こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
先日、ある学会でのスポンサードセミナーにて、私が担当している大学病院の教授に60分ほど講演してもらいました。
そして記事のタイトルにある通り、内容的には失敗のセミナーでした。
実は、このセミナーは基本的にコプロしている会社のMRに運営を任せていたので、
私自身は演者を呼ぶ程度の仕事しかしていません。
…で、コプロ会社にセミナー業務を任せ過ぎたことが裏目に出てしまったのです。
では、コプロ会社が全面的に悪いのか?
…と考えると、一概にそうとも言い切れません。
とにかく、何かと多くの教訓を得たセミナーでしたので、自分への戒めも込めて記事にしてみようと思いました。
5分くらいで読めますので、興味がある方は悪い見本だと思って読んでやってください。
どんなセミナーだったのか?
取りあえず便宜上、学会側の呼び方に倣って『スポンサードセミナー』という呼び方でこの記事を書いています。
さて、今回のスポンサードセミナーについて、概要はこんな感じです。
・座長:A大学のA教授
・演者:B大学のB教授
・講演時間:14:00~15:00
・会場:500席ある大会場
・入場者:100名ほど
・飲食物:菓子とお茶のみ
・その他:学会、弊社、コプロ会社による共催セミナーとして実施
MR経験がある方ならお分かりかと思いますが、これは完全に爆死したセミナーです。
このセミナーですが、14:00~15:00の開催ですので、当然ランチョンセミナーではありません。
かといって、イブニングセミナーでもありません。
要は、中途半端な時間帯での開催枠だったということです。
そんな時間帯にも関わらず、
500席もある大会場をセッティングし、
蓋を開けてみれば100人ほどしか来場せず、
大量の菓子とお茶が余ってしまったのです。
多分、軽く200人分くらいは余っていたと思います。
私の上司も憤慨していました。
経費を無駄にした!
コプロ会社に任せたことが間違いだった!
…と。
しかし失敗点ばかりではなく、上手くいった部分もありました。
私が担当しているB教授が、今回の講演を通してそれなりに満足してくれたようです。
よって、演者対策という意味では、そこまで失敗ではありませんでした。
セミナーの時間帯によって来場者数が異なる
学会セミナーでの来場者数は、セミナーを開催する時間帯に左右されます。
一般的には、以下の順に来場者が多いと言われています。
①ランチョンセミナー > ②イブニングセミナー > ③モーニングセミナー
製薬会社の戦略として、学会にて自社医薬品の講演をしてもらうなら、ランチョンセミナーが最も効果的だと言われています。
それはなぜか?
ランチョンセミナーでは弁当が出ます。
そのため、講演テーマには特に興味がなくても、弁当目的で来場する医者もいます。
そのため、ランチョンセミナーでは会場の席が埋まりやすいのです。
そして、一旦会場内に入ってもらえれば、最初は興味がなくても講演を聴く中で考えが変わる医者もいます。
『○○剤って意外と良いかも?』
『演者もああ言っているし、今度○○剤を使ってみようかな?』
来場した医者がこんな風に思ってくれれば、医薬品の売上アップに繋がります。
よって、ランチョンセミナーは製薬会社にとって一番の狙い目なのです。
逆に、モーニングセミナーは来場者が少ないことが多いです。
一応、モーニングセミナーでも朝食的な軽食を用意します。
しかし、医者を来場させる効果としてはイマイチです。
まず、早起してまで学会セミナーに参加する医者が少ないということ。
次に、ホテルなどで朝食を済ます医者が多いということ。
こういった事情があるため、余程勉強熱心な医者でなければ、モーニングセミナーには来てくれないのです。
14:00~15:00のセミナー開催枠はどうなのか?
では、今回のセミナーについて検証してみましょう。
14:00開始ということは、時間帯的にはランチョンセミナーの後です。
よって、学会に参加している医師陣にとっては、腹が膨れている時間帯です。
そんな時間帯に、菓子やお茶を目当てに来場する医者は少数派です。
つまり、この場合は医者が来場するかどうかは講演テーマに左右されます。
そして、私が担当しているB大学のB教授の講演テーマは、
どちらかというとニッチなテーマでした。
少なくとも、万人受けするような講演テーマではありませんでした。
この時点で来場者が多くないことは予想できたはずなのですが、コプロ会社側はなぜか大量の菓子とお茶を用意することに拘っていました。
…で、ここまでお伝えした通り大量の菓子&お茶が余る結果になってしまったワケです。
そもそも、こういった中途半端な時間帯のセミナー枠は、
悪い言い方をすると、製薬会社的には貧乏クジです。
理由は来場者が少なく、医薬品の宣伝という意味では費用対効果が乏しいからです。
こういった中途半端な時間帯のセミナーだと、もしスポンサー依頼をされても敢えて辞退する製薬会社が多いです。
中途半端な時間帯のセミナーなら請け負うべきではなかった?
このセミナーの発端は、コプロ会社が学会側からスポンサー依頼を受けたのが始まりです。
私も又聞した話なので詳しいことは分かりませんが、学会の当番幹事から頼み込まれたようですね。
セミナー開催が持ち上がったときの流れをまとめると、大体こんな感じです。
①14:00~15:00という中途半端な時間帯のセミナー枠が空いている
②中途半端な時間帯のため、どこの製薬会社もスポンサーになってくれない
(※製薬会社にとってメリットが乏しいため)
③セミナー枠が埋まらなくて当番幹事の先生が困り果てる
④当番幹事がコプロ会社に『セミナーのスポンサーになってくれ!』と打診する
⑤コプロ会社が承諾する
⑥コプロ会社から弊社に共催依頼が来る
③~⑤辺りの仕事は、担当MRにとっては少々面倒くさい仕事です。
当番幹事は大学病院の医局長クラスに多いみたいですが、担当MRとして医局長の頼みを無碍にすることは難しいものです。
断れば多かれ少なかれ、角が立ちます。
私自身も、稀にですが趣意書などを通して学会セミナーのスポンサー依頼をされます。
その際には一応会社に持ち帰って検討するのですが、経費的な理由により、結局は断ってばかりです。
そうなると、やっぱり担当MRとしては気まずいものです。
話を戻しますが、今回の場合だと、コプロ会社が当番幹事の頼みを断り切れなかったみたいですね。
14:00~15:00の開催枠は製薬会社にとっては貧乏クジ的な存在ですが、
コプロ会社的には、それでも依頼を受けざるを得ない状況だったようですね。
しかも、何らかの事情で500席ある大会場を使うハメになったようです。
演者のB教授に関しても、実は学会側からの意向によって決まりました。
そう考えると、当番幹事の先生から無茶振りされたのかな?
…という気もします。
ちなみに、私の上司はコプロ会社から共催依頼が来たときに、最初は反対したそうです。
『費用対効果が乏しいセミナーに金は出したくありません!』
『人員も割きたくありません!』
…みたいなことを主張したようです。
しかし、結局は『大人の事情』により共催することになってしまったのとのこと。
ただ、最初にコプロ会社に依頼があった手前、弊社はあくまでサポートに徹し、
セミナー関係の業務は基本的にコプロ会社に一任することで話が落ち着いたようです。
セミナー関係の業務とは、具体的には会場運営だとか、菓子&お茶などの用意などですね。
結果的には、それが裏目に出てしましましたが…。
この話を上司から聞いて、コプロって難しいなぁと思いました。
まとめ:明日は我が身と思って教訓にします!
私は学会のセミナー依頼については断ってばかりです。
しかしこの先、MRとしてキャリアを積むなら、今回のような学会との共催セミナーを企画&実施するときが必ず来るでしょう。
そう考えると、あまり他人事だとも思えない出来事でした。
セミナーを開催する時間帯はどうする?
会場はどこを選ぶか?
弁当(菓子)はどのくらい用意する?
演者は誰にする?
講演テーマはどうか?
1つ1つの歯車が噛み合わないと、学会での共催セミナーは成功しないことが今回の一件でよく分かりました。
この教訓を忘れずに、MRのキャリアを歩んでいきたいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
コメント投稿はこちら