こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
先日、MSに内定した学生さんから、問い合わせフォームを通じて『就職までにどのような勉強をすれば良いか?』という質問をいただきました。
とても向上心溢れる学生さんでして、コロナ禍で内定を獲得できただけにポテンシャルの高さを感じさせる人でした。
取りあえず、これ以降はその学生さんのことを『Aさん』と書かせていただきます。
さて、Aさんとしては『就職後に自分がMSとして通用するのか?』ということについて、不安であるとのこと。
…というワケで、就職後に備えて今からMSに求められる知識を身に付けておきたいと相談を受けました。
私も10年ほど前に全く同じ気持ちになりましたので、その気持ちはメチャクチャ分かります。(汗)
その後、メールでのやり取りを通じて私なりのアドバイスをさせてもらったのですが、
その過程で『就職までにどんな本を読むべきか?』ということについて、記事化する許可をいただきました。
AさんのようなMS内定者のみならず、今年入社した新人MSにとっても参考になる内容を意識して書きましたので、興味があればご一読ください!
MSとして勉強すべきことは無限にある!
上の画像は私の部屋にある本棚の一部です。
ご覧の通り、ビジネス関係の本が並んでいます。
MS時代から愛読しているものもあれば、MRに転職してから読み始めたものまで様々です。
こんな風に自宅にある本を手に取りながら、今回は新人MSにとって特に参考になりそうな書籍を5冊ほどピックアップしました。
(※本当は10冊でも20冊でも紹介したいのですが、そうすると質問いただいたAさんを含め、読者の皆さんがゲンナリしそうなので5冊まで絞りました。)
ところで、なぜMSは本を読んでまで勉強する必要があるのか?
これは私の持論ですが、MSにせよMRにせよ、社会人として学ぶべきことは無限にあると思っています。
そして、平均以上の成果を出しているMSは多かれ少なかれ勉強(自己研鑽)に努めています。
そんな勉強の手段として、手っ取り早いのが『読書』です。
私は大して優秀なMSではありませんでしたが、自分なりにMSとしてレベルアップするための勉強(読書)は常に心掛けていました。
勉強とは学生時代で終わるものではなく、社会人になってからも続くのです。
…とまあ、前置きが長くなってしまいスイマセン。(汗)
では、ここからは私自身の経験を踏まえつつ、MSの業務とも絡めて1冊ずつ紹介していこうと思います。
①:よくわかる医薬品業界
この本には医薬品卸のことだけでなく、製薬会社・調剤薬局・ドラッグストア・薬剤師の働き方・保険診療の仕組みなど、医薬品業界で働いていく上で必要な知識が網羅されています。
著者の『長尾剛司さん』という方は、北里大学出身の薬剤師であり、MR⇒マーケティング部⇒調剤薬局⇒医薬IT部門と、色々な会社・部署・職種を経験しています。
第5章の医薬品卸編では、『なぜ医薬品卸が必要なのか?』ということに始まり、医薬品卸の基本機能の他、MSの働き方などにも触れられています。
実は私のブログ内にて、この本の内容を参考にして書いた記事もあります。
例えば、下にある『売差(ばいさ)』の記事などですね。
医薬品の販売における『売差(ばいさ)』とは?現役MRが解説します!
それ以外にもMRの業務内容や、製薬会社が創薬する仕組みなども書かれていますし、第6章での直近30年ほどの医療費推移を示したグラフなどは中々インパクトがあります。
医療費抑制のために国が後発品を推進する理由や、そのために後発品ビジネスに力を入れる製薬会社・医薬品卸の考え方などがスッと理解できます。
加えて、『レセプト』『薬歴』『フォーミュラリー』など、MSとして最低限知っていくべきキーワードについても解説されています。
医薬品業界にはどんな会社があるのか?
MSを含めて、どの職種の人たちが、何のために働いているのか?
業界内ではどのような言葉が飛び交っているのか?
これらの疑問に応えてくれる1冊であり、新人MSであれば損しないだけの内容に仕上がっています。
②:話し方・聞き方のビジネスマナー
これは私が新人MSだった頃に買った本です。
報告・連絡・相談といった、いわゆる『ホウレンソウ』から、ビジネスにおける冠婚葬祭時の言い回しなど、基本中の基本とも呼ぶべき内容が例文&イラスト付きで解説されています。
他には電話での対応・挨拶の使い分け・クレーム対応のコツなど、この本は新入社員向けの内容が多く書かれています。
これまた私の持論ですが、『基本』を疎かにしてはいけません。
何事も基本をマスターしてこそ、応用が利きます。
それはビジネスマナーも同じです。
こういった社会人としてのマナーや言葉遣いは自然と身に付いていくものですが、私がいた医薬品卸の営業所では『基本をはき違えているオッサンMS』がいました。
例えば、取引先に対して『お世話様です』と言ったり、上司に対して『ご苦労様です』と言ってしまったり…といった感じですね。
では、こういった言葉遣いの何がダメなのか?
『お世話様です』は意訳すると、『(自分に仕事を依頼した相手・自分を助けてくれた相手などに対して)ご苦労様です』という意味合いなので、MS(営業)が取引先(顧客)に向かって言うのは不適切です。
つまり、取引先がMSに対して『お世話様です』と言うのはOKですが、MSが取引先に対して『お世話様です』と言うのはNGなのです。
こんな細かいことを気にする取引先は少数派ですが、見ている人は必ず見ています。
同じく、MSが上司に対して『ご苦労様』と言うのもアウトです。
そもそも『ご苦労様です』とは、本来は『目下の人間を労う言葉』です。
MSから見て目上の人間である上司・取引先に対して、『ご苦労様です』などと言ってはいけないのです!
よって、『お世話様です』⇒『お世話になっております』、『ご苦労様です』⇒『お疲れ様です』と言い換えるのが正解ですね。
…といったことが、この本には分かりやすく書かれています。
基本を間違って覚えてしまうと社会人として恥ずかしい思いをしますし、中年以上の世代になってしまったら、誰からも注意・指摘すらされなくなってしまいます。
先ほど紹介したオッサンMSは、私の人生における反面教師です。
私は数十年後にこんなオッサンのようにはなるまいと奮起し、新人MSの頃は正しい言葉遣いを身に付けようと頑張っていた時期があります。
少なくとも、私が入社した医薬品卸の新入社員研修では、こういった『正しい言葉遣い』について少しばかり指導されただけでした。
よって、『正しい言葉遣い』を身に付けるためには自己学習するしかなかったのです。
MSは営業職ですから、やはり『喋ってナンボ』な側面があります。
案外、こういった言葉遣いの細部にこそMSの実力が現れたりしますので、若いうちから勉強しておいて損はありません。
③:営業の鬼100則
先ほどはMSとして必要な言葉遣いについて紹介しましたが、この本には言葉遣い云々ではなく、営業職に求められる具体的な『行動』や『習慣』について数多く書かれています。
著者は保険業界のトップセールスだった人ですが、タイトルにもある『鬼100則』のうち7~8割くらいはMSの仕事にも応用できる内容が書かれています。
例えば、第9則として『アポイント予定は自分の都合で決めろ』ということが書かれています。
MS(営業)なら相手の都合に合わせてアポイントを取るべきでは?
…と思うかも知れませんが、実はそうではないのです。
私の経験上、アポイントの主導権を相手に委ねている限り、アポイントは中々取れないものです。
よって、自分の都合でアポイント予定を決めるのはMS(営業)として理に適ったやり方です。
(※もちろん、礼儀を弁えた上でアポイント交渉しないとダメですけどね。)
他には、第68則の『臭い営業マンであることを自覚せよ』という部分も興味深いです。
詳しいことは割愛しますが、『臭い営業マンは絶対に良い結果を出せない』『自分は臭くないかどうか常に疑え』といったことが書かれています。
確かに、私がMSだった頃を振り返ってみると、口が臭いMS・タバコ臭いMSは常に営業成績がイマイチだったような気がします。
以前、就活生向けに『口臭・体臭には注意しよう!』といった記事を書いたことがありますが、まさにそれです。
『スメルハラスメント』という言葉もあるくらいですし、ビジネスのみならず、プライベートでも役立つ内容に仕上がっています。
こんな具合に、MS(営業)にとって必要な『行動』や『習慣』が記載されています。
本の内容自体は少しばかり熱血気味な論調で書かれていますが、個人的にはお勧めしたい1冊です。
④:パソコンとインターネットの『わからない!』をぜんぶ解決する本
MSの仕事にはPC(パソコン)が必須です。
Excel・Word・PowerPointといったoffice系のソフトだけでなく、社内システムで売上・利益・債権状況を確認するのもPCで行います。
一部の業務はスマホやタブレットで代用可能ですが、やはり本丸のPCを使いこなせないと話になりません。
今の学生さんは中学~高校の時期からスマホ・タブレットに慣れている世代であるせいか、PC操作には慣れていない、あるいは自分用のPC自体持っていない人も多いと聞いています。
そういった人ほどMSとして就職して以降、間違いなく苦しむことになります。
…と言うのも、私自身がPCに疎いままMSとして就職し、その後PCを使いこなせずに悪戦苦闘した経験があります。
②の言葉遣いの件で紹介したオッサンMS(高卒)から、
おまえ、大卒のくせにPCもロクに使えねーのか?
…などと馬鹿にされた経験もあります。
(※そのときはオッサンMSに何も言い返せず、メチャクチャ悔しい思いをしました…。)
前置きが長くなりましたが、この記事を読んでくれた新人MSには私のような思いをしてほしくないという一心で、この本を紹介させていただきます。
この本にはQ&A形式でPCの起動方法・インターネットの接続・周辺機器(USB)の使い方・WordやExcelの基本など、MSとしてPCを使う上での基本知識が全て網羅されています。
巻末には『LAN』『HDMI』『HTML』といったPC用語集もあります。
どれもこれも『超』が付くほど基本的な内容ばかりですが、逆に言えば基本を押さえるにはもってこいの内容が書かれています。
PCに慣れている人には特に必要はないかと思いますが、PC初心者には自信を持ってお勧めしたい一冊です。
⑤:ゼッタイ定時に帰るエクセルの時短テク121
Excel関係の本は色々と持っているのですが、おそらくこの本がExcel初心者には最も理解しやすいと思いましたので、この機会に紹介させていただくことにしました。
先ほど紹介した【パソコンとインターネットの『わからない!』をぜんぶ解決する本】にもExcelの基本操作について書かれていますが、この【ゼッタイ定時に帰るエクセルの時短テク121】には、より実践的な内容が載っています。
まず大前提として、なぜMSはExcelの勉強をしなければならないのか?
その答えは単純でして、MSにはExcelスキルが必要だからです。
いや、『必要』を通り越して『必須』と言っても過言ではありません。
Excelスキルが乏しいMSほど仕事が遅いですし、逆にExcelスキルに秀でているMSは素早く業務をこなすことが出来ます。
これは誇張でも何でもなく、元MSとして事実を述べているだけです。
社内システムで売上の推移を見る、重点品目の回転率を可視化する、利益率を試算するといったことは出来ますが、それ以上の細かい分析をするとなるとExcelスキルが絶対に必要です。
特に、薬価改定時の見積もり作業の時は重要です。
取引先によってはExcelで見積依頼のリストを渡してくるので、MSはそのExcelリストデータを持ち帰った後、社内システムに読み込むためにExcelデータを編集する必要があります。
逆に、取引先指定のExcelリストに1品目ずつの値段を記入して見積もりを提出させられるパターンもあります。
薬価改定時の見積もりというのは膨大な作業量です。
取引先にもよりますが、一気に1,000~2,000品目の見積もりを求められるなんてことはザラにあります。
しかも、見積もりを依頼される⇒〆切までの期間は1週間とか普通にあります。
そしてさらに、薬価改定とは3月にありますから、数多くの取引先が同時に見積もりを依頼してきます。
ハッキリ言って、ただの地獄です。
この3月における薬価改定シーズンが、MSにとって最も忙しい時期です。
このような状況で1品目ずつ納入価格をExcelに手打ちで記入なんてことをしていたら、永久に仕事が終わりません。
よって、Excelの関数やショートカットキーを駆使して、見積もり作業を素早く正確に行う必要があるのです。
VLOOKUPといった関数や、コピー&ペーストなどのショートカットキーを上手く使えば、業務の効率は大幅にアップします。
今回お勧めしたい『ゼッタイ定時に帰るエクセルの時短テク121』には、Excel初心者でも分かりやすいようにイラストが多く使われており、Excelの小難しい用語も噛み砕いて解説されています。
そもそも、Excelの『関数』とは何か?
どのような『ショートカットキー』があるのか?
『四則演算』はどうすれば良いのか?
このような基本的な疑問から、関数同士の組み合わせといった応用技まで、幅広く学ぶことが出来ます。
Excel初心者のみならず、中級者くらいの方でも十分に勉強できる内容に仕上がっていますので、自信を持ってお勧めしたい一冊です!
まとめ:これからは自己学習するMSが生き残る時代だ!
私がMSとして働いた5年間を振り返ってみると、社内にて『どうすれば優秀なMSになれるのか?』というテーマの研修を受けた機会は、案外多くないような気がします。
少なくとも、『お世話様です』の本当の意味だとか、『臭い営業マンは嫌われる』だとか、『ExcelスキルがあるMSほど仕事が速い』だとか、そんなことは会社の研修カリキュラムには一切出てきませんでした。
今回質問いただいたAさんが内定している医薬品卸ではどうか分かりませんが、おそらくどこの医薬品卸であっても、研修への注力具合について大きな違いはないのでは?と思います。
ちなみに、私がMSの新入社員研修で習ったビジネスマナーは必要最低限のもの(お辞儀の仕方・名詞の渡し方など)だけでしたし、それ以上の知識・技術については『現場に出てから上司・先輩から教わりなさい!』…みたいな感じでした。
では、配属先の上司・先輩が全員優秀で、指導力に溢れているのか?
配属された現場には、間違いなくMSとしてレベルアップできる環境が用意されているのか?
その答えは『No(ノー)』です。
優秀な先輩MS、指導力に溢れた上司。
そういった好人物に出会えるかどうかは運次第です。
少なくとも、私はそのように思いながらMSとして5年間を過ごしました。
自分がMSとして、そして社会人としてレベルアップしたければ、自発的に勉強するしかありません。
会社は学校とは異なり、知識・技術を次から次へと教えてくれるような場所ではないのです。
自分自身のレベルアップを会社頼みにしているようでは、MSとして平均以上の実績を出すのは難しいと思います。
しかし、言い換えると常に勉強を継続してさえいれば、必ず地力が付いてきます。
…とはいえ、ここでの『勉強』とは『座学』のことだけを言っているのではありません。
極端な話、MSの業務以外の『何か』に触れることだって立派な『勉強』なのです。
一見するとMSと直接関係ないような本であっても、読書によって新しい知見を得ることを継続すれば、確実にMSとしてレベルアップします。
いかがでしたでしょうか?
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以上、Aさんを含む新人MSの皆さんにお役に立てれば幸いです!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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