業績低迷が続いている日医工にとってメディパルHDは救世主となり得るか?両社の思惑について考察してみる!

医薬品卸の今後

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

2020年の春以降、後発品の品質問題について火付け役となってしまった日医工。

あまりにも日医工関係の出荷停止・出荷調整が多過ぎて、もはや見慣れてきた感さえします。

そんな日医工ですが、メディパルHDと資本業務提携することが明らかになりました。

 

日医工 メディパルHDと資本業務提携 計画発注・計画生産に投資も メディパルの持株比率9.90%に

日医工、資本業務提携で筆頭株主にメディパルHD  52億円を調達、品質管理の設備投資に活用

 

業務提携』ではなく『資本業務提携』です!!

つまり、資本(お金)が絡んでいるということです。

日刊薬業やミクスオンラインの記事を読んでみると、何やら深い事情がありそうですね。

知っての通り、日医工は色々な意味で惨憺たる状態が続いています。

 

日医工が自主回収を連発!クレーム対応に追われる日医工MRが気の毒で仕方ない…。

 

医療現場で頭を下げるMR。

生産設備を幾度となく見直す工場。

世間からのバッシングに晒される経営陣。

こんな状態が既に1年以上も続いていますから、日医工内部での人・物・金といったリソースは厳しい状態にありそうです。

とりわけ、資金繰りについては日医工にとっては悩みのタネではないでしょうか。

でなければ、増資によって新たに資金を得たいなどとは考えないでしょう。

日医工は資金面で他社に助けてもらいたい。

その一方で、メディパルHDは後発品ビジネスを加速させたい。

つまり、互いの利害が一致した感じですかね。

ヒサシ
ヒサシ

この前提で考えると、日医工にとってメディパルHDは救世主か?

少なくとも、第三者である私はそのような印象を受けました。

そこで、日医工・メディパルHDという2社の思惑について、個人的に思ったことを書いていきます。

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メディパルHDが日医工の筆頭株主に!

今回、メディパルHDは第三者割当増資によって日医工の株式を取得する流れみたいですね。

その結果として、何と日医工の筆頭株主となるのだとか。

取りあえず、ミクスや日刊薬業の内容を要約してみました。

・第三者割当増資によって日医工の株式を9.9%所有することにより、メディパルHDが筆頭株主となる。(※ただし、保有株式10%超には満たないので議決権なし)
・日医工は第三者割当増資によって51億9100万円を得る予定。
・増資で得た51億9100万円について、日医工は生産設備への投資を行っていく。

ちなみにですが、第三者割当増資とは会社が資金調達するときの方法の1つです。

このことから、日医工としては何としてでも資金が欲しいからこそ、第三者割当増資という手段を使ったことが窺えます。

後発品製造の過程について日医工は幾度となく行政処分を受けていますが、それらを是正するにもお金が必要です。

その一方で、度重なる出荷停止・出荷調整によって売上は下がる一方。

売上が下がれば利益も稼げない。

利益がなければ設備投資もできない。

こんな風に資金繰りに悩んでいた日医工に対して、メディパルHDが助け舟を出したという感じですかね。

まあ、一口にメディパルHDと言っても、その中で医薬品卸売事業を行っているのは子会社であるメディセオ・エバルス・アトルの3社です。

ですので、実務面で日医工と関わるのは上記3社だけでしょう。

特にメディセオは日医工の後発品販売シェアが21.1%もあります。

次点がアルフレッサの14.6%、スズケンの14.4%ですから、4大卸の中でも頭一つ抜けていますね。

ヒサシ
ヒサシ

日医工の卸シェアについては全然知らなかったな…

つまり、今回の資本業務提携の前から日医工&メディセオは良好な関係だったことが窺えます。

日医工からしても、資金調達するならメディセオと組むのが手っ取り早いという打算があったのかも知れません。

よって、メディセオグループと日医工との関係はより一層強くなりそうですね。

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メディセオは日医工を自社傘下に入れたい?

メディセオとて営利企業ですから、タダで日医工に投資するワケがありません。

その見返りとして、日医工の後発品について帳合を増やそうという目論見があるはずです。

メディセオが日医工を含む後発品シェアをどのくらい持っているかは知りませんが、日医工の製品を通じて自社の売上&利益アップを狙っているのは間違いないでしょう。

ただでさえメディセオはGSKとノボノルディスクファーマとの取引がなくなり、売上&利益がダウンしている状態です。

 

GSKがメディセオ&地方卸との取引を打ち切る理由について考えてみる

ノボノルディスクの取引卸削減について「プラス影響」と評したベック社長の真意を考察する!

 

これら外資系メーカー2社との取引を失った穴埋めとして、後発品ビジネスを強化しようとしているのではないでしょうか?

そんなことを考えているタイミングで日医工の資金繰りが厳しいという話が聞こえてきたので、唾を付けにいったのではないか。

さらに言うなら、後々メディセオは日医工を自社の傘下に入れることも視野に入れているのではないでしょうか?

例えばですが、日医工の後発品をメディセオ1社流通にすることを狙っているとか。

ヒサシ
ヒサシ

医薬品の1社流通は卸にとって旨味が大きいですからね!

あるいは、日医工という会社そのものを買収してしまい、日医工の後発品を全て自社のブランド製品にすることを考えているとか。

医薬品卸でありながら自社で医薬品を製造・販売するとなれば、それは新しい形のビジネスとして活かせるでしょうし。

他の医薬品卸で例えるなら、アルフレッサアルフレッサファーマのような関係ですかね。

もし日医工を工場ごと買収してしまえば、新しく後発品が薬価収載される度に、自社ブランドとして薬剤を製造・販売することも可能となるワケですからね。

後発品の普及促進は国策ですから、今後も需要がある分野です。

そんな後発品市場での足場を固めるために、メディセオは日医工との資本業務提携に踏み切ったのではないか。

個人的には、そんな気がしてなりません。

もしメディセオが後発品を“直販”したら市場変動が起きる?

多くの場合、医薬品とは製薬会社⇒医薬品卸⇒医療機関という順番で流通しています。

つまり、医薬品卸が流通業者として製薬会社&医療機関との間で仲介役を担っているワケですね。

その一方で、製薬会社⇒医療機関という形での医薬品流通も存在します。

これは医薬品卸を介さず、製薬会社が医療機関に薬を直接販売する形態ですね。

一言でまとめるなら『直販』です。

この直販とは、医薬品卸が介在しないことによって流通経費を節約できるというメリットがあります。

流通経費が節約できるということは、その分だけ安価で医療機関に薬を販売することも出来ます。

つまり、病院側にとってもメリットがあるんですよね。

(※ただし、直販に伴う配送や代金回収といった業務も発生するため、製薬会社にとっては営業現場の負担が大きくなるというデメリットもある。)

さて、後発品メーカーで直販している会社といえば東和薬品が有名です。

東和薬品は直販を前面に押し出したビジネスモデルによって、後発品の市場シェアを伸ばしてきたという歴史があります。

私自身、MSだった頃に東和薬品のシェアを侵食された経験がありますからね。(汗)

 

東和薬品のような直販メーカーが増えると卸(MS)は不要になるかも?

 

そんな東和薬品ですが、2017年からはスズケン・東邦と協業しています。

ここがポイントでして、東和薬品は4大卸の中ではスズケン・東邦の2社だけと協業しています。

 

【東和薬品】卸の本格活用を開始‐間口を広げる販売戦略に

東和薬品・吉田社長 18年度に売上1000億円突破 スズケン、東邦との協業で“新規開拓”成功

 

メディセオとアルフレッサは蚊帳の外って感じです。

これは私の勝手な推測ですが、メディセオとしてはこの状況が面白くなかったんじゃないですかね。

メディセオの視点では、東和薬品・スズケン・東邦の3社連合軍が後発品市場を食い荒らしているワケです。

そこで、上記の3社連合軍に対抗するべく、日医工との関係強化へと走ったのではないでしょうか。

さらに、何年か後には日医工を自社傘下へと収め、メディセオブランドの後発品を直販するという青写真を描いているのではないか。

もし後発品の直販が可能となれば、それはメディセオにとって大きな武器となるでしょう。

それこそ、後発品の市場シェアを獲るための大きな一手となる。

繰り返しになりますが、後発品の使用促進は国策です。

この流れに乗って自前で後発品の製造・販売するための手段を確立できれば、それに伴う売上・利益アップといった旨味は十分にあります。

メディセオにとって、日医工への資本投入はそのための布石なのかも知れません。

他社や世間からのイメージ

医薬品業界では有名な話ですが、メディセオを含む4大卸は2019年に談合したことが明らかとなり、世間からメチャクチャ叩かれました。

その一方で、4大卸の中ではメディセオだけが起訴・実刑判決を免れています。

詳しくは下の記事を見てほしいのですが、談合しながらも法律上はお咎めなかったのがメディセオという会社です。

 

医薬品卸4社のJCHO談合問題はいつ決着するのか?今後の展開について考えてみる!

JCHOの指名停止措置で大手&地場の医薬品卸に激震!談合問題でまさかの展開か!?

 

では、法律上は裁かれなかったメディセオに対する世間からのイメージが良いかというと、決してそんなことはない。

談合という罪を犯したこと自体は事実ですからね。

さらに言うなら、起訴された他の3社からはメチャクチャ敵視されているようです。

私も仕事柄、アルフレッサ・スズケン・東邦のMSと話すことがあるのですが、彼らが抱えているメディセオを恨む感情たるや、半端じゃないって感じです。

MSによっては『嫌っている』を通り越して『憎んでいる』というレベルです。

談合したという事実がありながら、メディセオは何の罰も受けていないことが相当気に食わないみたいですね。(汗)

そんな感じで同業他社から忌み嫌われているメディセオが、これまた世間から叩かれている日医工と手を組んだわけです。

出荷停止・出荷調整の連発によって、日医工は医療機関のみならず、医薬品卸(特にMS)からも恨まれています。

 

医薬品の出荷調整・出荷停止の度にMSは苦しんでいる!自主回収後の地獄を語る!

 

談合のメディセオ。

製造&出荷不安定の日医工。

どちらも後ろ暗い事情を抱えている会社同士ですが、この2社の資本業務提携を見て、世間はどう思うでしょうか?

多分ですけど、良いイメージを持つ人は少ないのではないでしょうか?

悪いことをした会社同士が手を結んだ。

問題を起こした会社同士がくっ付いた。

そんな風に捉える人は一定数いるのではないでしょうか。

ヒサシ
ヒサシ

とりわけ、医療関係者からの心象は悪そうな気がします。(汗)

おそらく、日医工としてはメディセオの力を借りることで、信用回復を早めたいという意図があるのだと思います。

でも、それを実現するのは簡単なことではない。

それどころか、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社が、ここぞとばかりに日医工ごとメディセオを叩きのめそうと奮起する予感すらします。

日医工の出荷停止・出荷調整によって上記3社が苦しんでいることが、余計に『日医工&メディセオ憎し』という感情を増幅させるのではないでしょうか。

とにかく、企業イメージという意味では、日医工&メディセオという組み合わせについてプラス効果は期待できそうにないですね。

まとめ:日医工はメディパルHDの力を借りて生まれ変わる!…のか?

苦境の最中にある日医工にとって、資金提供をしてくれるメディパルHDは救世主のような存在です。

ですが、医薬品卸も資金面では苦しんでいるはずです。

メディパルHDに限らず、医薬品卸の決算内容はボロボロですからね。

 

大手医薬品卸4社における2021年3月期の決算内容(特に営業利益)がエグすぎる…!!

地場の医薬品卸における2021年3月期の決算内容を徹底分析!営業利益が厳しすぎる…!!

 

これだけ資金面で難渋している医薬品卸が、何の思惑もなしに約52億円もの大金を投資するワケがない。

単なる後発品の安定供給といったビジネスのために投資したとは、私にはどうしても思えないのです。

ヒサシ
ヒサシ

業界誌で報じられている以上の、何か遠大な計画が隠れている気がしてなりません!

…とはいえ、日医工はメディパルHDから調達した資金によって助けられたのも事実です。

この資金、生かすも殺すも日医工次第です。

そして、その様子を観察しているメディパルHD。

果たして日医工は生まれ変われるのか?

それとも、メディパルHDが日医工を吸収するのか?

もしメディパルHDが日医工を買収でもしようものなら、生まれ変わるのはむしろメディパルHD側となりそうです。

自社ブランドの後発品を誕生させるために、メディパルHDは日医工を吸収したくて仕方ない。

メディパルHDにそんな下心があるとしたら、日医工にとっては救世主というより、むしろ浸食者といった方が適切かもしれません。

ヒサシ
ヒサシ

今後、一波乱あっても不思議ではないかも?

…などと、個人的には思ったりしています。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


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