっていない証拠である!

ここまで色々な経費削減の取組みについて書いてきましたが、なぜ医薬品卸はここまで経費削減を頑張るのでしょうか?

その理由は単純でして、会社として儲かっていないからです。

経費を捻出できるほどの利益額を稼げていない。

だったら経費を削るのは当たり前のこと。

経費を削った結果として、社員たちに我慢を強いても仕方がない。

これが医薬品卸という会社としての考え方です。

ヒサシ
ヒサシ

会社が苦しいからこそ、社員も苦しむのです!

そもそも、経費とは何でしょうか?

経費の本質とは企業が事業活動を行うために必要なカネです。

消耗品費、交際費、旅費交通費、通信費、光熱費、全て然りです。

そんな経費について、医薬品卸は末端の社員に至るまで、限界ギリギリまで節約することを求めている。

それはなぜか?

繰り返しになりますが、それは会社として自由に使える経費が乏しい(=十分な利益を稼げていない)からです。

もし業績好調で、利益も順調に右肩上がりな会社であれば、ここまで経費削減に努めることはまずあり得ません。

少なくとも、携帯電話の通話料金・カラー印刷・便座の蓋ごときで騒いだりはしないでしょう。

(※実際、私が医薬品卸から製薬会社に転職して以降、携帯電話の料金やカラー印刷について節約を求められたことはないです。)

一事いちじ万事ばんじ”という言葉がありますけど、医薬品卸の経費削減がまさにそれです。

些細な経費削減指示の大元を辿っていくと、その根底には会社として利益を稼げていない状態が透けて見えるワケです。

貴重な経費を湯水のように使うクソ管理職軍団

ここまで書いてきた通り、医薬品卸の現場で働く一般社員たちは経費削減を頑張っています。

それはもう、無駄な経費を使わないように必死で努力しています。

その一方で、管理職(特に部長クラス以上)についてはどうか?

管理職の人たちは、出張に伴う移動や宿泊などをガンガンやっていました。

遠方への移動は新幹線を使うのが当たり前。

車で移動する場合は、高速道路を当然のように使っている。

宿泊する場合には、その地域の中でも上等な部類に入るビジネスホテルを使う。

日帰りなんてするどころか、泊りがけの飲み会に明け暮れる始末。


アンタたち、舐めてんのか!?
平社員の努力を台無しにする気か!?
ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!!

…って話ですよね。

現場の社員には経費削減を押し付ける一方で、管理職の人たちは経費を湯水のように使っているのです。

管理職のくせして、率先垂範なんて欠片もない行動をしている。

彼らの行為について、少なくとも私の目にはそのように映っていました。

ヒサシ
ヒサシ

ハッキリ言って、既得権益にどっぷり浸かった“老害”としか思えなかったぞ!

彼らが行っている出張がどれほど大切なものなのかは分かりません。

けれど、果たしてそれだけの経費を使うだけの価値がある行為なのか?

まずは管理職の人たち自身が率先して、経費削減に取り組むべきではないのか?

自ら襟を正して、下の人間に手本を見せるべきではないのか?

しかし、当の管理職たちはどこ吹く風で、下の人間に経費削減を強いるだけ。

私はMSだった頃、そんな管理職軍団の経費に対する姿勢について、心底許せませんでした。

あまりにも不満過ぎて、このことが医薬品卸を辞めることを決断する理由の1つにもなったくらいです。

ヒサシ
ヒサシ

あの頃、筆者のメンタルは荒みまくっていたのです(汗)

まとめ:医薬品卸の経費削減への取り組みは今後も続くだろう

私が医薬品卸のMSとして働いたのは5年ほどでしたが…

その5年の最中、経費削減の気運がどんどん高まっていくのを肌で感じました。

そして現在においても、MS時代の同期や後輩の話を聞くと、やはり依然として経費削減への取組みは続いているそうです。

この記事を書いているのは2021年の時点では、広域卸・地場卸ともに利益額が壊滅的な状態です。

おそらく2021年度以降も、医薬品卸にとっては厳しい収益状態が続くことでしょう。

…となると、医薬品卸としては今後もより一層、経費削減に取組むであろうことは明白です。

私が医薬品卸に在籍していた頃よりも過酷な経費削減が行われるとしたら、いくら何でも現場で頑張っているMS・事務・配送・倉庫の人たちが気の毒です。

この記事の内容がどれだけの人に読まれるかは分かりませんが、医薬品卸の管理職(特に本社の偉い人たち)には、現場で経費削減を頑張っている一般社員たちのことを労ってあげてほしいです。

何でもかんでも節約ばかりを強いられると、現場としては仕事がやりにくくて仕方ない。

常に閉塞感が漂い、働く側としては暗い気分になりがちになる。

そんな不憫な環境であっても、医薬品卸の一般社員たちは頑張ってくれているワケですからね。

やはり管理職(=会社)は一般社員たちの努力を認め、彼らのことを大切にしてあげる義務があると思うのです。

そして、そういった会社としての姿勢を社員たちは必ず見ています。

会社としての一挙一動。

会社の化身たる上司(管理職)の一挙手一投足。

それらを見て、社員が本当に大切にされているか否かを推し測っているのです。

そして、もし『会社から大切にされていない』と感じた場合、その社員は会社に見切りをつけて去っていきます。

それは言い換えるなら、会社に対して愛想が尽きた状態ですかからね。

ヒサシ
ヒサシ

20代だった頃の私がそうであったように…

彼氏・彼女に愛想が尽きたら、誰だって別れることをことを選択しますよね?

会社とは結婚できない(=添い遂げる事は出来ない)なんて言葉もありますが、まさにソレです。

ここ最近、医薬品卸では若手社員の離職が問題視されています。

以前、このブログで若いMSが辞めていくタイミングについて記事を書いたことがありましたが、近年では入社してから1年~2年ほどで辞めていく人も増えてきました。

この離職の理由を突き詰めていくと、この記事で取り上げた経費削減による息苦しさが一因となっているように思えます。

その辺りの事情について、医薬品卸の偉い人たちには深く考えていただきたいものです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

コメント投稿はこちら

  1. 匿名 より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。元MSのたぬきちです。

    ヒサシ様が記事を上げていらっしゃった時期はとてもそういう社風がありました。

    その時期はとても医薬品卸に特に暗雲が立ち込めた時期だと思っています。

    コストダウン、コストダウン、環境整備(多分これは建前だと思っていました)

     ボーナスも業績上割安という時期でした。

    恐らくですがその時期の医薬品卸業界(メーカーも含め)厳しくなっていたはずです。

     薬価の急落
     競合等々の事情で

    詳しくはお書きできませんが。その時期にMRさんの大量リストラが目立つようになってきたかと考えます。

    記事にもあります通り、メモなどはアメニティを使え。と。※現在はありません。(ボールペン等を医薬品広告に添付するのがよくない風習になったからです)

    私は100円均一で売っているのノートを買っていつも使っていたので、その時期お咎めありませんでした。

    私見ですが、この業界は潰れません。

    そんな風潮は残りますが、いい時も来るんです。もちろん悪い時も来ます。

     そんなに悪い業界でないですよ。年収的に見れば高くもないし低くもない。転職もすぐできます!

    ← すみません。年齢と役職にもよりますが、手取り年収とかは、安くはないと思います。(当時年収27歳500万円弱)(家賃9割会社)

     そんな意識改革が進んでいる業界ですが、MRさんでもMSでも目指してください。きっと悪くないはずです。

    たぬきち。

    • ヒサシ ヒサシ より:

      たぬきちさん

      コメントありがとうございます!
      ご指摘の通り、医薬品卸でのコストダウン活動はメーカーの業績悪化と連動していたのは間違いないです。

      メーカーの収益がイマイチだから、卸へのアローアンスやノベルティが削減されたのは周知の事実です。
      医薬品卸の利益確保はメーカー次第なところがありますので、その仕組みが仇になった形ですね。

      しかし、これだけ暗いニュースが溢れているにも関わらず、他業界と比較すれば決して悪くない業界という意見には私も賛成です。
      またのコメントをお待ちしております!

タイトルとURLをコピーしました