こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
今回は、私が担当している大学病院の先生(助教)に関するお話です。
(※これ以降、その助教の先生を『Y先生』と表記します。)
Y先生は、MRとは面会しない事で有名な医師です。
私を含め、製薬メーカー各社のMRが面会アポイントを打診したところで、反応は一切ナシ。
秘書さん経由でメールを転送してもらってもダメ。
手紙を郵送してもダメ。
WEB講演会は全く視聴しない。
ある意味、ちょっとした鎖国状態みたいな感じで、MR目線では一筋縄ではいかないような先生ですね。
…が、もしこれが私だけに当てはまるのなら、ただ単にヒサシというMRがY先生に嫌われているだけ…という見方も出来ます。
しかし、現実にはY先生と面会しているMRは見当たらない。
この大学病院を担当しているMR同士の間でも『Y先生ってマジでMRとの面会に応じてくれないよね…』というのが通説でした。
以上のことから、MRにとってY先生は大変手強いタイプの医師であることがお分り頂けると思います。
ところが!!!
つい先日、Y先生が所属している医局対象の説明会にて、運よくY先生と会うことが出来たのです!
説明会が始まる5分くらい前のタイミングで、会場である講義室に颯爽と入室してきたY先生。
これ幸いとばかりに名刺を渡し、自己紹介&自社製品の使用状況を確認しようとするヒサシ。
ですが、Y先生からは少しばかり辛辣なお言葉を頂戴してしまいました。
いかがでしょうか?
要するに、Y先生は『MRとの面会には応じません』という意思表示をしてきたワケです。
なおかつ、Y先生は研究業務に傾倒している事も窺えます。
こんなことを言われてしまった手前、MRとしては面会を無理強いすることも出来ません。
しかしながら、Y先生が口に出した『研究』という言葉。
この部分に色々と思うところがありまして、こうして記事化してみようと思った次第です。
一介のMRによる体験談として読んでもらえると幸いです!
大学病院は“研究機関”でもある
大学病院という施設は、大まかに3つの役割を担っています。
即ち、『①臨床』『②教育』『③研究』の3点です。
早い話、大学病院とは患者を治療するためだけに存在している施設ではないワケです。
医学生を指導するための教育機関であり、同時に研究機関でもある。
…なんて事はMRであれば周知の通りですが、Y先生のように面と向かって『自分は研究に集中したい』と言い切る先生と直に接したのは今回が初めてです。
先ほどお伝えした通り、大学病院には研究機関としての側面があります。
よって、大学病院に勤めている医師とは、その全員が臨床業務(=患者の診療)に全力投球しているワケではないのです。
極端な話、臨床関連の能力が際立っているワケではない医師であっても、研究面での実績が優れていれば出世できますからね。
だからY先生のように、研究業務を重視する医師がいても、それは何ら不思議なことではないのです。
…と言っても、Y先生が研究・臨床・教育の3点について、どの程度の比率で仕事をしているかは正直分かりません。
病院&医局のホームページを見た限りだと、Y先生は外来や病棟の仕事もしていますし、医学生の指導も行っているようです。
ただ、Y先生の言葉を借りるならば、上記3点の中では研究の優先順位が高いことは間違いなさそうです。
実際、Y先生が筆頭著者である論文は複数ありますし、教室内における他の助教の先生方と比較しても、Y先生が研究に力を入れている事が窺えますので。
ざっと論文に目を通したところ、Y先生は“基礎研究”より“臨床研究”に注力している雰囲気がありました!
Y先生は、教授からの指示で研究に時間を費やしているのか?
それとも、Y先生自身の意志で研究を頑張っているのか?
沢山論文を書くことで、医師として出世しようと躍起になっているのか?
真相はともかくとして、Y先生が研究に傾倒している医師であることは間違いありません。
では、どうやって研究のための時間を捻出するのか?
その問いに対する1つの答えが『MRとの面会を避ける』なのかもしれません。
臨床や教育などの仕事は、相手(患者&学生)がいる以上、時間のコントロールが難しい。
そこに加えて、MRとの面会に応じるとなれば、ただでさえ少ない時間がさらに削られてしまう。
そうなっては、自分の本分である研究に注力することが出来ない。
だったら、せめてMRとの面会を一切行わない事によって、研究のための時間を少しでもずつでも捻出していくしかない。
もしかすると、Y先生はこんな事を考えていたのかなぁと今では思います。
もしかすると研究云々はMRを煙に巻くための方便か?
自分は、自分の研究に集中したい。
だからMRとの面会は行わない。
これがY先生の言い分です。
ですが、これがY先生の真意なのでしょうか?
私が思うにですけど、100%そうだとは言い切れない気もします。
まあ、真実はY先生のみ知るところですので、これは私の勝手な推測なのですが…
Y先生はMRのことが嫌いなので、適当な理由をつけてMRとの面会を断っている。
…という可能性もあるのかと。
大学病院に勤めている医師として、研究に集中したいという言葉は決して嘘ではない。
しかし、それはあくまで建前に過ぎない。
本音はMRと関わりたくだけ。
その理由はともかくとして、Y先生はMRの存在について快く思っていない。
つまり、Y先生の中では『MRが嫌いだから関わりたくない>>>研究に集中したい』なのかもしれません。
MRと関わることで、自分の時間(=研究に費やす時間?)を削られるのが面白くないのかな?
そもそも、MRと会わない(会いたくない)理由について、ストレートに言うような医師って稀だと思います。
少なくとも、MR本人を目の前にして、MRと会いたくない本当の理由を正直に述べるような医師は少数派でしょう。
以前、私は他の病院で『新人MRは嫌いだ』と主張する先生の話を聞いた経験があります。
ですが、そのように物事をキッパリと言うような先生ですら、新人MRに直接その旨を話すような事はしていないです。
『新人MRは嫌い』と主張している医師について現役MRが思うこと
これは医師とMRの関係性に限らずですが、嫌いな相手とは距離を置くのが一般的じゃないですか。
面と向かって『自分は貴方のことが嫌いだ』などと言えば角が立ちますからね。
喧嘩上等であればそういったやり方もアリですが、その場合は遺恨を残す可能性が高い。
即ち、長い目で見ればデメリットの方が大きいのです。
では、大人同士の人間関係において、どういったやり方であれば無難かつ効率的なのか?
この場合に有効とされる方法の1つが、何らかの“建前”や“方便”を上手く使うことなのだと思います。
嫌い云々の直接的な表現は避けて、なるべく接触する回数を減らす。
そして、最終的には必要最低限のやり取りしか行わない状態にまで持っていく。
あるいは、互いに音信不通の状態になることを目指す。
これが大人の世界における人間関係の原則なのかなと。
よって、もし仮に嫌いな相手が目の前にいたとしても、相手本人に『嫌いな理由』は伝えず、なおかつ相手と疎遠になるような建前を繕う。
波風が立たないように、相手も納得してくれるであろう方便を使う。
もしかしたらですが、Y先生はこういった事を考えて、研究云々の話をしたのかもしれません。
要するに、Y先生は“察してくれ”と言いたかったのかも…?
MRにとって面会不可の理由を教えてもらえるのは有難い
Y先生は研究に集中したいからこそ、MRとの接触を避けているのかもしれない。
Y先生はただ単にMRのことが嫌いだから、MRとの面会に応じないだけかもしれない。
…とはいえ、Y先生の真意なんて、結局のところはY先生にしか分からない事です。
一介のMRである私には、こうやって状況証拠から推測するくらいが関の山ですからね。
推測は、あくまで推測に過ぎない。
分からない事について、いくら考えても仕方ない。
…が、ただ1つだけ確実なのは、Y先生の中には『MRとは会わない』という確固たる意志が存在しているという点です。
Y先生の本音がどうなのかはさて置き、これだけは100%間違ないでしょう。
医療従事者(特に医師)への営業を生業としているMRにとっては辛いところですけど、それがY先生の意向ならば仕方ありません。
こういった状況であれば、Y先生に執拗な面会要求を行うことは、どう考えても得策ではありません。
よって、Y先生とのコンタクトを諦めないまでも、このような場合は暫く静観するのが理に適っています。
…というのが担当MRである私の考え方ですが、上司(会社)が認めてくれているかどうかは、また別の話ですよね。(汗)
今も昔も、製薬会社の管理職は現場のMRに対して『1人でも多くの医師に面会せよ!』といった指示を出すのが通例です。
普段から面会可能な医師であれば、定期的に面会するように。
面会不可な医師であれば、どうやったら面会できるかを考えるように。
こういった物言いをする管理職は、きっとどこの製薬会社にもいると思います。
私個人としては、このような指示が全くの的外れだとまでは思いません。
MRとは営業職であり、数字を達成するために存在しています。
そのための手段として、やはり“医者と会ってナンボ”な側面があるのは事実ですからね。
しかしながら、今回のY先生のように、MRとは意地でも面会しないような医師が一定数いるのも事実です。
それなのに『いつになったら会える?』『どうやったら会える?』などと上司から延々と追及されると、MRとしては息苦しくて仕方ありません。
そんな時、上司(会社)に対して『面会できない明確な理由』を報告できるのは、MRとしてメチャクチャ有難いんですよね。
私の経験上、面会不可な理由がハッキリしていれば、上司からは厳しく追及されないケースも結構ありましたので。
ただし、この辺りは上司のタイプにもよりますけどね!
今回のY先生に関して言えば、研究云々を理由にして面会拒絶の意思表示をしているワケです。
その旨を上司に伝えれば、多少は聞く耳を持ってくれるものです。
実際、私はこの件を直属の上司に伝えてから、Y先生に会えとはあまり言われなくなりましたので。
要するに、医師がMRに会わない理由を把握しておくのって、MR当人にとっては重要な事なんですよね。
今後の営業戦略を練る上でも参考になる情報ですし、上司(会社)への自己防衛を行うという意味でも大切な要素になり得ます。
少なくとも、理由も分からないまま医師と会えない状況がズルズルと続いてしまい、精神的にモヤモヤするよりは全然マシです。
そういった意味では、Y先生から『MRとの面会に応じない理由』について直接教えてもらえたのは大きな収穫でした。
まとめ:大学病院では研究重視の医師ほどMRに会いたがらない!…かも?
大学病院にて研究に励んでいる医師たち。
その全てが、MRとの面会を拒んでいるワケではない。
しかしながら、Y先生のように研究へと傾倒するあまり、MRとの接触を避けたがっている医師がいることも事実。
以上のことから、大学病院にて研究を重視している医師ほど“MRとは会いたがらない傾向”があるのかもしれません。
勿論、MRとして扱っている製品の性質や、面会依頼の用件によっては会ってくれる可能性はあります。
ですが、Y先生のようにMR側からは何をやってもコンタクト不可な医師もいるワケで。
MRの本分とされている『医薬品の適正使用推進』も、Y先生のようなタイプの医師にとっては煙たいだけなのかもしれません。
今の時代、インターネットで大抵の医薬品情報は調べられるしなぁ…(汗)
私もMRとして働いてそれなりに長いですけど、今回のように『MRと会わない理由』について面前で突き付けられたのは久しぶりです。
なおかつ、その理由として『研究』を挙げて断りを入れてきた医師はY先生が初めてです。
今回の一件、現役のMRとしては良い経験にもなりました。
医師には様々なタイプの人たちがいる。
そのこと自体は、前々から知っていました。
…が、その事実について、肌で再確認したって感じです。
研究を理由に、MRとの面会を拒んでいるY先生。
大学病院にはこういったタイプの先生がいることを念頭に置いて、今後のMR活動に活かしていこうと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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