こんにちは、医薬品卸でMS(営業)として働いていたヒサシです。
皆さんは医薬品卸の“配送職“ってご存じですか?
簡単に言うと“ルート配送“の仕事であり、病院・開業医・調剤薬局などに医薬品を届けている人たちのことです。
もっとザックリと言うと、薬を運ぶドライバーさんですね。
ただし、ドライバーとは言っても、トラックのような大型車を運転する必要はありません。
運転するのはボンゴやハイエースといった、少し大きめの普通車です。
そのため、ごく普通の運転免許さえ持っていれば、誰でも応募することができます。
よほど人間的に問題のある人でなければ、雇ってもらえる可能性は十分にあります!
私が医薬品卸にてMS(営業)として勤めていた頃、配送職の人たちには何度もお世話になったものです。
さて、医薬品卸は物流を生業としている会社です。
そのため、実際に医薬品を届けている配送職とは、卸の社内では超重要なポジションの職種です。
そして、医療機関側にとっては毎日のように薬を届けてくれる人々なわけですから、ある意味ではMS(営業)以上に身近な存在でもあります。
ルート配送の仕事ですから、取引先にも顔と名前を覚えてもらいやすいのです!
意外と思うかも知れませんが、配送職の仕事振りが素晴らしいとの理由で、その医薬品卸に発注を増やす医療機関もあるくらいです。
その一方で、配送職の不手際によって発注を減らす医療機関もあります。
そこで、今回は意外と知られていない『医薬品卸の配送職』というテーマについて、MS時代の経験を踏まえて記事を書いてみました。
この記事では、配送職の仕事内容・待遇・休みやすさ・将来性など、求人票には載っていない“裏事情“まで細かく解説しています。
これから配送職への就職・転職を考えている人は、是非とも参考にしてみてください!
医薬品卸の配送職は8割以上が非正規雇用
医薬品卸で働いている配送職の人たちの中では、正規雇用・非正規雇用のどちらが多いのか?
私自身の経験に基づいて、誤解を恐れずに真実を言います。
医薬品卸の会社によって多少は異なりますが、実際に配送職として働いている人たちのうち、8割以上は非正規雇用(パート社員・派遣社員など)です。
なぜかと言うと、医薬品卸は安価で雇える労働者を求めているからです。
それ以外の理由としては、時短(1日に4時間~5時間くらい)の勤務を望む人も配送さんも多いことから、彼らのことを正社員としては雇いにくいという側面もあります。
私の経験上、家庭がある女性は時短勤務していることが多かったですよ!
一応、フルタイムで働いている正社員の配送さんもゼロではないのですが、かなり少数です。
むしろ正社員の配送さんは、まず初めは非正規で働き、社内での評価が高くなったので正規雇用になるパターンが多いですね。
その他には、たまにですが転職サイトにて正規雇用の配送スタッフについて、募集の求人が出ることもあります。
求人自体は【リクナビNEXT】または【doda】が扱っています。
特にdodaに関しては、医薬品卸に限らず他業種でのドライバー募集の求人もたくさん扱っています。
もし非正規雇用ではなく、正規雇用を狙うのなら、上記の2サイトには登録しておいた方が良いかもしれません。
どちらのサイトも求職者は無料で利用できるので、かなりオススメです。
(※dodaの場合だと、専属の転職エージェントがお世話してくれます!)
配送職は縁の下の力持ち的な存在である!
突然ですが、皆さんは『医療機関が医薬品卸に求めているもの』について考えたことがあるでしょうか?
これは業界内では永遠のテーマとも呼ばれておりまして、各医薬卸が日々そのテーマについて答えを模索しています。
病院や調剤薬局といった医療機関は、医薬品卸に対して何を望んでいるのか?
こういった問い掛けをすると殆どの人から、
医療機関からしたら、薬を安く売ってくれる業者を求めているんじゃないの?
…といった答えが返ってきます。
これはこれで1つの正解ではあるのですが、意外なことに『安さ』をそれほど重視しない医療機関もあります。
つまり、全ての医療機関が価格至上主義というワケではないのです。
“安かろう 悪かろう“という言葉もありますからね!
では、薬の安さ以外ではどういったニーズがあるのか?
その答えの1つとして『定時配送』があります。
ザックリ言うと、決まった場所、決まった時間に、確実に薬を届けることです。
例えばですが、皆さんだってクロネコヤマトや佐川急便に時間指定での配達を頼んで、その時間通りに荷物が届かなかったら嫌ですよね?
医療機関も同じで、要するに『定時配送』をしてくれない医薬品卸は論外なのです。
この『定時配送』を実現するためには、MS(営業職)だけではなく、配送職の努力が欠かせません。
決まったルートを正確に走り、荷降ろしや納品を素早く済ませ、次の取引先に向かう。
決して華やかさはありませんが、医薬品卸の根幹を支える仕事であることは間違いありません。
いわゆる『縁の下の力持ち』的な仕事ですね。
医療機関が医薬品卸に『安さ』を求める場合、そのニーズに応えるのはMSの仕事です。
その一方で、もし『定時配送』というニーズがあるのなら、それに応えるのは配送職の仕事です。
そんな配送職の仕事内容や待遇などについて、より詳しく解説していきます。
① 仕事内容
この記事の冒頭で書いた通り、配送職はひたすら薬の配送を行います。
医薬品とは100錠1箱の小さな飲み薬から、1箱10kgくらいの重さがある輸液まで、本当に様々な種類があります。
それらの医薬品を車に積み、運転して医療機関へと向かい、荷降ろしをして、病院・開業医・調剤薬局へと納品するのです。
そして、最後に相手方から伝票にハンコをもらうことで、その医療機関への配送は終了します。
医薬品を届ける順番についてはA病院の次はB薬局、その次はC病院へ…
…と言った具合に、最初から走るルートは決められていることが多いです。
一応、場合によっては配送職の裁量で多少のルート変更はできます。
ただし、あくまで『定時配送』が配送職の仕事ですから、大幅に配送ルートから外れることは許されません。
従いまして、良くも悪くも、配送職は毎日同じことを繰り返すのが仕事であるとも言えます。
実際に配送を行っているスタッフさんからは賛否両論ですね!
付け加えると、配送職の人たちは輸液を大量に運ぶこともあるので、体力勝負的な部分もあります。
輸液というのは、要するに患者さんに点滴するときに使われる薬のことです。
そのような薬が段ボール箱の中にたくさん入っているというイメージですね。
このような段ボールが、1箱あたり10kgくらいの重さなんですよね。
私自身も医薬品卸に勤めていた頃に何度も経験しましたが、輸液を何十箱も運ぶのは結構キツいですよ。(汗)
よく配送職の求人票に書いてあるような、
『薬を運ぶだけの軽作業です!』
『女性にとっても簡単なお仕事です!』
…という言葉は、ハッキリ言って“嘘“です。(汗)
女性に運べないほどの重さではないのですが、だからといって凄く軽いというワケでもありません。
もし配送職として働くのなら、男女問わず、重い段ボール箱を運ぶくらいの気持ちでいた方が良いです。
ちなみにですが、運転が好き、または得意な人ほど配送職として長く勤めている印象があります。
医薬品を運ぶ以上、交通事故に遭ったら配送が遅れてしまいますからね。
運転スキルに優れている人ほど、事故に遭いにくいとして社内では重宝されるというワケです。
その他のメリットとしては、車の中では基本的に1人なので、配送職としては面倒くさい人間関係に悩まなくても良いという点が魅力的なんだとか。
実際に配送職として働いている人たちの中には”この仕事は気楽なので助かる“と言っている人も結構います!
② 給料
ぶっちゃけた話、配送職の給料は安いです。
少なくとも、同じ医薬品卸会社で働いているMS(営業)よりは安いです。
給料の高い・安いについて、こればかりは個人ごとの主観によるので一概には言えないのですが…
私が医薬品卸で働いていた頃、配送職(非正規雇用)の人から『給料面で満足している』という話を聞いたことはありません。
ちなみにですが、私がMSとして勤めていた医薬品卸の配送職(非正規雇用)は、8時間労働で手取り14~16万前後だったそうです。
当時、仲が良かった配送職の人から教えてもらいました!
ただし、ここでお伝えした給料は地域によってかなり違ってきます。
私がMS時代に勤めていた地域は田舎だったせいか、配送職の時給も安かったです。
しかし、首都圏だと非正規雇用であっても手取りで20万近くまで届く医薬品卸もあります。
あるいは正社員の配送職ともなると、田舎でも手取りで25万くらいを狙える場合もありますね。
…とはいえ、やはり医薬品卸の配送職は“高給取り“とは呼べないのが実情です。
まとめると、高い給料を最優先で求める人にとっては、医薬品卸の配送職(特に非正規雇用)はちょっとオススメしにくいです。(汗)
ある程度の年収が欲しくて、なおかつ医薬品卸で働くことに拘るのなら、チャンスは少ないですけど正社員としての配送職を目指すのが近道かもしれません。
③ 休みやすさ
これは営業所の人員や方針によって大きく左右されます。
MS(営業職)が配送を手伝ってくれるような営業所なら比較的休みは取りやすいです。
しかし、MSが配送を手伝わない方針の営業所では、配送職が自由に休むことは難しいと思います。
それはなぜか?
配送職が休んだら、医療機関に薬を届ける人が誰もいないからです。
そういった営業所に所属しているMSは、配送職が休むとブーブー文句を言います。
配送職の代わりに、仕方なくMSが配送に駆り出されるからです。
これは、私の先輩MSが実際に言っていたことです。
営業所によってはこんな気性の荒いMSもいますので、休む際には注意が必要です。
繰り返しになりますが、配送職の休みやすさは営業所次第なので、何とも言えない部分でもあります。
家庭重視の主婦(主夫)が配送職として働く場合は、特に気を付けた方が良いでしょう。
④ 職場での人間関係
配送職は色々な人たちと関わりながら仕事をしています。
医療機関への配送(訪問)に関してはMSと、
医薬品卸の積込や梱包などについては倉庫係と、
時間指定の配送に関しては受注オペレーターと、それぞれ連携する必要があります。
ですから、配送職はただ配送すれば良いわけではなく、他部署とのコミュニケーションもある程度は必要です。
周りが人間的にまとも人ばかりなら問題ありませんが…
私の経験上、医薬品卸の営業所によっては“悪い意味で癖がある人間“がいます。
先ほどの”休みやすさ”の項目で触れた気性が荒いMSが最たる例です!
配送職はそういった人間とも上手くやっていく必要があります。
それ以外だと、倉庫係の人間にも要注意です。
医薬品卸の倉庫係にはMSから左遷されてきた人間が一定数います。
彼らは人間性が破綻していることが多々あるので、仕事上で付き合うのは大変だったりします。
医薬品卸の倉庫は『MSの墓場』である…という意見について検証してみた。
その他には、取引先に薬を納品する際、明るく元気に挨拶するなどの行為も必要です。
ですから、コミュニケーションが得意であるほど配送職として上手く立ち回ることができるでしょう。
⑤ 将来性
医薬品卸の配送職は安泰とまでは言えないものの、需要は確実にあります。
もし今後、配送職が消える日が来るとしたら、それは医薬品卸そのものが完全に消滅するときです。
現在では【MSの人数こそ右肩下がり】ですが…
極端な話、医薬品卸はMSがいなくても成り立ちます。
医療機関が真に求めているのはMS(営業)ではなく、定時配送をしてくれる人間なのです。
つまり、将来性という意味ではMSの方がよっぽど危ういです。
その一方で、医療機関に薬を物理的に届けるという関係上、配送を行う人間は必ず必要です。
医薬品卸各社が配送職を雇い続けるかどうかはさて置き、配送職という職業自体がすぐに絶滅するとは考えにくいです。
医薬品卸の配送職は華やかでもなければ、待遇が凄く良いわけでもありません。
(※この辺りは正規雇用・非正規雇用との間でもかなり変わってきますが。)
しかし、誰かがやらなければ医療機関が困ってしまう類の仕事でもあります。
そういった意味では、社会から熱烈に必要とされている職業であるとの見方もできます。
まとめ:医薬品卸の配送職は体力勝負だが、向いている人にはトコトン向いている!
私が医薬品卸のMS(営業職)として働いていたのは5年間ほどです。
その5年間で、配送職の人たちが幾度となく辞めていきました。
配送職の人が辞める主な理由は『給料』と『人間関係』の2つです。
給料が安いから辞める。
人間関係が辛いから辞める。
この辺りは別の職業と何ら変わりません。
その一方で、仕事内容が理由で辞める人は少ない印象です。
元MSの私から見ると『配送職は力仕事が多くて大変だなぁ…』と思うのですが、配送職本人は『適度に体を動かすので健康的だ』くらいの感覚でいる人もいます。
ただし!!!
非正規雇用の配送職の人たちは皆、口を揃えて『長く続けるような仕事ではない』とも言います。
医薬品卸の配送職は、間違いなく社会的意義のある仕事です。
しかし、待遇面を考えると、人生を懸けて打ち込むような仕事ではないということですね。
正規雇用ならともかく、非正規雇用では仕事に対するモチベーションを維持できないということですね(汗)
ここまでお伝えしてきた通り、医薬品の配送には力仕事も含まれています。
このことから、40代~50代の人が長く勤めるには体力的にキツいという事情もあります。
だからといって、医薬品卸の配送職は決して悪いことばかりではないんですよね。
例えばですが、期間限定で働きたい人。
他には、取りあえず食いつなぎたい人。
このような人たちにとっては、ある意味では適職なのかもしれません。
人間的な問題もなく、普通の運転免許証さえ持っていれば、誰でもチャレンジできる仕事であることも事実です。
なおかつ、待遇は正規雇用・非正規雇用とでかなり変わってきます。
正規雇用の求人はかなり稀ですが、転職サイトを活用すればチャンスはあります。
医薬品卸の配送職として正社員を目指すなら、上記のサービスを試してみても良いかもしれません。
以上、元MSとしての配送職に対する意見でした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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