こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
10月8日の日刊薬業にサノフィのリストラ記事が掲載されました。
バイエルといい、MSDといい、今秋は製薬会社のリストラが相次いでいます。
バイエル薬品が早期退職(リストラ)を発表!MR戦国時代に待ったなし!
MSDが早期退職(リストラ)を発表!最近はMRにとって暗いニュースばかりだな…。
私もリストラ慣れしてしまったのか、正直あまり驚かなくなってきました。
(『慣れ』って怖いですね…。)
一方で、今回のリストラによる転職市場への影響について、
冷静に考えたりもしている自分がいます。
今回リストラされたサノフィ社員はどこに行くのだろうか?
MR⇒MRの転職を行うのだろうか?
そうなると、ただでさえ少ないMR求人枠の競争がさらに激しくなるなぁ…。
…などと考えると、何とも言えない暗い気持ちになります。
そこで、今回のリストラについて私なりに思ったことを書いていきます。
サノフィのリストラは本社勤務の人間も対象である!
さて、今回サノフィが発表したリストラにおいて、
バイエルやMSDとは明確に異なる点があります。
サノフィは本社勤務の人間もリストラ対象にしているのです!
日刊薬業によると、今回のリストラ対象者は下記の通りです。
・プライマリーケア領域のMR
・本社勤務の営業関連部門
・研究開発の部門
・薬事の部門
・その他の間接部門
本社の人間、その中でも研究開発部門までリストラ対象にしていることには驚きました。
サノフィのホームページを見ると、生活習慣病から希少疾患まで、
日本国内にて色々な薬剤を開発していることが分かります。
糖尿病、骨髄腫、ポンペ病、血友病、各種ワクチンなど、
第Ⅲ相試験を行っているパイプラインも結構あります。
それなのに、なぜ研究開発の人間までリストラ対象にするのか?
製薬会社の根幹を支える人間を切ってまで行う価値のあるリストラなのか?
…なんてことを自分なんかは考えてしまいます。
ちなみに、サノフィ日本法人の従業員数は2,067人です。
このうち本社勤務の人間が何人いるかは不明ですが、
200人もリストラするということは、全従業員の約10%がいなくなるということです。
10%という数字だけ見ると、大したことないと思う方もいるかも知れません。
しかしながら、何と言っても200人ですよ?
中学や高校の一学年分の人数ですよ?
中小企業1社分の人数ですよ?
これだけの大人数をリストラするとなると、サノフィ社内での混乱は避けられないでしょう。
おそらく本国からの指示でこういったリストラを行っているのでしょうが、
同じ業界で働いている人間としては居たたまれない気持ちになります…。
リストラ優先度が高いのはMRの方である
これは私個人の考え方ですが、製薬会社にとって『最も替えが利く人材』とはMRです。
それはなぜか?
MRは『切りやすい人材』かつ『補充しやすい人材』だからです。
薬剤の特許切れで後発品が出てきたとき、真っ先に不要になるのはMRです。
あるいは、新薬が出ない時期が長期間続く場合もMRは不要です。
これは会社目線で考えれば当然のことで、
『売るモノ』がないのなら、プロモーションに大量のMRをつぎ込む必要はありません。
よって、会社の閑散期においてMRは要らない存在なのです。
一方で、新薬が出てくる時期はどうか?
これも会社目線で考えると、そのときだけコントラクトMRを雇えば済む話です。
コントラクトMRを数年間だけ雇い、その間に新薬を市場に浸透させる。
市場を攻めるだけ攻めた後、コントラクトMRは不要なので自社からは去ってもらう。
これはつまり、
『MRには必要な期間だけ働いてほしい!』
『でも、それ以外の期間においては会社のお荷物である!』
『会社としてはMRのために余計なコストをかけたくない!』
…という考え方ですね。
個人的には好きではない考え方ですが、その一方で理に適っていると思います。
この理屈で考えると、会社として『切りやすい人間』はMRです。
少なくとも、研究開発の人間よりもリストラ対象になりやすいのは間違いありません。
研究開発の人間を切りすぎたら、会社の『飯のタネ』がなくなってしまいます。
つまり、新薬を発売まで持っていくことができなくなるワケです。
製薬会社としては自社の土台を揺るがすことになるため、なるべくなら避けたい事態です。
だったら、どうしてもリストラする必要があるのなら、まずMRからリストラしよう。
研究開発の人にはなるべく会社に残ってもらえるように計らおう。
こんな風に会社が考えたとしても、何ら不思議ではありません。
そもそも、今年9月に発表されたバイエルやMSDのリストラにおいては、
あくまで営業(MRなど)に関する人間だけがリストラ対象として挙がっています。
今回のサノフィに関しても、MR以上に本社(特に研究開発)の人間がリストラされるということはまずないでしょう。
そう考えると、MR[にとっては本当に肌寒い時代になってしまったと感じます。
まとめ:MRとして、自分の身は自分で守ろう!
MRとして苦しい立場になったとき、最後に頼れるのは自分自身です。
バイエルやMSDのリストラ記事でも書きましたが、会社はMRを助けてくれません。
むしろ、MRを切るときは容赦なく切ります。
つまり、自分の身は自分で守るしかないのです。
家族がいる人なら、家族も含めて生活を守っていく必要があります。
こういった文章を書くたびに『世知辛いなぁ…』と思うのですが、これがMRの現実です。
このご時世、会社に依存するような生き方は大変危険です。
会社に雇用を期待するのではなく、自分自身の力で雇用をつかみ取らないとダメなのです。
では、MRがリストラを恐れずに生きていくにはどうすれば良いのか?
これまた持論ですが、方法は2つあると思います。
1つ目は、リストラされないように自社で優秀な成績を維持すること。
2つ目は、リストラ対象になったらすぐに転職できる状態にしておくこと。
特に2つ目に関しては、
『転職市場での自分の価値はどのくらいなのか?』
『自分を買ってくれる会社はあるのか?』
…ということを常に把握しておくことが大切です。
私はリストラで人生設計が狂ったMRを何人も見てきました。
そして、私自身がリストラに脅かされる可能性もゼロではありません。
これからも気を引き締めて、この医薬品業界で生きていこうと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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私は今59歳で、来年3月で一旦定年退職です。そんな私が入社した35年ほど前ですら、MR(当時はプロパーと呼ばれていた)は、多すぎると言われていました。いずれ減らされる運命にあると言われていました。そのため、多くの先輩MRは、自己研鑽を欠かさず、英語の勉強、調理師免許の取得を始めとする資格取得に努めていました。私はMRをしながら、取引先の病院の先生と一緒に中国語の先生を雇って(当時の中国人への謝礼は安くてOK)、ニ対一で毎週中国語の授業をしてもらっていました。それはもちろん、英語能力だけでは競争を勝ち抜けないと判っていたからです。それほど、私がいた会社(藤沢薬品)のMRはみな、将来に危機感を持っていました。 果たして、私は中国語で国際本部(本社)に潜り込む事に成功し、様々な経験を積む事で、50歳と55歳の二度にわたり、「内部紹介」で転職できました。
自分自身が、自己研鑽に励んで、MRの地位(年収1000万超え)に安穏とせずに来ましたから、今さら慌てふためいて、労働組合結成して会社にしがみつこうとか、「今頃か!」という感想です。業界の置かれている状況、世の中の(製薬業界だけでなく、世界的な)流れを読んでいれば、当然こうなる事は、わかったのではないでしょうか。
まぁもっとも、減るはずだったMR数は、2000年頃の合併劇や外資の参入で、むしろ数が増える一方でした。また、MRの手当ての厚さがすごすぎましたね。私の場合、本社国際本部入りした32歳当時は、各種手当が消え、手取り年収で100万円も下がり、日当まで無くなって、大変でした。
でも、ここへ来てついに各社がMRを本格的に削減するMRを削減するようになったのは、実は政府(財務省と厚労省)の指導があるからなのです。 ふくらみ続ける医療費と一貫して増え続ける保健負担割合の削減が急務の中、日本だけが突出して大きい医薬品市場は、高給取りのMRの人数が多い事も、やり玉に挙がっていたからです。 つまり薬価算定根拠である原価計算の中に、営業の人件費も含まれているし、何より、MRが無駄に多く薬を使用させていると言われていたからです。 その為、厚労省は病院と薬局を分離したり、長期収載品をジェネリックに換える推進策をしたり、しているわけです。その成果で、世界の医薬品市場で日本一国で15%もあったシェアが、今は7%と半減しています(絶対金額で減ったわけではありません。増え方が他国より少なかった為、世界シェアが減ったのです)。
また、日本の製薬会社は、ちょっと前まで武田もアステラスも第一三共も、世界ベスト10位に入らない程度の小粒な会社ばかりで、国際競争力が無い事も問題視していました。 そこで、長期収載品に頼らず、MR数を率先して削減し、女性管理職を30%にするなど、政府の方針に忠実な、トップ会社二社だけを、政府として守って行く方針を秘密裏に打診しています。中でもアステラス製薬は、それを忠実にこなしているのです。 10年前は、アステラス社内は女性バブル状態でした。仕事できな女性でも、同期や先輩男性社員を差し置いて、課長になったりしていました。で、3年ほど前に女性管理職の割合が30%を超す事に成功しています。
だから、MRを削減していること=アステラスが弱っている事にはならない。それどころか、着々と次の布石を打って、来るべき次の時代の(超高価なバイオ医薬品開発を継続できる)医薬品会社になる条件を整えている事がわかります。
では、なんでそんな素晴らしい会社を辞めたんだ?という疑問もわかります。それは、会社が素晴らしい事と社員の幸せが、同じではないという事に尽きます。あくまで会社とは、社員が幸せになるために、各社員が利用する「器」に過ぎない。一蓮托生ではありません。会社側も、社員は会社が発展するための材料でしかありません。お互い、利用しあうだけの、対等の関係であるべきです。
藤沢薬品が合併してアステラスになって、会社がどんどん大きくなって(藤沢3500億+山之内4500億が、今や1兆4000億)行ったのはいいけれど、私の仕事の範囲が、欧州+アジアから、アジアだけに狭まって行きました。それだけでなく、新入社員は、帰国子女か超一流大学出が多数を占め、アジアの子会社にいるアステラスの社員は、現地では超々富裕層の子女であり、大学も欧米の有名大学を出ており、一般人の私など、とても競争できる相手ではありませんでした。 だから、新しい活躍の地を外に求めるのは、ある意味自然な流れでした。 そういう社内の事情をわかっているのか、ヘッドハンティングの電話(たいてい英語オンリー)もあちこちから入り、会社もそれを咎めたりしません。 なんというか、超ドライな会社になりました。 だから、アステラス社員は誰ひとり、もう「会社のため」に仕事している人は、いないと言い切っていいでしょう。自分のキャリアを充実させる道具と割り切り、次を見ています。それができない人も、もちろんたくさんいます。私の同期のMRを最後までやっていたメンバーは、50歳代半ばで露頭に迷っています。40歳時点で営業所長にもなれなかったら、MRを見限って、次の一手を打つべきですよね。しかしMRが高給取りであるが故に、それができなかったのだろうと思います。しかし、批判的に言ってしまえば、要するに未来の想像力に欠けていたのですね。あらゆる世の中の動きにアンテナ高くしていれば、現在の状況は誰でもわかる事だったと思います。
Hirappaさん
コメントありがとうございます!
引き続きアステラス製薬の歴史を語って頂き、色々と参考になりました!
なまじ高給であるが故に見切りを付けられないのは、もしかすると“MRあるある”かもしれませんね。(汗)
私自身はまだ30代ですが、40代~50代となった自分を想像しながらキャリアを積んでいく必要がある事を再確認させられました。