こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
私は地方勤務のMRであり、極端な言い方をするなら『田舎担当MR』です。
ほとんど毎日、長距離運転を繰り返し、人気のない長閑な道路を行き来しています。
そんな私もMR歴4年となり、そろそろ都会(特に首都圏)を担当してみたいという気持ちが湧いてきました。
一方で、都会担当のMRは『都会は色々と大変だから来ない方が良いよ!』と言います。
そこで今回は、都会でのMR業務はどのくらいキツいのか?というテーマについて考えてみました。
都会エリアの仕事は一長一短か?
弊社のMRは人数が少ないため、互いの担当エリアが離れていてもMR同士が絡む機会が多くあります。
講演会で東京の演者を地方に呼ぶこともありますから、そういったときに都会担当MRと意見交換ができるのです。
そこで、今回は親しくしている東京や大阪を担当している先輩MR数人に話を伺ってみました。
ここでの都会とは東京や大阪など、人口が多い街をイメージしてください。
さて、都会担当のMRは口を揃えてこう言います。
『講演会の演者随行などで休日が潰れるので大変だ。』
『車での移動だと渋滞に巻き込まれるので大変だ。』
『場合によっては公共交通機関(電車やバス)の方が効率よく移動できるけど、説明会などで資材やプロジェクターを持ち運ぶときは公共交通機関だとキツい。』
なるほど確かに、それはそれで大変そうだなぁと思います。
そこで、都会担当のMRにおけるメリットとデメリットについて考えてみました。
まず結論を書こうと思うのですが、都会担当の仕事はやりがい抜群な反面、QOLは低そうな印象です。
繰り返しになりますが、私はMRとして都会エリアを担当した経験がありません。
ですから、都会担当の先輩MRの言い分に沿ってメリット・デメリットについて検証してみました。
メリット①:専門施設を担当できる!
私が都会担当に憧れる理由の1つがこれです。
例えば首都圏であれば、東京大学や慶応大学、虎の門病院などですね。
こういった名だたる難関病院を担当していること自体がステータスであるように思えます。
虎の門病院などは、新薬の宣伝許可をもらうために数時間ほどヒアリングを受ける必要があるそうです。
この辺りに、難関病院が難関たる理由があるのでしょう。
実際、弊社でも、
『自分は○○病院の担当MRだからな!(キリッ)』
…みたいな感じでドヤ顔しているMRもいます。
まあ、そういったMRの人間性はさておき、能力的には凄く優秀だと思います。
訪問規制もガチガチでMR活動がやりにくいという話も聞きますが、そういった訪問規制の網を掻い潜って数字を伸ばしているMRもいます。
それはやはり、そのMRが優秀である証だと思うのです。
同時に、そういった環境でチャレンジしてみたいとも思います。
(※もし実際に私がそういった施設を担当したとして、上手くいくかどうかは別問題ですが…。)
他にも、転職時に難関病院や専門施設を経験したことがあれば、堂々と職務経歴書に書くことができるでしょう。
これは間違いなくメリットです。
メリット②:MRとして成長できる!
先ほども書いた難関病院を攻略ためには、MRとして高いレベルが求められます。
各社ともにエース級のMRを投入してきていますから、ライバルと鎬を削る毎日だそうです。
それはオーファンドラッグ中心で活動している弊社も例外ではないとのこと。
そんな環境の中で、どうやって成果を出すか?
売上を伸ばすには、どのドクターをどのように攻略するか?
効率良いPMSのやり方とは?
こんなことを毎日毎日、自問自答しながら活動しているそうです。
MRとしてより良い活動方法を追求すること自体は私もやっていますが、都会担当MRは競争が激しい環境で揉まれている分、MRとしての思考レベルが私よりも上だという印象があります。
こういった環境で働いているからこそ、難関病院に適応するべくMRとしてレベルアップしていくのかも知れませんね。
弊社はMR数が少ないので余計にそうなのかも知れませんが、首都圏で大学病院を複数担当しているMRもいます。
そういったMRと意見交換すると、自分はMRとしてまだまだだなぁ…と、思わされます。
デメリット①:演者への随行が多い!
この記事の序盤で述べた通り、都会にてKOLレベルの医者がいる病院を担当していると、担当MRは講演会等の随行業務が凄まじく大変だそうです。
(※『KOL』とは『Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー)の略称で、製薬会社薬を販売するにあたって影響力を持つ医師のことです。)
KOLということは、講演会の演者依頼も多くなる。
担当MRは、その辺りのスケジュールを調整し、講演会当日はKOL(演者)に随行する必要があるのです。
その結果、北は北海道、南は九州まで、担当MRはKOLと共に全国各地を行脚します。
当然ながら、担当MRとして随行中は常に気を遣い、神経を尖らせているとのこと。
KOLのドクターが人間的に良い人ならともかく、悪い意味で癖があるドクターだと地獄だそうです。
苦手としている人間と新幹線や飛行機で長時間一緒にいたら絶対に気が滅入りまよね。
しかし、仕事は仕事。
担当MRは ”嫌でも” KOLを立てて行動しないといけない。
もしKOLの機嫌を損ねたら、MR個人の売上どころか会社(製品)としても危うい状態になりかねない。
そういう意味では、都会にてKOLを担当しているMRはメンタル面もタフでないとやっていけないのでしょう。
当然、講演会は土日等の休日に行われることもあります。
よって、休日に随行が発生する時点で自動的に休日が潰れます。
これもまた、担当MRが心身を消耗する原因の1つだそうです。
また、当たり前の話ですが随行中は医療機関への訪問活動ができません。
会いたいドクター、攻めたいドクターは沢山いるけど、KOLとの随行があって他の病院、他の医師を中々攻めきれないと言っているMRもいます。
つまり、随行ばかりしていると、その反動で訪問活動に割ける日数が少なくなるということです。
これはある意味、他のMRと比べてハンデを負っているのと同じです。
1週間の中で私のような田舎MRが実働5日かけて訪問活動をするのに対して、KOL担当の都会MRは実働3~4日ほどしか訪問活動に割けない。
しかし、MRとしての成果は等しく求められる。
それはそれで、しんどい環境だなぁと思います。
デメリット②:道路の渋滞がヤバい!
この記事を書くにあたって話を聞いた東京の先輩MR曰く、
『営業車はあるけど毎日は使わない。』
『渋滞のリスクを考えて行動している。』
『場合によっては公共交通機関(電車やバス)で移動する。』
とのことでした。
恥ずかしい話ですが、私は東京都内にて運転をしたことがありません。
ですから、あくまで予想でしかありませんが、都内で渋滞に巻き込まれたら一巻の終わりでしょう。
アポイントや説明会など、MRとしての予定が全て狂うのは間違いありません。
そのリスクを熟知しているからこそ、先輩MRは敢えて公共交通機関を使うのだそうです。
とはいえ、公共交通機関を使うのは訪問予定の病院が駅やバス停から近いとき限定だと言っていました。
ただし、公共交通機関での移動もそれはそれで大変らしく、PCや資材が入った鞄を担ぎ、その状態で電車やバスを乗り継いで病院訪問するのは結構な重労働だそうです。
特に暑い時期や寒い時期、雨の日などは堪えるとのこと。
まあ、いくら交通の便が良い病院でも、流石に説明会のときは公共交通機関だとキツいらしいです。
特にプロジェクターやスクリーンまで持参するときは営業車を使みたいですね。
ちなみに、その先輩MRは車(運転)が嫌いというワケではないです。
それでも、都内の渋滞リスクはMRにとって『天敵』とのことで、なるべく車に頼らない営業スタイルを追求しているそうです。
私なんかはMS時代を含めて常に車に乗って営業活動をしてきた人間ですから、車を使わない活動というものについてピンと来ません。
ですが、都内を担当したら車を使わないやり方も選択肢の1つなのかも知れませんね。
デメリット③:売上面で地方と比較される!
これはちょっと意外な事実でした。
これも先輩MR曰くですが、
『地方(田舎)の方が実績良いと、自分たち(都会MR)は叩かれる。』
『市場は都会(東京や大阪)の方が大きいのだから、地方より売上が劣ること自体おかしいと言われる。』
『東京(大阪)のMRは何をやってるんだ?地方に負けて悔しくないのか?とハッパをかけられる。』
…などと、容赦のない指摘を受けることがあるとのこと。
上司や本社の人たちは、平気でこのようなキツいことを言うそうです。
まあ、確かに人口が多いエリアほど患者も多くいる、つまり市場が大きいという理屈は理解できます。
しかし、都会担当MRにとっては地方と比較され、こき下ろされること自体が結構なストレスみたいですね。
逆に、私が勤務している地方の会議などでは、都会(東京や大阪)と比べて勝っている・劣っているという議論すらされません。
私のエリアだけかも知れませんが、地方はあくまで目標数字に対する達成率などで評価される印象です。
都会(特に東京)は良くも悪くも、常に何かと比較される。
それはそれで大変そうな話です。
デメリット④:希少疾病患者が特定の施設に集中してしまう!
これは『オーファンMRあるある』の1つでもあります。
一部のMRにとってはある意味メリットなのですが、大半のMRにとってはデメリットです。
ここまで書いてきた通り、都会にはKOL複数がいます。
そのKOLのもとに患者は集まってきます。
特に希少疾病患者に関しては、その傾向がより顕著です。
『この○○病については、△△病院の□□先生に診てもらえれば間違いない!』
『よし!この○○病の患者を□□先生に紹介しよう!』
医師者同士、病院同士でこのようなホットラインが存在するのです。
その結果どうなるか?
KOL担当のMRは数字が伸びやすい状況が生まれます。
一方で、その疾患に関するKOLを担当していないMRにとっては、数字が伸びにくい状況に陥ってしまします。
これはどういうことなのか?
せっかくなので、東京を例にしてみましょう。
都内のA病院に、希少疾病であるZ病に関するKOLがいたとします。
そのKOLはZ病の第一人者だと呼ばれており、その影響力のもと、A病院は先進的なZ病治療に取り組んでいます。
当然、A病院ではオーファンドラッグを用いた治療も行っています。
そのため、A病院にて最新の治療を受けるべく、Z病患者が周囲の病院から次々と紹介されてきます。
埼玉県のB病院、千葉県のC病院、神奈川県のD病院も、自院にてZ病だと判明した患者がいれば、A病院にてより良い治療を受けてもらうべく、患者をA病院に送ります。
その結果、B病院、C病院、D病院ではZ病の患者がいなくなり、Z病患者に使うオーファンドラッグも売れない状況になってしまいます。
逆に、A病院ではZ病治療のためにオーファンドラッグをガンガン使ってもらえます。
結果として、A病院の担当MRはオーファンドラッグの売上計画を達成する。
B病院、C病院、D病院ではオーファンドラッグが全く売れずに未達となる。
いかがでしょうか?
A病院を担当しているMRにとっては良い話でしょうが、その他のMRにとっては面白くないでしょう。
こんな具合に、首都圏では希少疾病患者が1点に集中する反動で、その他の病院では希少疾病自体がいなくなる現象が起きるそうです。
患者がいない、それは即ち売上が伸びる余地が無いということです。
MRは数字で評価される職業ですから、こういった現象に巻き込まれても言い訳はできません。
まとめ:都会MRの仕事は忙しい!しかし…!
都会担当MRの労働環境には良し悪しがあると改めて感じました。
やりがいが抜群であり、競争が激しい環境からこそMRとして成長しやすい。
一方で、業務量も多く、移動に関しても制限が多く心身を消耗しやすい。
私は都会エリア担当に憧れている人間ですが、憧れすぎるのも考えものなのかも知れませんね。
実際、この記事では都会担当MRにおけるメリットを2つ、デメリットを4つ書きました。
そういう意味では、都会はデメリットの方が多いのか?とも思えます。
でもやっぱり、私は将来、都会(特に東京)で自分の力を試してみたいです。
やってみてダメなら仕方ありませんが、それならそれで諦めもつきます。
いつか都会エリアを担当することになったら、このブログでも報告したいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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