こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
大手医薬品卸4社(アルフレッサ・メディセオ・スズケン・東邦)によるJCHO談合問題が浮上してから約1年が経ち、年末も近くなったこの時期に大きな動きがありました。
4社の中でアルフレッサ・スズケン・東邦の関係者7名が起訴され、メディセオは起訴されないというまさかの展開。
国に納める課徴金(罰金)についても、法律に基づいてアルフレッサ・スズケン・東邦の3社は莫大な金額を支払うこと間違いなし。
一方でメディセオはと言えば、課徴金減免制度(別名:リーニエンシー)を一番手で利用した恩恵により、課徴金はゼロという衝撃の事実が判明。
4社で談合したにも関わらず、3社は罪を問われ、残る1社はお咎めなしです。
少なくとも、法律や制度の網を掻い潜り、メディセオが上手く立ち回ったのは間違いないです。
これだけを見ると、起訴されず、課徴金も発生しないメディセオの一人勝ちのように見えます。
医薬品卸4社のJCHO談合問題はいつ決着するのか?今後の展開について考えてみる!
しかし!
このJCHO談合問題、まだまだ各方面に影響がありそうです。
起訴に伴い、今回の談合に関する各医薬品卸への具体的なペナルティが見えてきました。
何と、JCHOがアルフレッサ・スズケン・東邦の3社に対して指名停止を発表しました。
ちなみに、指名停止期間は令和2年12月10日~令和4年12月9日までです。
引用:地域医療機能推進機構(通称:JCHO)のホームページより
簡単にまとめると『談合の件で起訴されたアルフレッサ・スズケン・東邦の3社はJCHO系列病院としばらく取引できない』ということですね。
なお、起訴&課徴金を免れたメディセオについてはまだ不明です。
メディセオのことはさておき、ただでさえ収益的に厳しい状況が続いている医薬品卸にとって、これは大ダメージです。
大手の医薬品卸とはいえ、これは売上・利益の両方に大きな影響が出ること間違いなしです。
そしてさらに、JCHOだけでなく公的医療機関でも取引停止の話が浮上してきました。
早速と言うべきか、2020年12月18日には国立病院機構がアルフレッサ・スズケン・東邦の3社との取引停止を発表しました。
広がる大手卸3社へのペナルティー 談合事件で国病機構も入札参加資格停止
このように談合問題は現在進行形で炎上を続けています。
果たして、どこまで飛び火していくのか見当も付きません。
まさに“燎原の火”の如し…
もしもですが、全国各地の国立病院や県立病院などが4大卸から医薬品卸を買うことをストップしたら、一体どうなるでしょうか?
個人的な意見ですが、大手の医薬品卸といえど、割とマジで経営が傾きかねないと思っています。
その一方で、地場卸にとっては千載一遇の大チャンスでもあります。
そこで本日はJCHOの指名停止措置によって各医薬品卸がどうなっていくかについて考察してみようと思います。
JCHOの指名停止措置による内容
果たして、JCHOの指名停止措置によって各医薬品卸にどのような影響が出るのでしょうか?
まずは現在報道されている内容について整理してみます。
日刊薬業などの業界誌を読んだ限りだと、以下のような事実が判明しています。
いかがでしょうか?
つまり、2021年の春のJCHO入札時、にアルフレッサ・スズケン・東邦の3社は入札に参加できないのは確定です。
しかも、その状態が約2年ほど続きます。
これは医薬品卸としては凄まじいダメージです。
(…と言っても、医薬品卸側の談合が原因なので自業自得なのですが…。)
一方、メディセオについての処分はまだ未定ですので何とも言えない状況です。
一応、公正取引委員会次第なところもありますが、課徴金減免制度を一番手で利用している関係上、大目に見てもらえるのではないかという見方もあります。
もしメディセオだけが2021年以降もJCHOへの入札OKだとしたら、もうそれだけで売上・利益アップ間違いなしです。
詳しくは後述しますが、現在は地場卸もJCHOの入札に参加しています。
とはいえ、大手3社が入札の土俵から居なくなっただけでもメディセオにとっては相当なアドバンテージです。
もしこうなる展開を見越して課徴金減免制度を一番手で利用したのだとしたら、メディセオは相当な策士ですね。
アルフレッサ・スズケン・東邦の3社は売上ダウン確定!
全国のJCHO系列病院の市場は2年間で約740億円と言われています。
(※2018年7月1日~20年6月末までの4大卸による契約金額の合計が約740億円だった。)
ソースは下のミクスオンライン記事です。
医薬品卸4社 JCHO発注の医療用薬の入札で独禁法違反疑い 公取委が立入検査
2019年の談合問題発覚まで、上記の約740億円の市場は4大卸が独占していました。
せっかくの機会なので、参考までに2018年~2020年までの4大卸によるJCHOとの契約金額についてまとめてみました。
2018~2020年 JCHO契約金額
・東邦薬品⇒約233億円
・スズケン⇒約189億円
・アルフレッサ⇒159億円
・メディセオ⇒約156億円
契約金額とは、詰まるところ売上額のことです。
ちなみに、上記の契約金額は2年間の契約期間をもとに算出されたものです。
これらの金額が薬価ベースなのか納入価ベースなのかは不明ですが、何れにしても膨大な金額です。
さて、JCHOの指名停止措置によってアルフレッサ・スズケン・東邦の3社はこれらの売上額が全て吹っ飛びます。
実際には2020年の7月から地場卸もJCHOへの入札可能になっていることから、既に売上額の減少は発生していますが、2021年からは減少どころか完全にゼロになります。
しかも、その状態が2年も続きます。
2年ですよ、2年!
2年もの間、今まであった分の売上&利益がゼロになる。
MSにとって、そして医薬品卸という会社にとって、この指名停止措置は悪夢でしかありません。
このペナルティによって、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社は戦々恐々としているのではないでしょうか?
これはもう大ダメージ確定です!
最近ではメディセオがリストラを発表していますが、今度はアルフレッサ・スズケン・東邦がリストラに踏み切ってもおかしくないです。
…と言うか、むしろ高確率でリストラすると私は思っています。
リストラの規模はともかくとして、いくら何でも今回の件はダメージが大きすぎます。
例えばですが、東邦による契約金額233億円にしたって、粗利にしたら2億~3億くらいはあるはずです。
あくまで粗利だとしても、2~3億もの利益があれば数十人の社員を雇えるでしょう。
その金額が2年間もゼロになるのです。
この状況では人員整理しない方がおかしいです。
会社として起死回生の一手があれば話は別でしょうが、そんな展望は無いのが正直なところかと思います。
2021年以降はメディセオの大勝利か!?
先ほどアルフレッサ・スズケン・東邦の3社は大ダメージ確定と書きました。
その一方で、メディセオはどうなるでしょうか?
この記事の序盤で書いた通り、メディセオがJCHOの指名停止の対象になるかどうかは公正取引委員会次第です。
未来のことは分かりませんが、この場では取りあえずメディセオが2021年以降もJCHOの入札に参加することを想定して考えてみます。
繰り返しになりますが、2018年のJCHOにおける市場は約740億円です。
その際、メディセオの契約金額は約156億円でした。
もし2021年にJCHOで同じくらいの市場があると仮定した場合、メディセオの契約金額がアップするのは間違いないです。
何と言っても、同格のライバル3社を入札の土俵から払い落とした効果はデカすぎます。
ライバルが減れば、その分だけ落札できる金額もアップする。
単純明快な理屈です。
とはいえ、一応ですけど2020年の7月から地場卸もJCHOの入札に参加可能になりました。
しかし、メディセオは何と言っても4大卸の一角です。
地場卸とは事業規模が違い過ぎます!
医薬品業界における『広域卸』と『地場卸』の違いとは?医薬品卸の元社員が解説します!
新たなライバルとなり得る地場卸と言っても、地域によっては1社~2社くらいのものでしょう。
ましてや、JCHOの規模であれば特殊なスペシャリティ医薬品も多く扱っています。
温度管理・使用期限・納品方法に一癖も二癖もあるスペシャリティ医薬品を地場卸が満足に安定供給できるかと言うと、元MSの私としては正直難しいのではないかと思っています。
MS目線で考えると、明らかに落札しない方が良い医薬品があるのは事実です。
JCHOの入札方法変更について地場卸のMSはどう思っているのか?
なお、JCHO系列病院では合計8,000品目が使われています。
それだけのアイテム数があれば、MSとしては自発的に入札を辞退したくなるような品目が間違いなく含まれています。
そういった癖のあるスペシャリティ医薬品について、もしメディセオが掻っ攫っていくような展開になれば、それはもうメディセオとしてはウハウハな状態になるでしょう。
仮にスペシャリティ医薬品のことを抜きにしても、メディセオにとって旨味がある展開であることに変わりはありません。
世間からの風当たり、他の大手医薬品卸3社からの嫉妬や憎悪が凄まじいことになりそうですが、そういったものを度外視すればメディセオによる大勝利とも呼ぶべき状況です。
もしかしたらですが、2021年4月からメディセオとの取引停止を公表しているGSKですら、この状況を見て取引停止を撤回してくる可能性すらあるんじゃないかと思っています。
GSKがメディセオ&地方卸との取引を打ち切る理由について考えてみる
JCHO系列病院や他の医薬品卸だけでなく、製薬会社にとっても大きな衝撃がありそうですね。
地場卸にとってはJCHOとの取引を広げる大チャンス!
メディセオと同じか、あるいはそれ以上のビジネスチャンスが到来したのが地場卸です。
先ほどスペシャリティ医薬品の安定供給について地場卸は難しいのではないかと書きました。
ですが、そういったスペシャリティ医薬品を抜きにしても地場卸にとっては大チャンスです。
何と言っても、アルフレッサ・スズケン・東邦という大手3社が入札の土俵から退場したのはデカいです。
ましてや、地場卸の規模でJCHOの市場にある程度食い込むことができたら、それだけで売上計画を大幅に達成できるMSが続出するのではないでしょうか?
ちなみにですが、私の担当地域ではメディセオを除くと地場卸は2社しかいません。
つまり、私の担当地域にて入札可能な医薬品卸は大手と地場を含め、たったの3社だけです。
おそらくですが、こんな地域は全国各地に溢れています。
もしも『メディセオ vs 地場卸A vs 地場卸B』といった感じで入札したとして、契約金額はどうなるでしょうか?
繰り返しになりますが、全国のJCHO系列病院の市場は2年間で約740億円です。
そして、JCHO系列の病院は全国で57軒です。
単純に計算しても、病院1軒あたり2年間で約1.3億円の市場があります。
つまり、1年あたり6,500万円ですね。
この前提のもと、総購入額が6,500万円のJCHO系列病院に対して3社で入札し、落札金額が3社で同じくらいの結果になったと仮定します。
その場合、何と1社あたり年間で約2,170万円の売上となります。
これは月均に直すと約180万です。
一気にこれだけの売上が発生するとしたら、現場のMSにとってはボーナスステージ突入といったところです。
少なくとも、MS時代の私だったら間違いなく喜んでいます!
まあ、上記の計算はあくまで概算ですし、実際には2社や4社で争う地域もあるでしょうけど、それでも地場卸にとっては有難い話かと思います。
当然、売上アップに伴ってリベートやアローアンスといった利益アップも期待できます。
4大卸ですらコロナ禍や仕切価上昇などのマイナス要因でロクに利益を稼げていない状況ですから、現在の地場卸にとって、この効果は超絶デカいです。
大手医薬品卸4社の営業利益率がヤバい!コロナ禍・仕切価上昇・価格競争の影響が深刻すぎる!
大手医薬品卸4社における2021年3月期の決算内容(特に営業利益)がエグすぎる…!!
よって、メディセオのみならず、地場卸も売上・利益の恩恵を受けることは十分に可能でしょう。
アルフレッサ・スズケン・東邦の3社には大ダメージな反面、その他の医薬品卸にとってJCHOの指名停止措置はまさに朗報というワケですね。
公的医療機関も大手医薬品卸と取引停止か!?
今回のJCHOの指名停止措置ですが、影響は公的な医療機関にまで及んでいます。
日刊薬業などでは『JCHOの指名停止措置が他の公的医療機関に波及する可能性がある』と報じられています。
医薬品入札への指名停止措置を講じるべきか 大手卸の処分で揺れる公的医療機関
この辺りは都道府県(あるいは市町村)の判断によって変わってきそうです。
その一方で、日刊薬業では既に6ヶ月~1年ほど取引停止する方向で調整している病院があるとも報じられています。
公的な医療機関と言うと、真っ先に思い浮かぶのは官公立の大学病院や基幹病院などですね。
ですが、この機会に厚労省のホームページに目を通して見たところ、公的医療機関には明確な定義があることを知りました。
公的医療機関とは、医療法第31条において、下記の者(団体)が開設する医療機関とされています。
都道府県、市町村、地方公共団体の組合、国民健康保険団体連合会及び国民健康保険組合、日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、社会福祉法人北海道社会事業協会
さらに、全国に存在する公的医療機関の軒数についても調べてみました。
平成30年10月1日時点での全国における公的医療機関の軒数は、病院が1,207軒、診療所が3,550軒です。
こうして見ると、公的医療機関は相当な数に上ることがお分かりいただけると思います。
これらの施設が一気に4大卸との取引停止について検討し始めているのです。
言うまでもなく、4大卸にとっては凄くヤバい状況です!
例えばですが、公立の大学病院などで今回のJCHO指名停止と同じようなことが起きたらどうなるでしょうか?
少なくとも、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社は完全アウト。
メディセオはグレーであり、アウトなのかセーフなのか微妙。
しかし、病院としては必ず医薬品をどこかの卸から調達しないといけない。
そこで、今回のJCHO談合問題とは関係がない地場卸から、今まで4大卸から購入していた分の医薬品を買うことにする。
地場卸にとっては吉報であり、大手の医薬品卸にとってはこれ以上ない凶報でしょう。
こうなってしまった以上、4大卸としては売上や利益が減るどころか、会社の存続さえ危うくなるかも知れません。
医薬品業界史上、初めての惨事になるかも?
全国に存在する公的医療機関のうち、何軒が4大卸との取引停止に踏み切るかは不明です。
しかし、そういった取引停止先が1軒や2軒では済まないことだけは間違いありません。
…と言うか、既に4大卸との取引停止を表明する病院が全国各地で現れ始めています。
(※MR同士のネットワークでもかなり噂になっています。)
一応、1社流通品目やスペシャリティ医薬品の安定供給などを加味して、特例として4大卸との取引を継続する方針の病院もあるみたいです。
例えばですが、ノバルティスのキムリアなどはスズケン1社流通ですからね。
ノバルティスの『キムリア』はスズケン1社流通!この戦略の意味とは?
ですが、1社流通などを理由に4大卸との取引を継続する公的な病院がどのくらいいるでしょうか?
個人的にはちょっと疑問です。
4大卸としては、1社流通やスペシャリティ医薬品の安定供給を理由にして、取引継続を病院側に申し入れる作戦を立てているかと思います。
しかし、そういった卸側の申し入れに応じる公的医療機関がどのくらいあるかは未知数です。
2020年の最後の最後で、とんでもない展開になってきましたね…。
国立病院機構がアルフレッサ・スズケン・東邦と1年間も取引停止!!
2020年の12月18日、国立病院機構がアルフレッサ・スズケン・東邦の3社について指名停止を発表しました。
国立病院機構とは?
・母体は厚生労働省が運営していた国立病院・国立療養所であり、平成16年4月に独立行政法人化して誕生した。
・全国に140軒の病院があり、一つの組織として運営している。
ちなみに、指名停止期間は2020年12月18日~2021年12月17日までです。
これはつまり、1年間に渡って該当する医薬品卸3社が入札に参加できないということです。
この機会に調べてみたのですが、国立病院機構の施設数は全国で140軒もあります。
北は北海道医療センターや北海道がんセンター、南は鹿児島医療センターや沖縄病院まで、どこもかしこも大きな市場の施設ばかりです。
こういった施設では、メジャーな抗がん剤、高薬価なスペシャリティ医薬品など、様々な医薬品がガンガン使われているのはご承知の通りです。
1年間という期間限定とはいえ、これらの施設が一斉にアルフレッサ・スズケン・東邦との取引をストップするのです。
該当する医薬品卸3社にとっては地獄であり、それ以外の医薬品卸にとっては大チャンスです。
天国と地獄とはこのことか…
ちなみにですが、国立病院機構には入札には『共同入札』と『個別入札』の2種類が存在します。
共同入札とは、10月から翌年9月の契約品目を決めるための入札です。
これは全国の国立病院機構140施設で共通して使う医薬品に対して行われます。
医薬品卸にとっての影響が大きいのは、こちらの共同入札ですね。
一方、個別入札とは特定の施設でしか使われないようなレアな薬剤に対してピンポイントで行われる入札です。
そして、業界誌によると共同入札・個別入札を合算した2019年度の購入費用は約1,660億円です。
これはとんでもない金額です!!
…と言うか、金額がデカすぎてピンときません。(汗)
取りあえず、1,660億円のうち4大卸が80%のシェアを占めていると仮定します。
つまり、その時点で4大卸だけで約1,330億円の市場を握っていることになります。
そう考えると、単純計算で1社あたり約330億円の売上があります。
その約330億円の売上について、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社は1年間も失うことになるのです。
330億円ですよ!!
これは地場卸の年間売上に匹敵するほどの金額です。
粗利を1%と考えても、約3億円の利益があります。
3億円もあったら、何十人もの社員を雇えますよね。
つまり、それだけ莫大な金額だということです。
今回はあくまで2019年度の購入費用をもとに計算したので、この金額がそのまま2020年や2021年に当てはまるかどうかは分かりません。
ですが、少なくともアルフレッサ・スズケン・東邦の3社は100億円単位の売上ダウンが発生するのは間違いないです。
売上がそれだけ減ってしまった場合、利益に関しても壊滅的なことになるでしょう。
会社へのダメージという意味では、JCHO系列病院の比じゃないです。
何と言うか、談合問題が発端となって取引停止関係の話がどんどん炎上していますね…。
医薬品業界の歴史上、ここまで強烈なペナルティを課された事例って多分ないと思います。
排除措置命令が大手卸3社の運命を左右する!?
2021年の2月現在、指名停止によってアルフレッサ・スズケン・東邦の取引が徐々に減りつつあります。
こんな記事を書いている私自身も、公的医療機関の担当MSから『しばらくウチは○○病院には入札できなくなるので…』といった連絡を頻繁に受けています。(汗)
実際、弊社の医薬品もメディセオまたは地場卸へと帳合が変わりつつあります。
そんな最中、新しいニュースが報じられました。
公的医療機関の中には、『排除措置命令』を指名停止の要件としていることが明らかになったのです。
卸3社の入札指名停止、「排除措置命令」で拡大も 談合事件、公取委による行政処分の行方は?
この排除措置命令とは、果たしてどういったものなのでしょうか?
そこで、私なりに排除措置命令について調べてみました。
排除措置命令とは?
・公正取引委員会による行政処分の一種である。
・排除措置命令は独禁法違反業者に対して下される処分であり、違反行為を排除する(再発を防止させる)ことを目的としたものである。
・今回の談合問題で起訴された3社(アルフレッサ・スズケン・東邦)には排除措置命令が出される可能性が高い。
・課徴金減免(リーニエンシー)制度を利用したメディセオには、排除措置命令が出る可能性は低い。
いかがでしょうか?
つまり現在報道されている情報を整理すると、アルフレッサ・スズケン・東邦には排除措置命令が出される可能性大です。
(※2020年12月に起訴された時点で、3社の命運は尽きていたとの見方もできる。)
医薬品卸4社のJCHO談合問題はいつ決着するのか?今後の展開について考えてみる!
もしそうなった場合、JCHOや国立病院機構と同じく、一定期間は入札に参加できない(=指名停止)ということになります。
一方で、メディセオの場合はまだ未知数な部分がある…といった感じですかね。
何れにせよ、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社にとっては窮地であることに変わりは無さそうです。
大手医薬品卸3社の売上は一体どこまで凹んでしまうのでしょうか…。
最後に:2021年以降、各医薬品卸の明暗が分かれる!?
今回の記事を書いていて改めて思ったのが、医薬品卸にとっての市場争いとは、まさに椅子取りゲームなんですよね。
市場が100あるとして、医薬品卸はその市場を110や120には出来ません。
市場を110や120にするのは基本的に製薬会社(MR)の仕事ですからね。
あくまで医薬品卸は100ある市場の中から、どうやって自社シェアを確保するかが問われます。
100あるうち、10よりも20、20よりも30…といった具合に、既にある『市場という名の椅子』を同業他社と奪い合う。
これが医薬品卸によるビジネスです。
そう考えると、メディセオ&地場卸にとっては勝手にアルフレッサ・スズケン・東邦の3社が退場してくれたのだから想定外のラッキーです。
まあ、メディセオに関してはまだ2021年以降のJCHO入札についてはグレーな部分もあるので何とも言えませんけどね。
少なくとも、アルフレッサ・スズケン・東邦の3社以外の医薬品卸にとっては、まさに近年稀に見るビッグチャンスです。
この調子だと、2021年が各医薬品卸の明暗を分ける年になるのは間違いなさそうですね。
JCHOだけでなく公的医療機関まで、とにかく全国各地で地場卸が台頭し、その一方で4大卸が後塵を拝するのは間違いないです。
では、その結果として大手&地場の医薬品卸はどうなるか?
大手医薬品卸ではリストラが加速しそうな気がしますし、一方で地場卸は業績好調によって給料アップなんて話も出てくるかも知れません。
この2019年11月の談合問題から約1年が経ち、このような展開になると誰が予想したでしょうか。
もしかすると、医薬品卸の勢力図が書き換わる可能性だってあります。
今後、医薬品卸の再編もマジであり得るかなと個人的には思っています。
今では4大卸という呼び方が医薬品業界内で定着していますが、2021年や2022年には5大卸または3大卸というような呼び方に変わっているかも知れませんね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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