こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
今回は2019年の1月に、とある病院の看護師さんからクレームを叩きつけられた話をしたいと思います。
まず初めにお伝えしたいのは、これは『広域担当MRあるある』の1つです。
端的に言えば、MRとしてのマンパワー不足が招いたクレームでございます。(汗)
…とは言いつつも、私自身の精神的な甘さがクレームを招いてしまったという側面もあります。
そのため、こうして反省も兼ねてブログ内で記事化してみました。
MRにとっての『薬』とは、医師を納得させ、採用させ、使ってもらえば良いわけではない。
薬とは、ただ単純に『売れれば良い』という類のものではない。
現役MRとして、そのような教訓を得た事例です。
希少がんに使う薬剤が採用になった!しかし…
これは、私が担当しているエリアの端にある病院にて起こった出来事です。
…というワケで、クレームに病院や薬剤のことについて簡単に書かせて頂きます。
・診療科:腫瘍内科
・対象患者:1名
ご覧のように400床ほどの病院なのですが、田舎の病院としてはかなり大きめな病院です。
今回のクレーム案件から1年半ほど前、私はこの病院に、自社医薬品の対象となる患者が1名だけいることを知りました。
そんなこんなで、MRとしてコツコツと活動してきた先です。
おいおい、たった1例に使ってもらうために1年半もかかったのかよ?
…と、言いたい方もいるでしょう。
実は、その患者さんは前治療薬の副作用でかなりキツかったそうでして…
そんな経緯もありまして、主治医の先生は副作用改善のための措置を最優先で行い、本来の疾患治療は後回しにするしかしかなかったのです。
そして、今回のクレーム発生から3ヶ月ほど前、いよいよ弊社の抗がん剤投与が始まりました。
要するに、自社製品が新規採用されたワケです。
1年半の努力が報われて、MRとして感無量でした!
さてさて、病院担当のMRであれば知っての通り、MRとしてやるべき仕事が沢山ありますよね。
新規採用のタイミングであれば尚更です。
ご多分に漏れず、私自身もこの時期はMRとしての活動をメチャクチャ頑張ったんですよよ。
当然ながら、タイミングで主治医の先生、化学療法室の薬剤師、各方面での面談も重ね重ね行いました。
インタビューフォームや添付文書の記載内容について、事細かに説明して。
他剤との併用については、文献ベースで情報提供を行って。
症例ベースの話し込みをする過程で、患者さんにとって無理のない投与方法を提案して。
そして、他病院の投与状況を参考にして、投与レジメンを複数パターン登録してもらって。
冗談抜きで、私はこんな風に本気で思っていました。
しかし、後述するように看護師さんへの情報提供については、忙しさを理由に怠っていました。
そのようなMRとしての甘さが引き金となり、私が知らないところで暗雲が立ち込めていたのです。
化学療法室の看護師さんから情報提供を希望された⇒クレーム発生!!
ある日、化学療法室の看護師さんから、私の会社に『担当のMRから連絡がほしい』と電話が入りました。
(※今後はこの看護師さんを『Oさん』と書かせて頂きます。)
…で、電話を折り返したら『おたくの抗がん剤のことで情報提供に来てほしい』とのこと。
ですが、これは完全に言い訳なんですけど、私は看護師さんに面会するための時間が中々取れなかったんですよね。
どうしてもスケジュールの調整が難しくて。(汗)
そんなこんなで、初めの電話から数日経った辺りで、でようやくOさんのもとを訪問しました。
そして、挨拶しながら名刺を渡したところで、第一声がまさかのクレーム。
それはもう、刺々しい口調で詰問されました。
これは中々、手厳しい指摘です。
しかも、捲し立てるように喋る喋る。
私のMR人生の中でも、ここまで看護師さんから責められたのは、この時が初めてでした。
…で、あまりにも一方的なもんだから、私も段々と釈然としない気持ちになってきまして。
社会人として、その物言いはどうなの?
…なんてことを内心では思ったりしました。
これら一連のクレーム内容を要約すると、Oさん曰くですが『抗がん剤を扱っているMRなら看護師にも情報提供をするのが当たり前でしょ?』『電話してからようやく来るなんて、それでもMRなの?』とのことです。
それはまあ、確かに仰る通りです。
ぶっちゃけた話、Oさんの態度には腹が立ちました。
ですが、Oさんが言っていること自体は正論なのです。
それはもう、反論の余地なんて無いくらいに…です。
よって、私は頭を下げ、Oさんに謝罪する他ありませんでした。
MRは看護師を蔑ろにしてはいけない!
MRとしての甘さが招いた、看護師さんへの情報不行き届き。
そこに起因するクレーム発生。
これはもう、私の反省すべき点です。
私は主治医の先生、及び、化学療法室の薬剤師さんにしか薬剤の説明をしていませんでした。
しかし、それだけでは不十分だったということです。
MRとは、自社の薬剤を正しく使ってもらうために存在しています。
そのことを今回のクレームを受けて思い出しました。
そもそも『薬を正しく使ってもらう』とはどういうことか?
MRによって、この辺りの考え方は様々かと思いますが…
私個人としては『薬の有効性を最大限引き出し、副作用を最小限に抑える』ような使い方が『正しい使い方』だと考えています。
患者に抗がん剤を投与する際、医師だけが関わるわけではない。
抗がん剤を調製するのは、薬剤師である。
そして、調製された抗がん剤を点滴投与するのは、看護師である。
そして抗がん剤を投与する際、色々なリスクを看護師はケアしなければならない。
暴露だとか、血管外漏出だとか、その他諸々。
今回のクレームは、看護師は看護師で患者のためにリスクを最小化しようとしているが故のクレームだったのだと思います。
当然のことですが、看護師も患者に接する医療従事者の一員です。
MRが彼らを蔑ろにして良いはずが無い。
そのことを悟った一幕でした。
筆者は看護師に情報提供活動を行うだけの余裕がなかった
少々言い訳がましくなりますが…
先述のOさんを含む化学療法室の面々を訪問しなかった、いや、訪問できなかったのは理由があります。
主な理由は以下の3点です。
②担当エリアの端にある病院なので足が遠のいていた。
③医師と薬剤師に褒められて有頂天になっていた。
細かい理由は他にもあるのですが、ザックリまとめると大体こんなところです。
①の講演会については、MRの方なら皆さん分かると思いますが、座長や演者への対応や準備だったりで大変です。
特に、自分が主幹となる講演会は、その時が初めてだったんですよ。
当時、まだまだキャリアが浅いMRである私にとっては中々の試練だったワケです。
そして厄介なのが、②にあるように本件の病院が遠方であったことです。
自分は広域担当MRであり、移動距離、移動時間が半端じゃない。
しかも、先述した講演会を開催する地域からも離れていたワケで。
そのような関係上、新規採用のタイミングでは、主治医や薬剤師の先生にアポイントをもらって訪問するだけで精一杯でした。
物理的に、どうやっても訪問できない状況だったのです…(汗)
そして、メンタル面での反省点が③です。
正直言って、これは自分自身の傲りだったと思っています。
新規採用、新規投与が決まっていたが故に、気が緩んでいたのです。
極端なことを言えば、後は放っておいても患者に投薬されることが決まっている状況でしたからね。
講演会のことで頭が一杯だったのは事実ですが、その一方で自惚れて目が曇っていたことも事実です。
そう、自分自身の“甘さ”が今回のクレームを招いてしまったのです。
一流のMR、特に一流のオンコロジーMRは、看護師に対してもしっかりと情報提供をしていることでしょう。
そういった意味では、自分がMRとして行っていた活動は“甘い”と言わざるを得ない。
まさに、反省すべき点です。
最後に:クレームが正論なら、それを教訓とすれば良い!
何だかんだ言って、クレーム対応は嫌な仕事です。
少なくとも、気分が良くなる類の仕事ではありません。
その証拠に、クレーム対応を嬉々として行っているMRなんて、私は見たことがありません。
その一方で、MRのように”営業”を生業としている者にとっては、避けては通れない業務でもあります。
かくいう私自身、MRのみならずMSとして働いてきた期間を含めれば、それはもう幾百幾千のクレームに対応してきました。
もうマジで、顧客に対して何度頭を下げて謝ったか分かりません…(汗)
今までの経験上、クレームというのは大半が理不尽なものであり、謝るに値しないと思うことも多々あります。
実際問題として、MRやMSのような出入り業者を虐げることに快感を見出している輩もいますからね。
道理が立たないクレームを叩き付けてくる医療従事者は、決して少なくは無いのです。
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しかし、今回のように自分の甘さが招いたクレームであれば話は別です。
非が自分にあるのなら、まずは自分の行いについて省みる必要があります。
そういった意味では、今回のクレーム体験は私にとって良い薬になりました。
MRとして情報提供活動を行う以上、看護師さんを蔑ろにしてはいけない。
それが、今回のクレームから得た教訓です。
この教訓を糧にして、MRとしてもっと精進したいものです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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