こんにちは、元MSのヒサシです。
ここ最近、MRとして私が担当しているエリアにおいて“女性MSが次々と辞めていく”という現象が起きています。
特に、入社して2年目~3年目くらいの若い女性MSに多いです。
私は病専MRという立場上、20代の若手女性MS(主にGP担当)と絡む機会は多くないのですが…
ある日、ある卸の営業所に行ってみたら、いつの間にか女性MSが辞めていた。
…なんてことも珍しくありません。
仲が良い中堅MSに訊いて初めて、女性MSが辞めたという事実を知るパターンも多いです!(汗)
一体なぜ、女性MSは若いうちから辞めてしまうのか?
若いからこそ、第二新卒の枠を狙って転職しているのか?
あるいは、ただ単にMSの仕事に嫌気が差してしまったのか?
はたまた、他の要因があるのか?
…というワケで、私自身がMR&MSとして今まで見聞きしてきた内容を踏まえて、女性MSの離職が相次いでいる理由について考察してみました。
私個人としては、女性MSが辞めていく背景には、医薬品卸が“男社会であること”が大きく関わっていると考えています。
あくまで私見ですけど、あながち的外れな内容でもないと思っています。
女性MSの離職について興味がある方は、是非ともご一読ください!
女性MSが辞めていく理由とは?
私自身は27歳の頃にMSを辞め、MRとしてのキャリアをスタートさせました。
その経験上、MSを辞めたいと思うこと自体は、ぶっちゃけ無理もないことだと思っています。
給料は高くないし、休日出勤も多い。
仕事内容も理不尽なものが多い。
タチの悪い顧客はいるし、社内の人間関係だって心地いいとは限らない。
よって、MSを辞める女性たちの気持ちに関して、ある程度は理解しているつもりです。
元MSの本音!医薬品卸のMSを辞めたいと思った理由について語る!
しかし、女性MSの離職については、私がMSを辞めた時ほど単純な話でもないも思っています。
私が見た限りだと、給料や休日出勤が気に食わなくて辞めている…というワケでもなさそうです。
では、女性MSたちは何が原因で『退職』という道を選んでいるのか?
元MSとして、そして現役MRとして、彼女たちを見てきた経験を振り返ってみて、思い浮かんだ要因がこちらです。
② 真面目さが仇になっている
③ 体力的にキツい
④ 精神的に消耗する
どれもこれも、女性MSが『女性』であるが故に引き起こされている。
とりわけ、①や②は20代の若い女性にとっては堪えているのかと。
私個人としては、そのような節があるように思えてなりません。
それでは、これらを1つ1つ掘り下げていきます。
① 先輩MSの中に女性がいない
私の担当エリアにおいて、1つの営業所に女性MSは1名のみというパターンが多いです。
これは広域卸・地場卸を問わずです。
首都圏の大きな営業所ならば女性MSが複数いるケースも珍しくないのですが、こと地方(田舎)においてはそんな感じです。
これって、当事者である女性MSには結構キツいと思います。
なぜかと言うと、身近に“同性の先輩”がいないからです。
仕事で困った時に、頼れる女性MSの先輩がいる。
ミスで凹んでいる時に、親身になってくれる女性MSの先輩がいる。
もしこういった体制が整っていたら、若い女性MSの離職率って多少は減るのではないでしょうか?
何と言っても、医薬品卸は男社会の典型ですからね。
そんな男の園に放り込まれた女性MSが、たった一人で孤軍奮闘するには限界があります。
とりわけ、新人である頃はMSの仕事なんて意味不明でしょうし。
…と言った具合に、些細なことを質問して、分かりやすく回答してくれる女性の先輩MSがいるか否か。
新人の女性MSからすれば、これはメチャクチャ重要な要素だと思います。
もし営業所内の相談相手が中年世代のオッサンMSしかいなかったら、女性MSの性格次第では、相談すること自体がストレスかもしれませんし。
しかもタチが悪いことに、管理職(課長や支店長)の中には女性MSを毛嫌いするタイプの人間もいます。
男社会であるが故に、医薬品卸には旧態依然とした男性管理職がいるのです!
そのような環境下においては、やはり同性の先輩がいるかどうかが明暗を分けるポイントになり得ると思います。
しかしながら、現実はどうでしょうか?
女性MSは20代のうちから早々に異動または退職していく。
その結果、新たに配属された新人の女性MSもまた、営業所内の人間関係に馴染みにくいという土台が出来上がってしまう。
遂には、“新人”から“中堅”へとレベルアップする前に、その女性MSも営業現場を去ってしまう。
このような負のスパイラルが形成されているように思えてなりません。
② 真面目さが仇になっている
女性MSって、とても真面目な人が多いんですよね。
仕事の大小に関わらず、とにかく真摯に向き合うタイプと言うか。
仕事中に手を抜くとか、サボるとか、そういった行為とは縁遠い人が多い印象があります。
“真面目”を通り越して、もはや“生真面目”の域に達している女性MSもいます!
しかしながら、MSの業務において“真面目さ”は必ずしも有利には働きません。
なぜかというと、社内・社外を問わず、MSの周囲には“狡賢い人間”が沢山いるからです。
女性MSの真面目さに甘えて、面倒くさい雑用的な業務を押し付けてくる中年MS。
女性MSの真面目を利用して、【急配】【返品】【出荷調整】といった無理難題を突き付けてくる取引先。
特に、後者に関してはマジで容赦がない輩も多いです。
言ってみれば、MSの天敵のような存在なんですよね。
MS時代に体感した“厄介な取引先”の特徴5選!彼らの悪意に振り回されてはダメだ!
MSとして、こういったイカれている人々と距離を置くことは極めて大切です。
少なくとも、MS時代の私は絶対零度の心持ちで、タチの悪い取引先とは距離を置きまくっていました。
しかし、生来の真面目さ故なのか、女性MSは“距離を置く”という選択肢を選ぶのが苦手であるように思えます。
それどころか、“これも仕事だから”と自分に言い聞かせ、精神を削ってでも顧客対応を頑張ろうとする人が多い印象すらあります。
そういった心意気でMSとしての業務に臨むのは、もちろん素晴らしいことです。
まさにMSの鑑だと思いますし、非難されるべき点なんて全く見当たりません。
その反面、残念ながら“真面目さが仇になっている”という側面があるのも間違いないです。
そして何よりヤバいのは、真面目な人ほど精神的に疲弊しやすいという点です。
1日や2日ならともかく、2年も3年もそんな状況を強いられれば、誰だって仕事がイヤになるに決まっています。
その結果、20代の中盤~後半くらいの年代になる頃には、MS(医薬品卸)の仕事に見切りを付け、転職してしまうのではないでしょうか?
MRとしての経験上、今までに関わった女性MSは皆さん“真面目なタイプ”でした。
付け加えると、私がMSだった頃に同期だった女性MSたちもまた、皆揃って真面目な人たちばかりでした。
余談ですが、私自身を含め同期の男性MSは問題児タイプが多かったです(汗)
真面目である事は、確かに社会人としては美徳でしょう。
この現代社会において、称賛されるべき気質であることは間違いありません。
ですが、真面目に働くことが自分自身の幸せに繋がるかと言うと、必ずしもそうではない。
少なくとも、医薬品卸のMSという職業に限っては、真面目な人ほど潰れやすい側面があるのは否めません。
③ 体力的にキツい
元MSとして断言しますが、MSの仕事は体力勝負です。
朝早くの配送業務に始まり、夜遅くまで薬の配達に駆り出される。
MSとして働く上で、こんなことはザラにあります。
そのくせ営業所は19:00~20:00くらいに施錠されてしまいますので、仕方なくPCを持ち帰り、自宅にて内勤するのが半ば定常化しています。
(※上司の目を盗んで、営業所内にて夜遅くまで仕事をしているMSもいますが。)
薬価改定の時期なんて特に悲惨で、連日徹夜で、それこそ何十軒もの見積もりを一気に仕上げる必要があります。
しかも、医薬品卸は販管費削減という名目のもと、残業代の支払いについて渋る傾向がありますし。(汗)
残業代が出るかどうかは、ぶっちゃけ上司の胸先三寸で決まるのです!
残業した際の対価もロクに貰えず、しかも体力的にもしんどい。
仕事に次ぐ仕事で疲れ果て、プライベートを充実させるなんて夢のまた夢。
男性MSですらヒィヒィ言うような環境ですから、女性MSにとっては尚更キツいはずです。
男ガー、女ガー、などと言いたくないですが…
女性が男性よりも体力的に劣る以上、MSとしての業務は女性の方がより一層辛く感じられるでしょう。
そんな仕事を長く続けられるかと言えば、やはり難しいのではないでしょうか?
20代であれば体力も十分にあるので、多少無理しても体力的には大丈夫でしょう。
しかし、体力が衰えてくる30代以降になると、その“無理”が徐々に利かなくなってきます。
アラサー世代以降の女性MSが極端に少ないのは、こういった体力的な事情も関わっているからだと私は思います。
MS時代の同期(女性)は『女性が長く働けるような仕事じゃない』と言っていました(汗)
④ 精神的に消耗する
今までお伝えした①~③は、最終的には女性MSの精神にダメージを与えます。
同性の頼れる先輩がいない。
真面目に働いても、まるで良いことが無い。
頑張ろうにも、体力がもたない。
こんな状況で働き続けていたら、心的負荷が蓄積していく一方です。
人間の心とは繊細なものでして、自分では大丈夫だと思っていても、いつの間にかストレスに蝕まれてしまうという場合も珍しくはありません。
早い話、心が少しずつ死んでいくワケです。
そんな状況で人間が何を考えるかと言ったら、まずは転職です。
これは女性MSに限らずですが、現在の職場に見切りを付けたなら、さっさと行動に移すのが吉です。
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しかし、本当にヤバいのは“転職活動をする気さえも起きない状態”です。
人間、精神的な疲労が限界に達すると、マジで何もやる気が起きなくなります。
このレベルになると鬱病に片足を突っ込んでいるようなものなので、本当に要注意だと思います。
…が、女性MSには真面目な人が多いので、こんな状態になっても頑張ってしまう人が大半なんですよね。
では、その結果どうなるか?
完全に心を病んでしまい、MS(営業)として活動不能になる。
そんなパターンは割と多いと個人的には思っています。
鬱となり、MS(営業)を降ろされ、いつの間にか休職していた。
その後、音沙汰が無いと思ったら、これまたいつの間にか退職していた。
そんな末路を辿った女性MSたちを、私はMS&MRという立場で何人も見てきました。
このことから言えるのは、日々のMS業務は確実に女性MSたちの精神を蝕んでいたんだなぁという事です。
心へのダメージは目に見えない分、周囲の人間からは気付かれにくいという難点があります。
もし元気がない女性MSがいたら、もしかしたらその人は心が壊れかけている状態なのかもしれません。
上司&先輩による精神的ケアがない場合、女性MSは早々に病んでいく傾向があるかも…
最後に:医薬品卸は女性MSに配慮した職場づくりを心掛けるべき
繰り返しになりますけど、医薬品卸は典型的な男社会です。
管理職も、平社員も、明らかに男性の方が多い。
特に管理職については、男性の比率がメチャクチャ高いです。
令和の現在でこそ女性管理職も増えてきましたが、それでも男性が多数派を占めているのは紛れもない事実です。
そんな職場環境の中で、性別の壁に翻弄されながらも、歯を食いしばりながら頑張っている女性MSたち。
多くの場合、彼女たちは“孤独な闘い”を強いられているのではないでしょうか?
この辺りは女性MSが勤めている営業所の状況にもよりますが、彼女たちへの不遇は軽視できないレベルに達している気がします。
とりわけ、精神面でのサポートが十分だとは、私にはとても思えません。
昔ながらの男社会の中で、仕事のイロハも分からずに右往左往する日々。
しかも、気心が知れている同性の先輩はいない。
オマケに、MSの業務は中々の激務です。
平日・土日・年末年始やお盆を問わず、過重労働に駆り出されること待ったナシです。
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これだけの悪条件が揃っていたら、そりゃあ誰だって辞めたくなりますよ。
心身ともに疲労困憊のまま働き続けられるほど、MSの仕事は甘くないですからね。
以上のことから、女性MSの離職が相次ぐのは必然だと言えます。
では、この現状を解決するために、医薬品卸はどうすれば良いのでしょうか?
その答えとしては、やはり女性MSに配慮した職場づくりを心掛けることではないでしょうか。
この“女性への配慮”というのが中々難しい問題でして、先述したように女性MSの存在そのものを煙たがっている管理職(課長や支店長)は一定数います。
女性MSではなく、心身ともにタフな男性MSが部下に欲しい。
セクハラだの、パワハラだの、いちいち騒ぎを起こす女性MSとは関わりたくない。
そのように考えている男性管理職の気持ちも分からなくはないですが、この令和の時代においては、さすがに古臭い考え方だと言わざるを得ません。
むしろ、こういった男性管理職こそが女性MSの離職を促しているとの見方も出来ます。
ある意味、昔ながらの男性管理職は会社を蝕む“ガン細胞”のような存在かも?
女性MSの離職に関して、全ての男性管理職に非があるとは言いません。
ですが、営業所の雰囲気には管理職の意向が大きく影響しているのも事実。
そのような関係上、女性MSの“居心地の良さ”を追求するのも、管理職としての責務なのかなと。
余計なお世話かもですけど、女性MSの心情を上手く汲み取ってくれる男性管理職が、医薬品卸の社内で今後増えていくことを祈るばかりです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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