転勤経験がない医薬品卸のMS(営業職)は今後どうなるのか?

MSの今後

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

先日、MS時代の先輩と話す機会があったのですが、

そのとき、MSの転勤について色々と議論しました。

その先輩MS曰くですが、

『転勤したいけど、会社が転勤させてくれない!』

と嘆いていました。

転勤の良し悪しについては永遠のテーマかと思います。

では、医薬品卸のMS(営業職)に転勤が与える影響とはどれ程のものなのか?

そこで今回は、MSの転勤というテーマで記事を書いてみたいと思います。

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MSの転勤は善か?悪か?


こちらの記事で書いた通り、医薬品卸のMS(営業職)は転勤が少ない職業です。

MRとMSとの違い③【転勤・勤務地編】

むしろ、転勤が少ないどころか、

入社してから一度も転勤したことがないMSも存在します。

(※MSから管理職へと昇進すれば転勤することはあります。)

そして、転勤が少ないことをメリットと考え、MSとして就職する人間もいます。

MSとして転勤が少ないメリットとは、大体こんな感じです。

・『地域に根差した営業マン』として活躍できる

・営業所内で『古株』として存在感を発揮できる

・家を買うなど人生設計を立てやすい

一見、メリットだらけです。

給料や休日といった待遇面を度外視すれば、MSも中々良い職業だと思います。

その一方で、実は転勤しないことによるリスクも存在します。

いやいや、転勤すること自体がリスクでしょ!

転勤して環境が変わるなんてストレスでしかない!

そんな風に思う、あるいは主張する現役MSも結構います。

しかし、そうは思わないMSも存在します。

MSが転勤しないことによる具体的なリスク(デメリット)とは、大体こんな感じです。

・嫌いな担当先から逃げられない

・社内(営業所)の人間関係から逃げられない

・営業職として成長しない

もし会社説明会や転職活動で、医薬品卸側から転勤が少ないメリットだけを強調されたら、一度立ち止まって考えてください。

メリットがあるのは事実ですが、それが100%真実でもありません。

では、転勤の良し悪しについて1つ1つ解説します。

メリット①:『地域に根差した営業マン』として活躍できる

私自身の経験談ですが、その地域での担当歴が長いMSほど強いです。

ここでいう強いとは、営業として優れているというよりは、取引先との関係が深いという意味です。

開業医や調剤薬局において、担当歴が長いMSの存在は大きいです。

下手をすれば、10年や20年も同一の取引先を担当しているようなMSがいるのです。

10年や20年という時間の重みは凄まじいものです。

時間が時間ですから、取引先と半ば家族のような付き合いをしているようなMSまでいる始末です。

そういったMSが担当している施設を切り崩すのは至難の業です。

ライバル卸の新参MSが新規取引をしたくとも、簡単には太刀打ちできないのです。

『ウチは昔から○○卸の△△さん(MSの名前)にお世話になっているからねぇ。』

『薬の売り込みも△△さんに頼まれたら断れないからねぇ。』

『△△さんとは昔からの付き合いだから、新薬は取りあえず○○卸から買うようにしている。』

私自身も未取引先に行く度に、何度もこのようなやり取りをしました。

私は大手の医薬品卸で働いていましたが、田舎においては地場卸の方が『強い』ことが多々あります。

MS時代に私が担当していたエリアは、その最たる例でした。

10年や20年も担当しているオジサンMSがゴロゴロいるのです。

そして、そういったオジサンMSほど老獪であり、

取引先との関係性を武器にして上手く商売をしている。

地場卸側、つまり担当歴が長いMSからすれば自分たちにとって有利なフィールドが整っている。

まさに、その地域に根差したビジネスを展開しているワケです。

そういった担当歴が長いMSほど、取引先からも、会社からも重宝されます。

担当歴が長いだけに、その地域の歴史に詳しいからです。

Aクリニックの院長とBクリニックの院長は不仲だとか、

C調剤は経営不振に陥ったことがあるだとか、

D病院では医薬品購入については事務長の権限が強いだとか、

その他諸々、色々なことを知っています。

こんな具合に、担当歴が長いMSほど、言い換えれば転勤しないMSほど、その地域では存在感を発揮できるワケです。

メリット②:営業所内で『古株』として存在感を発揮できる

先ほどは転勤しないことによる社外でのメリットを書いたわけですが、社内においてもメリットがあります。

営業所の歴史を知っているということは、間違いなくアドバンテージです。

場合によっては、赴任してきた上司よりも営業所の管轄エリアについて詳しい…なんてこともあります。

余程仕事が出来ないMSでなければ、会議での発言力も強いでしょう。

それ以外にも、

営業所内でAさんとBさんが不仲だとか、

CさんとDさんは昔付き合っていただとか、

営業所内の人間関係を把握した上で上手く立ち回ることも出来ます。

ただし、転勤しないことによる営業所内のリスクもあるので、その点は要注意です。

(※後述します。)

メリット③:家を買うなど人生設計を立てやすい

転勤がないということは、その地域で長年暮らしていくということです。

つまり勤務地に左右されることなく、

結婚、育児、親の介護など、それらのライフイベントを見越した上で人生設計できます。

当然、10年先、20年先を見越して家を買うMSは大勢います。

こんな具合に、人生設計のしやすさという点では間違いなくメリットです。

私の先輩MSの話ですが、新卒で入社してから一度も転勤もなく、30代前半くらいで住宅購入した人もいます。

…と言うより、私がいた営業所では、

一度も転勤せずに働いているMSの方が明らかに多かったです。

子供が生まれたらこの保育園に預けて、

小学校はここで、

中学校はここで、

高校受験は…

…なんて具体に、先輩MS達は結構具体的な育児プランを持っているようでした。

これも、転勤がないからこそのメリットですね。

リスク①:嫌いな担当先から逃げられない

さて、ここからは転勤がないことによるマイナス面の話です。

MSに限らず営業職の経験がある方は重々承知かと思いますが、

嫌な顧客・横暴な顧客・ムカつく顧客というのはどこにでもいます。

MRが寄り付かない医者(開業医)との面会…こんな変人は見たことがない!

程度の差はありますが、自分にとって嫌な担当先は必ず存在するものです。

では運悪く、とんでもなく厄介な顧客を長年担当することになったらどうでしょうか?

例えば、

金払いが悪い債権不安先の開業医だとか、

MSを小間使いのように扱う横柄な調剤薬局だとか、

急配ばかり頼んでくる病院だとか、

私自身が経験しただけでも厄介な顧客を数えたらキリがありません。

そんな医療機関と、あと10年や20年も付き合い続けるなんてゾッとしませんか?

少なくとも、私は無理でした。

転勤でも何でも良いから、厄介な医療機関とは距離を置きたい。

そんなことを何度も考えました。

もし転勤すれば、そういった嫌な顧客、言い換えれば自分と相性が悪い顧客から離れることができます。

しかし、MS(卸)という職業の特性を考えると、中々転勤させられることはない。

転勤しないことによって、MSは嫌な顧客と、嫌でも付き合い続けなければならない。

これは間違いなく辛いです。

リスク②:社内(営業所)の人間関係から逃げられない

先ほどは社外の顧客関係について書きましたが、今度は社内おけるマイナス面です。

むしろ、こちらの方が深刻度は上かも知れません。

いくら取引先との関係が良好でも、営業所内の人間関係が酷かったとしたら?

医薬品卸の営業所には、良くも悪くも色々な人間がいます。

その営業所に『良い人』が長く勤めている分には問題ありません。

ですが、『悪い人』が長く勤めている営業所はどうでしょうか?

『悪い人』の具体例としては、

1.横柄なパワハラ所長(上司)

2.『指導』と称して後輩を虐めるオジサンMS(先輩)

3.ヒステリーを起こしてばかりのお局の事務員

4.コミュニケーション障害気味の倉庫係

こんな人たちと同じ営業所で、

10年も20年も一緒に過ごしていくとしらゾッとしませんか?

上司に関しては異動で入れ替わる可能性はあります。

しかし、2~4に人々に限っては、中々転勤しないものです。

要は人間関係に左右されるのです。

良い人ばかりの職場なら、転勤しないことは間違いなくメリットです。

逆に、嫌いな人ばかりの職場なら、転勤しないこと自体がデメリットです。

リスク③:営業職として成長しない

転勤して様々なエリア・取引先を担当することでMS(営業)は成長します。

(※これはMRについても当てはまります。)

逆に、1つのエリアでしか経験がないMSは営業職としての知見に乏しく、成長しません。

少し話は変わりますが、私がMSだった頃、MS歴10年の先輩がこう言っていました。

『今のエリアを担当して10年経つけど、ここ数年間、自分の成長を実感できない。』

『今はこのエリアで売れているけど、他のエリアで同じように売れるだろうか?』

『他のエリアで今の自分が通用するかと考えると、正直、自信がない。』

ちなみに、この先輩MSは新卒で医薬品卸に入社し、10年間同じエリアを担当していた人です。

売上的にも常に好調な人で、社内の評価も高い人でした。

しかし、その先輩MSは転勤経験が無いことから、

仕事的にも精神的にもマンネリ状態に陥っている節がありました。

マンネリ状態とは、悪く言えばMS(営業)として成長しない状態です。

あくまで1例ですが、こんな先輩MSもいました。

それに私自身も、MSとして4~5年目の頃はマンネリ状態になっていました。

毎日同じエリアで同じようなことの繰り返しばかりなので、ルーチンが固定されてしまうんですよね。

簡単に言えば、仕事に飽きるということです。

もし転勤してエリアが変われば、MSの仕事は大きく変わります。

自社のシェアは高いエリアか?

開業医メインのエリアか?

病院メインのエリアか?

これらの要素はMSの仕事内容に大きく関わります。

MSの仕事はルーチンワークが多いですが、もし転勤すれば、そのルーチンが大きく変わることもあります。

同一エリアでの担当歴が長いMSほど、

『自分流』の仕事が身に付いていて、それを変えられなかったりするものです。

だから環境の変化を恐れて、今のエリアにしがみつこうとするMSもいたりします。

しかし、慣れた環境に留まってばかりの人間が成長できるでしょうか?

成長できないワケではないだろうけど、結構難しいのではないでしょうか?

こんな具合に、転勤しないことによってMS(営業)として成長できないことは十分考えられます。

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まとめ:転勤の良し悪しはMSによって考えが異なる


今日はMSの転勤について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

私自身は『転勤して新しい環境で成長しようぜ!』派の人間です。

しかし、『転勤せずに今の環境に留まりたい!』派の考えも理解できます。

ちなみに、この記事の冒頭で書いたMS時代の先輩は、

『転勤して別の環境でチャレンジしたいけど、会社が転勤させてくれない!』

…と、嘆いている派の人です。

(※転勤リスクの項目で書いたMS歴10年のMSとはまた別の先輩です。)

今回、この先輩MSと議論することで、転勤の良し悪しについて改めて考えさせられました。

ぶっちゃけた話、正解はないテーマだと思います。

転勤の良し悪しは個人の考えによって分かれるからです。

ただ1つだけ確実なことは、転勤経験がないMSほど淘汰されていく可能性が高いです。

MSとして様々なエリアで経験を積み、様々な取引先に対応できるMSの方が営業として優れていることが多いです。

逆に、転勤経験がなくマンネリ状態に陥っているMSは危険な時代なのかも知れません。

度重なる薬価改定などにより、医薬品卸も安泰とは言えない状況です。

こんなときだからこそ、転勤が無いことによる自分の社内価値・転職市場価値を見直す必要があります。

私自身もそうでしたが、世間一般における自分の『市場価値』を知りたければ、

試しに転職サイトに登録してみてはどうでしょうか?

自分自身のことを客観的に見つめ直すことができます。

今後も機会があれば、『MSの転勤』というテーマで記事を書いてみようと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


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