こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
ここ最近、50代くらいのオジサンMSから包装変更に関するクレーム電話を頂戴しました。
そのMS曰くですが『自分(MS)のもとにMR(ヒサシ)が包装変更の案内をしに来なかったこと』が腹立たしかったようで。
それはもう、電話にも関わらずスゲー勢いで詰られました。(汗)
以下、そのMSからのクレームに関する一部始終です。
さて、どうしたものやら。
実はですね、私がMRとして働いてきた約6年ほどの中で、包装変更に関するクレームをMSから叩き付けられたのは今回が初めてです。
念のため補足しますが、今回のクレーム対象となった薬剤は【オーファンドラッグ】です。
早い話、MRとMSが協業するようなプライマリー系の薬剤とは異なり、専門領域でしか使われないような特殊薬だったんですよ。
つまり、このクレーマーMSと以前から情報交換を密にしていた品目というワケではありません。
なおかつ、私はいずれ包装変更品が流通することについて、病院には案内済みでした。
(※ただし、病院の薬剤部内で包装変更の件がしっかりと情報共有されていたかは不明。)
さらに付け加えると、私はこのクレーマーMSのことが大嫌いです。
なぜかと言うと、過去に説明会の弁当を巡って揉めたことがあるためです。
説明会などの場面でMRに弁当をねだる『身勝手なMS』について思うこと
そんな経緯もありまして、このMSとは以前から距離を置いていました。
まあ、そんな私の個人的な感情はさて置き…
今のご時世、MRからMSに包装変更の案内を逐一してあげる必要はあるのでしょうか?
もちろん、お互いに顔合わせてコミュニケーション出来るのなら、それが最も理想的だとは思います。
その反面、コロナ禍であること、仕事の効率面などを考えたときに、それは得策だと言えるのでしょうか?
平成の頃ならいざ知らず、デジタル化が進んだ令和の時代において、MRからMSへと包装変更の案内を“直接行う意義”はあるのでしょうか?
対面での情報伝達がダメとは言わないが、昔ほどの重要性は無いと思うぞ!
今回の一件、MSとのコミュニケーションを疎かにしていた私にも落ち度はあります。
よって、MSからの批判は甘んじて受けようと思いますが、その点を差し引いても心の中がモヤモヤして仕方ありません。
そこで、今回は自分自身のMS経験も交えながら『MRからMSへの包装変更案内』というテーマで記事を書きました。
今回も忖度ナシで、現役MRとしての本音をブチ撒けていきます。
MRによるマンパワーの限界
私は現在、MRとして広範囲を1人で担当するような働き方をしています。
具体的には市町村レベルではなく、県レベルの広さを1人で担当しています。
こういった関係上、移動距離が半端じゃないんですよね。
各地の病院を訪問するだけでも一苦労なのに、医薬品卸の【デポ(営業所)】を逐一訪問するなんて、ハッキリ言って無理なんですよ。(汗)
ましてや、MSって忙しいじゃないですか。
早朝のタイミングでデポを尋ねたとしても、用事があるMSが不在であることも多いです。
もし仮にMS本人に訪問のアポイントを貰っていたとしても、これまた【急配】などのイレギュラー対応が入れば、MSは外勤せざるを得なくなります。
自分も元MSだからこそ、この辺りの事情は致し方ないと思っています(汗)
担当エリアが広く、移動するだけでも大変。
いざデポを訪問しても、MS不在で無駄足になる可能性もある。
だったら、卸を訪問する意味なくね?
…なんてことを、私なんかは思ってしまうのです。
こういったことを書くと『MSが不在ならMSのデスクの上にでも包装変更の案内文書を置いていけば良いのでは?』などと思う人がいうかもしれませんね。
あるいは、理由はどうであれ『包装変更の案内をMSに対して行うのはメーカーの責務では?』と思う人もいるかもしれません。
私自身、そういった意見には一理あると思います。
ですが、それと同時に“理想論”だとも思うのです。
現役MRであればご存知の通り、MRにはMRなりの業務が数多く存在します。
MRとして行うべき仕事に優先順位を付けるとしたら、やはり顧客対応が筆頭に挙がるでしょう。
アポイントでの面談。
説明会の開催。
講演会の準備や運営。
医療従事者から預かった質問への回答や、資材要請への郵送対応。
もちろん、こういった顧客対応以外にも、社内での内勤業務だって山ほどあるワケです。
こういったことを行っていると、ハッキリ言って時間なんていくらあっても足りないんですよね。(汗)
要するに、マンパワー不足だという事です。
どう頑張っても、MSへの対応という意味では優先順位を下げざるを得ない。
電話やメールでの連絡ならばともかく、デポに出向いて“直接”という形で包装変更の案内をするなんて事は、ぶっちゃけ現実的ではないのです。
よって、MRからMSへの包装変更案内という一点において、わざわざMRがデポに赴くのは“理想論”だと思えて仕方ないのです。
“理想”と“現実”の壁は分厚いのです…(汗)
専門領域の薬剤でMSと絡む機会は乏しい
現役のMR・MSであれば知っての通り、オーファンやオンコロジーの薬剤でMRとMSが協業することって、ぶっちゃけ殆どないです。
その理由は単純でして、製薬会社・医薬品卸との間で【アローアンス】が発生する【施策】が組まれていないからです。
つまり“会社 対 会社”で両社が取り組んでいる薬剤ではないという事ですね。
従いまして、プライマリー系の薬剤ならともかく、専門領域で使われるオーファン系の薬剤であれば、であればどうやったってMR・MSの関りは薄くなります。
電話やメールの頻度は決して高くない。
直接デポに赴き、製品の売上アップのために作戦会議をすることもない。
下手をしたら、半年~1年くらいの間、お互いに顔を合わせないなんて事もザラにある。
少なくとも、私自身に関してはそんな感じです。
そもそも、こういった専門領域の薬剤について詳しいMSって、本当にごく僅かなんですよ。
大学病院クラスの重点施設を担当しているMSであれば、非常に知識豊富であることも多いです。
よって、そういったMSはMRにとって心強い存在なんですよね。
これが医薬品卸のスーパーMSなのか?大学病院の担当MSが優秀すぎる!
しかしながら、上記のようなMSは少数派です。
殆どのMSはオーファンドラッグの適応名すら知らず、その薬剤が院内でどのように使われているのかも知りません。
簡単にまとめると、MRが欲しているような情報を1つも持っていないワケです。
こんな風に書くと嫌味な印象を受けるかもですが、これが私の偽らざる本音です。
私自身が『この人はマジで凄い!何としても味方になって欲しい優秀なMSさんだ!』と思えば、自分から積極的にMSと連絡を取ります。
直接顔を合わさなくても、電話やメールなどで処方状況について頻繁に情報共有します。
そして、優秀なMS側としてもアローアンスとは関係なく、MRとの連携活動には好意的です。
彼らは彼らでMRが効率的に動くことが自身の売上&利益アップに繋がることを知っているので、MSとして持っている情報は余すことなく教えてくれます。
これこそが真の協業であり、共闘であり、連携なのだと、私は現役MRかつ元MSとして常々思っています。
こういったMSとの関わり方について、私はMRの中では割とドライに考えている方なのかもしれません。
MRにとって有益な情報の持ち主ならば、積極的に関わろうとする。
MRにとって有益な情報を持っていないのなら、こちらから接触しようとは思わない。
つまり、義理や人情などではなく、仕事の効率を最優先で考えているワケです。
自分が専門領域で働いているMRだから余計にそう思うのかもしれませんが、私はこういったスタイルで働くことについて、何の疑問も感じていません。
MRとして重要なのは、自分に課せられた数字を達成することですからね!
…とはいえ、この記事のテーマである『MSへの包装変更案内』を疎かにしても良いとまでは、流石に考えていません。
ただし、包装変更の情報についてMRからMSに逐一伝えてあげる義務があるかと言うと、それもまた違和感を禁じ得ない話であるように思えます。
なぜなら、MSは包装変更の情報について、自社内で知ることが出来るはずだからです。
医薬品卸の社内イントラには包装変更に関する情報が載っている
まだ私が医薬品卸のMSとして働いていた頃、社内のイントラネットでは包装変更の情報が随時更新&閲覧できるような仕組みがありました。
いや、包装変更のみならず、出荷調整・出荷停止の情報なども、大抵はイントラ経由で確認可能だったんですよね。
そのため、私なんかは出社したらまずイントラにアクセスし、包装変更などを含む最新情報を頭に入れてから外勤することを心掛けていました。
もしかしたら、卸によってはイントラにこういった仕組みが無いのかもしれません。
しかし、私が知る限りでは、広域卸・地場卸を問わず、各社のイントラには包装変更の情報が載っていると認識しています。
現場のMSにとって、使いやすいシステムかどうかは不明ですけどね(汗)
では、なぜ医薬品卸のイントラに包装変更の情報が載っているのか?
それはずばり、製薬会社と医薬品卸の本社間では日頃から『○○月から包装変更品が御社に出荷されます』という趣旨のやり取りが行われているからです。
こうして製薬会社から医薬品卸へと伝わってきた情報はイントラへと格納され、各地のデポで働いている従業員たちも閲覧可能となるのです。
つまり、MS目線だとイントラの内容さえ目を通しておけば、MRから話を聞かずとも包装変更の情報をキャッチできるはずなのです。
確かに、イントラに加えてMRからも包装変更の情報提供がされれば、MSにとっては良いリマインドになるでしょう。
しかし、実際問題としてMRが全てのMSに対して情報を直接届けられるかと言うと、それは現実的ではないワケです。
そういった業務上の不足を補うために、医薬品卸では社内のイントラを活用して情報網の充実を図っているとも言えます。
MSとしても、包装変更の情報を一元管理されているイントラは有難い存在なんです!
これまた私の経験談ですが、自分がMRだった頃を振り返ってみても『MRから包装変更の情報を直接聞きたい!』と思った事って、そんなに無い気がします。
だって、包装変更の情報なんてイントラを確認すれば良いだけですから。
包装変更品の出荷時期を前もって把握しておけば、いつくらいの時期から顧客への納品が始まるかについても、ある程度は予測できます。
大体にして、MSがオフィスで仕事をしている最中にMRが話しかけてくること自体、MS時代の自分にとっては疑問でしたし。(汗)
自分がMSとしてこういった経験をしてきたせいか、私は『包装変更の情報なんてMSが自分で把握しておけば良いだろうに…』なんて事を思ってしまうのです。
…とは言っても、令和以降のMSは後発品関連の出荷調整&出荷停止により、多忙を極めています。
私がMSとして働いていた平成の頃とは、忙しさの度合いも異なることでしょう。
よって、今ここで私が述べた『包装変更はMSが自分で把握するべき』という意見は、現状では理想論なのかもしれません。
包装変更について、イントラを確認する時間もない程に忙しい。
私にクレームを叩き付けてきたオジサンMSは、そういった状況に置かれていたのかもしれませんね。
だからと言って、MRにブーブー文句を言うのもどうかと思うけどな…
まとめ:MSへの包装変更案内は“余裕があるなら”行っても良い!
約6年に渡るMR歴の中で、包装変更に関しては初めてのクレーム案件。
クレーマーMSへの個人的な感情はともかく、MRからの“直接案内”に拘るMSの存在には、現役MRとして色々と考えさせられました。
MRからMSへの包装変更案内は不要と考え、MS向けの行動を起こさなかった自分。
MRからMSへの包装変更案内は必須と考え、クレーム電話を入れてきたオジサンMS。
どちらが正しくて、どちらが間違っているのか。
どちらが効率的で、どちらが非効率なのか。
今の時代に即しているのは、一体どちらのやり方なのか。
このテーマについて、おそらく明確な正解は無いのだと思います。
MRも、MSも、互いの立場や業務内容などは大きく異なります。
それはつまり、互いに優先するべき物事が異なることを意味しています。
立場が違えば、状況も違ってきますからね…
正直に言うと、私は今回のクレーマーMSの言い分について『テメーの確認不足をMRに責任転嫁するな!』と思いました。
包装変更の案内文書くらい、お宅の会社のイントラで確認しておけよ、と。
包装変更の件で病院から何を言われたのか知らないが、MRに八つ当たりするんじゃねーよ、と。
自分自身がMSだった頃、MRに頼らない形で包装変更の情報を取っていたからこそ、余計にそう思うのかもしれません。
ですが、私にクレームを入れてきたオジサンMSにもまた、彼なりの主張がある。
MRなら、包装変更の情報を逐一MSへと伝えるべきではないのか?
それが製薬会社(メーカー)としての責任ではないのか?
オジサンMSとしては、きっとこんな事を考えながら私に電話してきたのだと思うのです。
この主張は私にとって受け入れ難いものではありますけど、こういった意見のMSが存在すること自体は参考になりました。
包装変更について、MSに対して今までノータッチを貫いていた私ですが…
これからは“仕事のスケジュールに余裕がある場合のみ”、MSへの包装変更案内をしていこうかと思います。
MRとして優先業務を疎かにしてまでMSへの対応を頑張るのは、どう考えても間違っています。
その一方で、MSとの関りが薄い専門領域の薬剤とはいえ、包装変更の場面でMSを無碍にするのも良くない。
だったら、MRとしては無理のない範囲内で、MSへの包装変更案内をしてあげた方が良いのかもしれない。
そんな気付きを得た一幕でした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
コメント投稿はこちら
申し訳ないけど、こんなフザけたこというMSなんて、自ら「私は仕事ができないポンコツなので包装変更があったら、直接その都度教えてくれないと把握できないんです」と言ってるのと同じです笑
情けないことを、よく恥ずかしげもなく言えるなと感心します
百歩譲って、昨今の供給問題でMSが多忙を極めてるのは分かるけど、ここまで言われる筋合いなんて何一つありません。
これはむしろ卸の仕事でしょう?イントラを毎朝チェックすれば済むだけの話です。MRが訪問してない施設だって沢山あるんですから、そういう先はMSが案内しますよね?って。
まあ、そういう面倒くさいポンコツなら、ヒサシさんが施設に案内済みであることを案内した時点でSMS一通送っておけば良かったのかもしれないですけどね。どちらにせよこれはMSがダメダメです。
you2さん
コメントありがとうございます!
現在50代くらいのMSは、いわゆる「MRが甘やかしてしまった世代」ですよね。
記事の中で取り上げたオジサンMSは、何から何までMRがお膳立てしてくれた頃の経験を今でも引き摺っているのでしょう。
包装変更の案内ひとつ取っても、時代の変化に対応できていないことが透けて見える一幕でした。
その点、若手~中堅のMSたちは立派だと思っています。
内心ではどう思っているか分かりませんけど、少なくとも包装変更の案内を巡って、MRを口汚く罵るような真似はしませんからね。
今回の一件で、このオジサンMSとは今まで以上に距離を置こうと決意しました。
MRの気分を害するようなMSのことは忘れて、もっと人間的に真っ当なMSと協力し合うことに注力していこうと思います。
私もそうでしたけど、MSから見たらMRって相当楽な仕事だと思われてますよね。まあ確かにMSと比べたら楽なのかもしれませんが、大変さの種類が違います。
MSが見てるMRは、あくまでもMRの一部分だけで、決して全てではありません。実際に働いてみたらMSとMRは働いてるフィールドこそ同じでも、やることは全く違いますし、多少似てる部分こそあれ別物の仕事です。特に45〜50以上のオジMSはMRの仕事を舐めてる人も多いですし。
講演会一つ取ってみても、開催するまでにどれだけの下準備があって当日を迎えてるのか、彼らは何も分かっていませんから。
you2さん
追加コメントありがとうございます!
現在50代くらいのMSは、プライマリー領域のMRとタッグを組んで活動してきた世代ですからね。
専門領域で働くMRの業務内容について理解して欲しいと言っても、それ自体が無理な話なのかもしれません。
これがMSとMRの両方を経験したことで悟った、自分なりの結論です。
まあ、こういった場合は相互不干渉というやり方が最善策でしょうね。
お互いにイヤな思いをしなくて済みますから…。
私が予想するにこのMSは包装変更があった商品を返品出来る出来ないで得意先と揉めたのではないでしょうか。MSとしては怒りのやり場が無くってヒサシさんにクレームを入れたのではないでしょうか(^◇^;) しかしオーファンドラッグまで直接出向いて知らせるなんて現実的ではないですよね…。今はヒサシさんのおっしゃる通り包装変更に加えて出荷調整や出荷停止そして社内的には欠品に関する諸問題等々MSもいくらやっても追いつかないのでしょうね。理想論を言っていては回らないのがこの業界の実態なんですよね。これはコロナ禍前でもそうでしたけどね…。MSもMRもお互い相手の立場に立って仕事が出来ると上手くいくんですけどね(^^)
ホルモンさん
コメントありがとうございます!
MSから話を聞いた限りだと、返品云々で揉めたワケではないようですね。
病院側から包装変更を把握していなかった件について指摘され、そのせいでMSとしての面子を潰されたため、私に八つ当たりしてきた…といった感じです。
このMSは感情に任せてガミガミ話すタイプの人でして、そんな人柄のせいなのか同僚のMSからも疎まれているようです。
こういったMSがMRの立場や業務について想像力を働かせることは、残念ながら今後もあり得ないと思われます。
それならば、私は「この人はこういうMSなんだ」と割り切り、MRとして距離を置くだけです。