こんにちは、元MSのヒサシです。
私は27歳の頃まで、医薬品卸でMS(営業職)として働いていました。
MS時代に色々なことがあって『MSを辞める』という選択をした私ですが…
今までブログ内では、私がMSを辞めた具体的な理由について書いてこなかった気がします。
そこで、今回は私が『MSを辞めたいと思った理由』について記事を書いてみました。
では、早速ですが結論です。
私がMSを辞めたいと思った理由は5点あります。
そして、この記事を読んでくれている現役のMS(特に、MSを辞めるべきか悩んでいる人)に伝えたいことがあります。
何を伝えたいのかと言うと、『まずはMSを辞めたい理由についてハッキリさせた方が良い!』ということです。
言い換えれば、MSを辞めたいと思う動機ですね。
この動機って凄く重要なんですよね。
仕事(会社)を辞めるのって、相当なエネルギーが必要です。
ですから、まずはこの動機を明確にしないと『辞める』という決断には中々踏み切れないかと思います。
仕事を辞めるときの精神的な負荷に耐えるには、それ相応の動機がないと苦しいですよ!
さて、私は仕事を辞める(退職)するにあたって、大きく分けて2種類の辞め方があると思っています。
1つ目は、何らかの劇的な出来事によって、勢いに任せて辞めるパターン。
例えばですが、上司にブチ切れてぶん殴ってしまったり、プロジェクトの失敗について全責任を負わされたりなど、ヤケになってそのまま辞める場合ですね。
(※まあ、こういった辞め方をする人は稀だとは思いますが…。)
2つ目は、小さな不満が少しずつ蓄積していった結果として、辞めるという選択をするパターン。
例えば、人間関係や待遇面での不満が積み重なり、その不満によって思考が辞める方向に傾いていく場合ですね。
…で、筆者の場合はどうだったかと言うと、典型的な後者タイプでした。(汗)
【急配】が嫌だ。
【返品】が面倒くさい。
【詰め込み販売】がストレスだ。
【休日当番】がキツい。
【社内行事】がウザい。
これら1つ1つの出来事を切り取って考えてみると、単体では大したことがなかったように思えます。
その一方で、これら1つ1つの出来事が積み重なることによって、私の頭の中は徐々に『辞めたい』という思考で一杯になっていったのも事実です。
塵も積もれば山となる!!
…というヤツですね。(汗)
もちろん悪い意味で…ですよ!!
今まで私はブログ内で、MSとして色々と苦しんだ体験談などを書いてきました。
そのような苦しみの果てに見出した答えが『MSを辞める』という選択肢だったのです。
前置きが長くなってしまいましたが、私がMSを辞めたいと思った理由について、ここからより具体的に書いていこうと思います。
MSという職業に興味がある人、あるいは、MSを辞めるべきか悩んでいる人などに対して、この記事が少しでも参考になれば幸いです!
MSを辞めたいと思った理由5選!
私がMS辞めたいと思った理由は、一言でまとめると『不満』が溜まっていたからです。
MSという職業について、不満で仕方ない。
MSの仕事内容について、どうしても良い面を見出せない。
MSを辞めることで、自分の中にある不満を解消したい。
シンプルですが、MSを辞めたいと思う気持ちの根底には、こういった不満の感情がありました。
では、何がどれくらい不満だったのか?
不満の感情全体を100とした場合、その内訳については大体こんな感じです。
1.社風への不満⇒30%
2.仕事内容への不満⇒25%
3.給料への不満⇒20%
4.人間関係への不満⇒15%
5.MRへの未練⇒10%
⑤の『MRへの未練』だけは、厳密には不満とは少し異なる感情なのです。
ですが、⑤もMSを辞めるときのモチベーションの1つであったことは事実なので、ここでは敢えてカウントしています。
当時の心境を思い出しながらこの記事を書いているのですが、こうして見ると不満の原因って、意外と分散されているんですよね。
特定の個人への不満というよりは、会社(組織)への不満の方が強かったように思います。
では、各々の不満理由について1つずつ紹介していきます。
1.社風
医薬品卸とは、良くも悪くも日本的な企業と言われています。
上司に気に入られた社員から出世(昇給・昇格)し、上司から好かれていない社員は冷や飯を食わされる。
年功序列の雰囲気が強く、若手がどれだけ頑張ろうと、ガンガン稼げるような給与体系ではない。
仕事内容も保守的な要素が強く、改革を推し進めるような雰囲気ではない。
【飲み会・ゴルフなどの社内行事】には、誰もが参加するのが当たり前。
もし断った場合は、上司や先輩MSからネチネチと詰られる。
こういった社風が、私にはとても不快だったです。
“社風”というのは言語化が難しいこともあり、どうしても抽象的な表現になってしまうのですが…
とにかく、私にとっては『居心地が悪かった』という感じですね。
先ほど、特定の個人よりも、会社(組織)への不満の方が強かったと書きましたが、まさにこの社風が該当する部分です。
こういった『合う・合わない』の感覚は個人差が大きいとは思うのですが…
少なくとも私にとって、医薬品卸の社風(さらに言うなら営業所の雰囲気)は合っていなかったということですね。
今思えば『合わぬ蓋あれば合う蓋あり』という言葉がピッタリな状況でした!
他には、現場の一般社員にやたらと【経費削減を強いる風潮】も嫌でした。
あまりにも仕事がやりにくくて仕方なかったので。(汗)
その反面、管理職のオッサンたちが湯水のように経費を使っているときた。
私にとって、そのことがメチャクチャ不満だったんですよね。
こんな理不尽なことが許されるのか!?
…などと、当時は心の底から思っていました。(汗)
2.仕事内容
MSの業務はとにかく幅広いです。
少なくとも、現職であるMRよりは間違いなく量が多い。
仕事用のPCを持ち帰り、自宅で内勤を行うなんてこともザラにありました。
【MSの仕事は激務である】と言われることも多いですが、これは間違っていないと断言します。
まあ、ただ仕事量が多いだけなら、何とか耐えられないこともなかったと思います。
では、MSの業務について何が不満だったのか?
私にとって最大の不満点とは『自分の意思では改善できない業務』が多過ぎたという点です。
急配にせよ、返品にせよ、詰めにせよ、会社から『やれ』と言われたらやるしかありません。
正味な話、これらの業務について改善の余地なんてありません。
百歩譲って、MSの努力によって業務のやり方を工夫することは出来ても、返品や詰めといった悪習的な業務そのものをゼロにすることは出来ない。
そもそも、業務を改善する云々の前に、MSとしては、『やる』or『やらない』の2択です。
ついでに言うと、MSにとって『やらない』という選択肢は原則あり得ません。
例えばですが、MSは取引先から【返品】を持って帰れと言われたら、まずはその通りにせざるを得ないことがほとんどです。
そして、MSは返品の再販先を探すことを余儀なくされるのです。
こんな具合に、MSは毎回『やる』ことを半強制的に選択させられるワケです。
この選択の余地が無いことについて、MS経験者であれば知っての通りメチャクチャ辛いものがあります。
MSである以上、どう足掻いても目の前の仕事からは逃げられない…
とりわけ【詰め込み販売】に関しては取引先からイヤな顔をされてでもやり遂げないといけません。
MS時代の私にとって、この“詰め”に関する仕事は凄まじいストレスでした。
(※余談ですが、MS時代に最も苦しんだ“詰め”は【大正製薬の“鷲友会”と呼ばれる企画】でした。)
嫌な仕事を、嫌々ながらもやり遂げる。
そんなことを繰り返していると、どうしてもMSの仕事内容に嫌気が差してしまうんですよね。
ここで自分の気持ちに折り合いを付けられるかどうかが、重要なポイントなのだと思います。
たとえ嫌な仕事であっても、MSとしての使命感や義務感に持って仕事を成し遂げられるか?
もし使命感や義務感が勝るのであれば、その人はMSとして大成する可能性があると思います。
その一方で、不満の感情の方が勝れば、私のようにMSを辞める方向に思考が傾くのではないでしょうか?
一応、誤解のないようにお伝えしておきたいのですが…
こんな記事を書いている私ではありますけど、MSとして仕事のやりがいを感じる場面は沢山ありました。
緊急の急配を行って病院の人に喜んでもらったり、新薬の採用を手伝ってMRに喜んでもらったり、MSとして頑張って良かったと思う場面は幾度となくありました。
付け加えると、私はMSを辞めた後になってから、社会に対するMS(医薬品卸)の貢献度というものを改めて理解しました。
(※これはMSを辞めたことで、MSという職業を客観視できるようになったからだと思っています。)
医薬品卸がなくなると困る人間は大勢いるぞ!業界内における卸の必要性を再考する!
しかし、MSとして働いていた頃の私にとっては、どうしてもMSの辛い部分ばかりに意識が向きがちでした。
MSが行う業務全体で考えてみると、当時の私には『プラス要素』が霞んで見えてしまうほどに『マイナス要素』が強すぎたのです…。
3.給料
先ほどの社風の項目とも関係するのですが、医薬品卸の給与体系は典型的な年功序列です。
若いMSがいくら頑張って良い成果を出そうとも、中年世代の年収には遠く及びません。
…かと言って、今すぐに出世(昇給・昇格)できるかと言うと、決してそんなこともない。
じゃあ、仕事を頑張る意味って何なの?
…ということを私は常日頃から思っていました。
仕事を頑張って成果が出れば、その分だけ給料に還元してほしい。
しかし、それは叶わない。
MSとしての営業成績が良くても、せいぜいボーナスの金額が僅かに増えるだけ。
どう足掻いたところで、自分1人の力では組織のルールを変えることなど出来ない。
そのことがどうしようもなく不満でした。
加えて、こういった給与面への不満を増幅させていたのが奨学金の存在です。
新卒で医薬品卸に入社して以降、私はとにかく【奨学金を1日でも早く全額返済すること】に拘っていました。
しかし、MSの給料で奨学金を早期返済するなんてことは、まるで夢物語のように思えてなりませんでした。
当時は奨学金を毎月4万円ほど返済していたのですが、月収は手取りで17万~18万くらいだったんですよね。
つまり、月収の約1/4ほどを奨学金の返済に充てていたのです。
さらに、社内の飲み会・ゴルフなどでの出費も嵩む。
正直言って、MS時代は毎月数万円を貯金するのがやっとな状態でした。
“お金がないと心が荒む”というのは本当ですよ!
衣食住に困るほど生活が苦しいわけではありませんでしたが、決して裕福な生活でもない。
少なくとも、奨学金の繰り上げ返済については、完全に無理ゲーって感じでした。
今思えばですけど、MSの給料は決して悪くありません。
…と言うか、むしろ私が住んでいた田舎では高給な部類でした。
医薬品卸のMS(営業職)として働いていた頃の年収を1円単位まで公開します!
しかし、奨学金の早期返済を望む私にとって、当時の給料が不満だったことは事実です。
どれだけ仕事を頑張っても、自分の給料には殆ど反映されない。
その一方で、社内イベントによる出費が苦しいときた。
こういった不満が、私の中で『もっと稼げる職に就きたい』=『MSを辞めたい』という気持ちに繋がっていきました。
4.人間関係
これも社風と絡み合っている要素なので、一概には言い切れない部分もあるのですが…
何と言うか、当時MSとして所属していた営業所の人たちとは相性が悪かったんですよね。
同期のMSの中には良い上司・先輩に恵まれたと公言している人もいましたが、私はそんな風に思ったことは特にないです。(汗)
今振り返ってみると、仕事のやり方だとか、給与体系のことだとか、社内行事への考え方とか、とにかく私とは相容れない意見を持つ人たちが多かったと思います。
これは決して、彼ら全員のことを嫌っていたという意味ではないです。
しかし、嫌いではないけど、好きにもなれないというか…
心のどこかで『この人たちとは相容れない』と思っている自分がいました。
(※【愛社精神が強い先輩MS】とは、かなり折り合いが悪かったです。)
もちろん、仲が良い先輩・後輩もいましたが、そういった気が合う人はほんの一握りだったように思います。
加えて、当時の営業所内は同調圧力が強い雰囲気がありました。
私は同調圧力に抗うことの方が多かったので、その分だけ人間関係も拗れる場面も多かったように思います。
例えば、営業所のMSは全員参加のゴルフコンペに、私だけ理由を付けて参加しなかったりとか。(汗)
(※MS3年目~4年目くらいから、私は奨学金の返済を優先するべくゴルフコンペ・飲み会などへの参加頻度を減らしていた。)
こういったイベントに敢えて参加しなかったのは、何と言ってもお金がかかるからです。
もちろん、勤務時間外に上司・先輩と関わりたくないという気持ちもありましたけどね!
例えばですが、ゴルフコンペでは平気で1万~2万といった金額が飛んでいきます。
先ほどもお伝えした通り、当時の私にとってゴルフ関係の出費は経済的負担が大きすぎたのです。
こういった金銭感覚を含めて、私は営業所の人たちとはウマが合わないことを自覚していました。
むしろその時点で、ある意味ですが人間関係は破綻していたワケです。
そう考えると、特に上司との相性は良くなったですね。
…なんてことを言われたりとかね。
今思い返してみると、上司の意見・主張は確かに理解できなくもないです。
上司としては、営業所の一体感を高めるために、ゴルフコンペや飲み会などを社内行事を企画していたのでしょう。
しかし、『和を乱すな』と言われて軽く聞き流せるほど、当時の私は大人ではありませんでした。
私は単なる感情だけで社内行事を嫌っていたワケではなく、出費が増えることによって奨学金の返済プランを狂わされることが嫌だったのです。
つまり、筆者には筆者なりの事情があったのです。
当然ながら、上司の物言いに対しては不快な感情しか湧いてこなかったです。(汗)
まあ、こういった上司との関係性はあくまで一部でしかありません。
他にも、上司の上司から叱責されたりとか、ムカつく先輩MS(オッサン)から虐げられたりとか、お局の事務(オバサン)から小言を言われたりとか、色々なことがありました。
こういった人間関係の小さな歪みが1つ1つ積み重なることによって、不満の感情が増大していった。
…という感じですかね。
実際、医薬品卸を辞めるときには色々な人からネガティブな言葉を叩き付けらました。
その中でも【上司や先輩からは非難轟々といった感じ】でしたので。
ある意味、退職とはその会社で培った人間関係を浮き彫りにするイベントでもあります。
会社を去るタイミングだからこそ、上司・同僚によっては普段以上に辛辣な物言いをいますからね。
そのことを考えると、やはり自分にとって相性が良くない人は一定数いたのかなぁと思います。
5.MRへの未練
今まで紹介してきた社風・仕事内容・人間関係への不満と比べれば大したことは無いのですが…
当時の私はMSとして頑張れば頑張るほど、MRとして働いてみたいという気持ちが募っていったんですよね。
ブログ内でも何度か記事を書いてきましたが、私は学生時代の就活にてMRを志望していた人間です。
ですが、私の実力不足により新卒でMRになるという目標は叶いませんでした。
…と言うか、自分でも笑えるくらい【MRの選考で落ちまくった】ので。(汗)
私はリーマンショック後で就職氷河期と呼ばれた世代の人間でして、そういった社会情勢も多少は就活に影響したと思います。
とはいえ、新卒でMRになれなかった最大の原因は自分自身にあります。
悔しいけど、学生時代の自分にはMRになるだけの実力がなかった…
…といった感じで、自分の中では既に結論が出ていましたからね。(汗)
その後、何とかして【内定をゲットできたのが医薬品卸のMS職だった】というワケです。
そして、新卒でMSとして働き始めたものの…
MSという立場でMRのことを知れば知るほど、MRへの未練が膨らんでいきました。
何より、良くも悪くも衝撃的だったのは、同エリアの同年代MRたちは揃いも揃って良い生活をしていたという事実です。
MRは皆、良いものを食べている。
給料が良いから、良い車に乗っている。
ロレックスやオメガのような高級腕時計を身に付けている。
休みも沢山取れるから、国内外の旅行へとガンガン出掛けている。
つまり、誰も彼もが人生を謳歌している。
少なくとも、当時の私の目にはそのように見えました。
経済レベルにおいては、MSより格段に上である同年代MRたち。
もうね、あの頃は『未練』を通り越して『嫉妬』の感情すらありましたからね…。
その一方で、
もし自分が新卒でMRになれていたら?
…という人生IFルートみたいなものを想像することも増えました。
MSとして働き続けるうちに、いつしかこんな考えが頭の中を巡るようになったのです。
そして、徐々にですが『MSを辞めたい』という気持ちが強くなっていきました。
詳しくは後述しますが、こういった感情は少しずつ、そして確実に蓄積していくものです。
『医薬品卸を辞めたい』という気持ちが徐々に蓄積していった!
何か嫌なことがある度に、辞めたいと思う。
何か辛いことがある度に、辞めたいと感じる。
MSだった頃、私はこういった感情を常に持ち合わせていました。
当然のことですが、こういった『辞めたい』という感情は自然と湧き起こってくるものです。
言い換えれば、自分自身の意思でコントロールすることは難しい。
つまり、人によっては『辞めたい』と思わないようにするなんて不可能なのです。
もちろん、MSとしてバリバリ活躍して、社内でも社外でも評価されているような人であれば、こういったネガティブな感情は湧いてこないかと思います。
ですが、残念ながら私はそちら側の人間ではありませんでした。
給料を得るためと割り切って、嫌々と、渋々と、何とか自分を納得させながらMSとして働いている。
今振り返ってみると、MS時代の私はそんな感じでした。
そして、こういったネガティブな感情は時間に比例して増えていきました。
例えるな、大体こんな感じですね。
辞めたい感情指数が50になった!
うーん、MSとして働くことに疲れてきたぞ…。
俺ってMSに向いてないのかな…?
上司や先輩とも良い関係とは言えないし、正直しんどいな…。
辞めたい感情指数が80になった!
俺って、絶対にMSには向いてないタイプだよな…。
辛いことが多い割に、給料は安いし…。
MSを辞めるなら早い方が良いのかな…?
辞めたい感情指数が100を超えた!
もう限界だ!
もうMSの仕事には耐えられねぇ!
もうMSは辞める!
てゆーか、医薬品卸自体を辞めてやるぞ!
こんな風に、辞めたいという気持ちが増大することを抑えられなかったんですよね。
まさに、塵も積もれば山となる。
些細なことによって生じた『辞めたい』という感情が、やがて心の中を埋め尽くしていきました。
MSとして働くことに疲れ、医薬品卸という会社にも嫌気が差してきた。
もうこれ以上、医薬品卸で働く理由がない。
だったら、もう医薬品卸を辞めて別の会社に移ってしまおう。
そんな風に思いながら転職活動を始めたのが、MSとして5年目くらいの時期でした。
奨学金の返済がなければMSを辞めなかった…かも?
ここまでMSを辞めたいと思った理由について書いてきましたが…
もし奨学金の返済が無ければ、MSを辞めるまでには至らなかったと思います。
私の人生において、奨学金とは大きなウエイトを占める存在でした。
奨学金の本質とは『返済する義務があるお金』です。
つまり、平たく言えば借金と同じようなものです。
こういった奨学金の返済に伴うプレッシャーは思いのほか大きく、経済的にも精神的にも苦しい場面が何度もありました。
同時に、奨学金は私に多くの教訓を与えた存在でもあります。
まだ学生だった頃、奨学金の存在によって私の中でこんな価値観が形成されたのです。
当時の心情を振り返ってみると【奨学金に関するコンプレックス】がヤバかったんですよね。
そのため、大学を卒業して以降の私はとにかく“稼げる職業”というものに拘るようになったのです。
もちろん、奨学金を早期に全額返済したという気持ちも強かったです。
では、MSとして働き続けることが奨学金の早期返済に繋がるのか?
…ということを考えてみると、決してそんなことはありませんでした。
今でこそMRとして働いている私ですが…
MSを辞めてMRとして働き始めた理由の1つは、何と言っても奨学金を早期返済するためです。
(※もちろん、MRの仕事内容への憧れといった感情もありましたけどね。)
何だかんだ言って『仕事(会社)を辞める』という選択には、勇気とエネルギーが必要です。
そして、勇気とエネルギーを振り絞るからには、それ相応の大きな見返りが期待できる職に就かなければ意味がない。
…で、私にとっての大きな見返りとは、詰まるところ、奨学金をスムーズに返済できる待遇(給料)です。
その前提で考えると、もしMRの待遇がMS並だったとしたら、私はMSを辞めなかったと思います。
では、もし奨学金の返済が一切必要ないと仮定した場合はどうか?
たらればの話で恐縮ですが、おそらく私は今でもMSとして働いていたのではないかと思います。
MSの給料は決して高給ではありません。
ですが、薄給というほど安いワケでもありません。
私が働いていた医薬品卸の給与レベルを考えると、アラサーのMSでも年収500万くらいは堅いです。
年収500万と言えば、当時の私が住んでいる田舎エリアだったら、贅沢さえしなければ十分に家族を養っていける金額です。
そう考えると、社風などには目を瞑りつつ、人間関係にも上手く折り合いをつけ、淡々と仕事をこなすことで、私はMSとして平均的な経済レベルの生活をしていたのではないかと思うのです。
今となっては“たらればの話”でしかないですけどね(汗)
何だかんだ言って医薬品卸は生命関連企業の一端ですし、安定していると言えば安定している業種です。
確かに、MSの人数は減少傾向が続いていますし、医薬品卸そのものの将来性を危惧する意見も一理あるかとは思います。
実際、2021年には大手医薬品卸のメディセオとスズケンが大規模なリストラをしていますからね。
【メディセオのリストラ】も、【スズケンのリストラ】も、双方ともに500人以上が退職するという凄惨な事態でした。
しかし、ハッキリ言って他の業界でもリストラは日常茶飯事です。
つまり、リストラについては何も医薬品卸だけが特別なワケではないのです。
むしろ、他業界・他業種と比べれば、まだまだ医薬品卸は安定感がある方ではないかと思います。
以上のことを踏まえて考えてみると…
私に関して言えば、もし奨学金の返済が無ければ、安定感のある会社(医薬品卸)を辞めるリスクを負うような選択はしなかったのかなぁ…と、思うワケです。
最後に:MSを辞めたいと思うのなら、その理由をハッキリさせよう!
こんな長々とした記事をここまで読んでくれた読者さんには、おそらく現役のMSさんが多いのではないかと思います。
MSを辞めた一人の人間の意見ではありますが、少しは参考になったでしょうか?
この記事を通して私が伝えたいことは、
まずは『MSを辞めたい理由』についてハッキリさせた方が良い!
…ということです。
MSが嫌なら、今すぐに辞めろ!!
…なんてことを言うつもりは毛頭ありません。
ちょっと話は変わりますけど、世の中には無責任に転職を煽るような人間がたくさん存在します。
…みたいな論調でね。
なるほど。
確かにMSを辞めたい人にとっては、とても心地よく聞こえる言葉です。
しかし、そんな甘い言葉は鵜吞みにはしてはダメです。
まあ、勢いに任せつつスピード重視で辞めるのも1つの手段だとは思うのですが…
正味な話、仕事(会社)を辞めた後の生活が上手くいく保証なんてどこにもありません。
今の私はMSを辞めて以降、MRとしてそれなりに満足のいく人生を歩んでいます。
ですが、そのことだって所詮は結果論です。
人間関係やタイミング。
そして運。
これらに恵まれなければ、もしかしたらMSだった頃以上に不遇な人生を歩んでいたかもしれません。
実際のところ、私は【MS(医薬品卸)を辞めてから後悔した人間】を複数知っています。
繰り返しになりますけど、MSを辞めたからといって人生が好転する保証はどこにもありません。
だからこそ、深く考えることなく安易に『辞める』という選択はしない方が良いです。
MSを辞めるという決断をする前に、辞めたいと思う理由をハッキリさせる。
そのことが何よりも大切だと私は思います。
MSという仕事を辞めたいのはなぜか?
MSと言うより、医薬品卸という会社自体を辞めたいのか?
MSを辞めた後で、本当に後悔しないだろうか?
こういったことを明確にしておくだけでも、辞める・辞めないの判断材料になりますよ!
それに、この記事で私が書いた体験談は、あくまで一例でしかありません。
世の中にはMSを辞めて、別の環境で働いている人間が大勢います。
では、なぜ彼らはMSを辞めるという決断をしたのか?
それって本当に千差万別なんですよね。
辞めた理由について似ている部分はあれど、100%完全に同じ理由で辞めたなんてことは、正直言ってあり得ないと思っています。
だからこそ、転職云々を考える前に、自分の気持ちを整理する必要があるんじゃないかと思うワケです。
MSを辞めたい理由、あるいは、MSを辞めるべき理由。
それは本人にしか分からないことなんです。
たまにブログ内の【問い合わせフォーム】を通じて、若いMSさんから『辞めるべきかどうか悩んでいます』というような相談を頂戴することがあります。
そういった人には、
まずは辞めたい理由をハッキリさせましょう!
…と、アドバイスしています。
実際、私は転職活動中に『MSを辞めたい理由』を掘り下げることを意識していました。
(※これについては転職エージェントの力も借りて行いました。)
転職エージェントとの面談時に『MSを辞めたい理由』を明確化するように促された体験談
MS時代に活用していた転職サービス5選!各々のメリット・デメリットも一緒に解説します!
MSを辞めたいのであれば、まずはその気持ちの源を突き詰めることが先決です。
その結果として、もし辞めたい気持ちが大したことないレベルであれば、もう少しばかりMSとして頑張ってみても良いでしょう。
逆に辞めたい気持ちが明確なのであれば、転職活動にチャレンジしても良いかもしれません。
何れにせよ、『MSを辞めたい理由』について自問自答することは決して無駄にはなりません。
その後で、今後の人生について考えるなり、転職活動をするなり、具体的な行動に移るのが良いと思います!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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ご無沙汰しております。とても興味がある記事にウンウンとうなずきながら読ませていただきました^_^
ほとんどが共感でしたが奨学金返済は私にはありませんでしたのでその辺りは経験した人達でなければ本当の苦労は分かち合えないと思います。そういった部分は両親に感謝します。ただ、社内ゴルフコンペや飲み会といった社内(営業所)行事が今だに行われているところがあるのには少々驚かされました。勿論コロナの影響で今は無いのでしょうが、私のいたことのある職場ではほぼありませんでしたよ(^◇^;) あ、私が就職した平成四年の頃からしばらくは有りましたが…。 皆で集まってというのは田舎に行けば行くほどまだまだ残っている風習なのかしら、私のいた都内ではちょっとそこまでは無いなぁというのが率直な感想です^_^ 今月は決算月でしょうか。お身体に気をつけて頑張ってくださいね! 私はというと先月末で退職し、今はミスドでのんびりとコーヒーを飲んでいます。これから役所に行って退職後の色々な手続きをして夕方には妻に言われたレシピ通りに夕食を作るという仕事が待っています
ホルモンさん
お久しぶりです!
ご無沙汰しています。
退職後、お元気そうで何よりです。
医薬品卸で奨学金を返済している人には会ったことが無いので、こういった理由でMSを辞めるのはレアケースなのかも知れませんね。
ただし、奨学金のことを抜きにしても、私にとって飲み会・ゴルフなどが苦痛であったことは間違いないです。
実際、私が配属されたエリアは中々の田舎だったんですよね…。
ホルモンさんが言う通り、悪い意味で田舎らしい風習が数多くありまして、それらに振り回される日々でした。
実際、東京の同期MSに尋ねてみたら、営業所の飲み会・ゴルフはたまに開催される程度と言っていましたからね…。
いわゆる『配属ガチャ』の引きが悪かったということなのでしょうね。(汗)
これからもたまに当ブログを覗きに来てください!