こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
GW明けの2日目、MRの皆さんはどのように過ごしましたか?
先日は『やる気が出ない』『自分は五月病かも?』などという記事を書いてしまいましたが、今日はそれなりに業務に集中できた1日だった気がします。
MRだって人間だから五月病になるよね?…という言い訳は通用しない話
(とはいえ、内勤に対するモチベーションは相変わらず低いですが…)
さて、GWが明けたことによって業界誌でも色々なことが報じられていますね。
その中でも、私が特に興味を持ったのが武田薬品とアステラス製薬の動向です。
両社とも国内王手の内資系製薬会社ですが、その方針は微妙に異なります。
私が勤めている会社の方針とも見比べた上で、自粛継続または解除といったことについて思ったことを書いていきます。
似て非なる武田薬品とアステラス製薬
ミクスオンラインの記事を読む限り、武田薬品とアステラス製薬の根底にある方針は同じだという印象を受けました。
武田薬品 国内MRは在宅勤務継続 医療者が「喫緊で必要となる情報」をリモートで提供
アステラス製薬 13都道府県以外の地域 MR活動の一部「慎重に再開」
両社とも、医療機関にガンガン営業をかけようとは全く思っていない。
営利目的の活動も抑え気味にするという姿勢も同じ。
ただし、その活動の手段に違いがあると感じました。
この2つの記事について、私なりに要点をまとめてみました。
武田薬品
・期間無制限で在宅勤務を継続する
・今後も直接の面談ではなく、WEBを通じて情報提供・情報収集を継続する
・上記のWEB業務は製造承認・発売・効能効果の追加・法令業務(添付文書の改訂案内など)を中心に行う
・この取組の趣旨は『MRの訪問活動により新型コロナウイルスの拡散を防ぐ』という点にある
・WEB業務は『医療従事者が疲弊し、医療体制が逼迫している』ことを踏まえ、漫然とした情報活動はしない
アステラス製薬
・在宅勤務を推奨するけど、一部のMR業務に関しては外勤OK
・法令業務(添付文書の改訂案内など)や、医療機関から要請された場合のみ訪問活動を行う
・上記の業務は『特定警戒都道府県(13都道府県以外)で勤務するMRのみ』が可能
・特定警戒都道府県(13都道府県)のMRは5月31日まで出社禁止(多分だけど外勤もダメ)
いかがでしょうか?
武田薬品は『医療機関は訪問しない』という前提で活動する。
アステラス製薬は『状況に応じて医療機関を訪問OK』という前提で活動する。
ミクスオンラインの記事を読み、私はこのように解釈しました。
ハッキリ言って、この2社の方針に関してどちらが正しいのかは全く分かりません。
いや、そもそも正しい・正しくないという議論すらナンセンスかも知れません。
私が勤めている会社は武田薬品寄りの活動方針ですが、アステラス製薬のように状況を見つつ訪問活動を解禁するのも間違っていないと思います。
むしろ、従来のMR活動を行うとしたらアステラス製薬のような会社の方が間違いなく仕事をやりやすいはずです。
個人的にはアステラス製薬のような形でMR活動をしたいところです。
正解がないだけに、両社の対比は興味深いなぁと思いました。
健康を重視した武田薬品
MRと医療従事者、この両者の感染リスクを限りなく下げられるのは武田薬品のやり方です。
直接は面談しない方針を続けるワケですから当然ですよね。
医療従事者への感染リスクを下げると同時に、自社の社員を守ることにも繋がる。
なるほど、理に適っています。
東京の小池都知事も日頃から『感染者が減っても気を緩めるな』ということを言っています。
ですから、今回の武田薬品の報道からは、
とにかく油断するな!
…という戒めのような意図が感じられます。
また、企業としては当たり前のことですが『自社からコロナ感染者を出したくない』という意図も読み取れます。
社員と顧客のことをよく考えている良い会社だと思います。
学生時代、もし武田薬品のMR選考に合格していたら今頃どうしていただろうか…なんてことを少しばかり妄想してしまいました。
ただし、その代償として武田薬品のMRは慣れないWEB活動に苦しんでいるのではないでしょうか?
そもそも、WEBで製造承認・発売・効能効果の追加案内をするって結構ハードルが高いと思います。
特に、病院で宣伝許可を取る場合は薬剤部に話を通す必要がありますから、より大変なはずです。
伝えられる情報量にも限界があるでしょうし、薬剤部のお偉いさんにWEB上とはいえ、アポイントを取れるのか?…という問題もあります。
気難しい薬剤師が相手なら『もう知ってる』『資料だけメールで送って』みたいな感じであしらわれそうな気もします。
そもそも、WEB面談が可能な施設ばかりではありません。
電波状況が悪い施設、WEB面談で使えるようなPCが足りない施設、情報漏洩リスクを考えてPCやスマホでのWEB面談を禁じられている施設など、考えたらキリがありません。
このやり方だとMRの間でも格差が発生する気がするのですが…。
武田薬品の営業力があれば、こんなハードルは大したことないんですかね…。
私自身がWEB面談に苦手意識を持っているせいなのか、武田薬品のやり方は現場のMRにとってストレスが多そうな気がしてなりません。
業務効率を重視したアステラス製薬
感染リスクが低そうな地域に限り、医療機関への直接訪問を可能とする。
ただし、それは必要最低限のMR業務のみに留める。
私個人としては、これはこれで理に適っている戦略だと思います。
確かに、コロナ感染が落ち着いている地域とはいえ、直接訪問を行う時点で感染の可能性はゼロではなくなります。
その可能性が1%なのか2%なのかは分かりませんが、少なくともゼロではない。
アステラス製薬のMR・医療従事者共に、その1%か2%のリスクに晒されることになる。
そういった意味で、少なくとも武田薬品と比べれば『感染リスク上等』で活動するとの見方もできます。
ただし、コロナウイルスを過剰に恐れるのも良くないことだと思うのです。
ニュースや新聞でも毎日のように言われていることですが、『健康を優先すれば経済が死ぬ』という側面があるのも事実です。
製薬会社で例えるなら『健康を優先すれば売上が死ぬ』といったところでしょうか。
まあ、『売上が死ぬ』なんて表現は大袈裟だとは思うのですが、WEBを用いた活動だけでは業務効率が大幅に落ちるのは間違いないです。
そもそも、コロナが流行っていない地域だろうと、医療機関の状況は様々です。
訪問規制する施設もあれば、そうでない施設もある。
だったら、訪問規制中の施設はWEBで対応し、訪問規制なしの施設には直接訪問すれば良いのです。
病院側だって考えがあっての判断でしょうから、訪問OKならMRは堂々と訪問すれば良い。
添付文書の改訂案内程度なら、WEBよりも直接訪問した方が短時間で決着が付きます。
わざわざWEBでの情報提供をゴリ押ししてアポイントを取り、当日の電波状況にまで気を配る…なんてことをするよりも遥かに効率的です。
業務効率だけを考えるなら、MRにとって活動しやすいのは間違いなくアステラス製薬のような会社でしょう。
それに、理由はどうであれ施設を直接訪問できるアドバンテージは大きいと思うのです。
競合他社の動きも把握しやすいですし、売上アップを狙うような営業活動は難しくても、収集できる情報はたくさんあります。
個人的にはアステラス製薬のMRが羨ましいです。
まとめ:2社の取組みは吉と出るか?凶と出るか?
武田薬品とアステラス製薬の方針って、本当に正解がないテーマだと思います。
何を優先して、何を諦めるのか?
まさに一長一短です。
個人的にはWEBを用いた活動に辟易していたので『アステラスMRが羨ましい』と思う派です。
一方で武田薬品のように社員・医療従事者の健康を守ることを優先事項とした会社の判断も理解できます。
これは本当にMRによって感じ方が異なりますよね。
コロナが完全に終息するまで訪問は完全自粛するべきだろ!
…と思う人もいれば、
いつまでも自粛していたら何も出来ないだろ!
…と思う人もいるはずです。
記事を書いていて、色々と考えさせられる事案でした。
多分、あと数ヶ月くらいすればMRの活動状況にもさらに変化が出てくるでしょう。
そのタイミングで改めて武田薬品・アステラス製薬の今回の方針について検証してみようと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
コメント投稿はこちら